優良取組事例

女性が主体的に活躍でき
長く勤めてもらえるよう
働きやすい職場環境を整備
女性社員による
プロジェクトチームも結成


高山信用金庫/高山市

高山市、飛騨市、下呂市を営業エリアに、19店舗を展開している高山信用金庫。職員の約4割を占める女性にとって、仕事と家庭が両立できる環境作りを早くから進めており、2013年には高山市内初の子育てサポート企業「くるみん」の認定を受けた。さらに、仕事と家庭の両立支援に取り組む企業のなかでも、特に他の模範となる「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」にも認定されている。

妊娠・出産後も安心して働ける
手厚い支援制度を整備

 「以前は結婚、妊娠を機に辞めてしまう人が多く、それは金庫としても大きな損失でした。長く勤めてもらおうと、子育て支援策にまず取り組んだのです」と理事長の坂口秀平さんは当時を振り返る。
 妊娠を報告した職員に手渡されるのが「働く女性のマタニティスケジュール」。産休・育休から復職後の短時間勤務まで、利用できる制度を一覧にしている。総務からは制度内容の詳しい説明も行われ、安心して取得できると好評だ。復職に向けた研修会の開催や、小学校入学まで利用可能な育児短時間勤務制度など、サポートも手厚い。
 当初は職員の間へ浸透するまでに少し時間がかかったそうだが、現在、4名が産休中で、19名の職員と7名のパートが子育てしながら勤めている。「中には、3人の子どもを育てながら頑張ってくれている方もいますよ」と微笑む。

女性独自の目線を活かした
プロジェクトチームを発足

 2016年、女性職員によるプロジェクトチーム「T・Happy+」が誕生した。「私が営業統括部長をしていた時、こちらから押しつけるのではなく、自発的に商品設計などのテーマを決め、女性ならではの意見を出し合ってもらう場として設置しました」
 役職者(係長以上の管理職)から新入職員までの各年代層で構成されたチームは、子連れでも来店しやすいよう「キッズコーナー」の設置や、保険の加入や見直しなどの相談に応える「保険の日」実施をこれまでに提言し、実現化されてきた。
 チーム発案の商品「子どものみらい応援定期積金Happy+」は、子どもが大学卒業するまでの長期間にわたる教育資金の定期積金で、さまざまな特典が付く。今や1,300口の契約数を誇る人気商品となっており、中途解約もほとんどないという。
 保険や投資信託について、女性職員自ら学ぶチーム「Tassα」も発足。「マネーアドバイザーを養成する勉強会のようなものですが、各支店からいろいろな世代が参加しているため、世代間のコミュニケーション、支店間の情報交換という効果も出ています」

意見や提案がダイレクトに
理事長まで届く仕組みを確立

 坂口理事長のもとには、1年間に100件近くの一般職員からの声が届く。「Future Box(未来への提案箱)」という、職員の意見や提案を募る制度で、理事長宛にダイレクトにメールが送られてくる。
 「直接私が受け、判断します。女性職員が窓口でいろいろな業務をしている中で、なぜこんなに面倒なの、なぜこれができないの、という意見や疑問が素直に上がってきます。私たちでは思いつかないことが多い。たとえば出資残高証明を各支店で発行できるようにしたのも、入社2年目の女性職員の意見からでした」
 ほかにも複数商品のセット販売や電動自転車の導入、連続休暇の分割など、女性職員からの意見を採用したものも少なくない。半期ごとに表彰があり、賞金も贈られる。
 「現場の意見を意識的に聞くようにしています。昨年、職員の満足度調査を実施したところ、結果として女性にとっては良い会社という評価が高かった。Future Boxなどの制度を含め、今までやってきた甲斐があると感じました」と坂口理事長。

女性の意識改革を促しながら
第一線での活躍にも期待

 高山信用金庫では、かつて役職者は男性と決まっていた。しかし、坂口理事長の裁量により、各支店の預金関係の役職者をすべて女性とした。思い切った組織改編であったが、女性らしい細やかな気遣いもあり、結果は良好だったという。
 「女性の役職者は一気に増えました。そのもう一歩先を目指してほしい。現状、女性の総合職は1名だけです。チームの会合や飲み会の席で声をかけているのですが、なかなか手が上がりにくい。総合職がどういうものか、十分に説明しきれていない部分もありますが、今後は総合職に就く女性を増やしていきたいですね。また、2つのチーム「T・Happy+」「Tassα」も3年目を迎え、ややマンネリ化してきています。いかに活性化していくかも、課題と言えます」と坂口理事長は女性職員のさらなる活躍に期待を寄せている。