優良取組事例

建設業界の女性活躍に注力
職場で花咲く存在となれるよう
温かい周囲のサポートに感謝して
会社にも貢献できる活動を


株式会社市川工務店/岐阜市

男性社員が多い建設業界。岐阜市鹿島町の市川工務店では、早くから子育てと仕事を両立できる職場づくりに取り組んできた。現在、男性従業員は約300人であるのに対し、女性従業員は40人程度。しかし、ここ10年以上、出産・育児が理由の退職者はいない。女性目線で職場環境の改善を目指すために女性技術者の会「けんけんぱ」を発足。リフレッシュルームの設置など働きやすい環境づくりに努め、周囲も理解を深めている。

男性が多い環境でも
いきいきと働ける職場に

 出産後、育児休業を取得して復帰する考えが定着している市川工務店。扶養手当とは別に子どもの出生から高校入学まで、イベントごとに総額30万円の一時金を支給するなど支援制度も厚い。また2016年からは育児休業取得者の会を開き、悩みを共有する場を設定。子どもの急病時は周囲と助け合って仕事を調整できるアットホームな雰囲気もある。
 女性目線でのさらなる職場環境の改善を目指して2015年、女性技術者の会「けんけんぱ」を発足。当初は女性社員7人で構成され、2~3カ月に1度ミーティングを実施して働きやすさやキャリアアップについて検討してきた。名称の由来は「建設業界でパッと花咲く存在になる」や「一歩一歩、前に進んでいく」といった女性社員の願いが込められており、会社全体で取り組みを応援する社風が育まれている。

女性が働きやすい環境を
会社全体で応援

 毎年、「けんけんぱ」はテーマを設けて活動している。前々年度のテーマは「リフレッシュルームの設置」。これまで社員が気軽に集って休憩するスペースがなかったため、憩いの場の設置を提案した。「社内アンケートを実施したところ、カフェのようなスペースがほしいと声が上がりました」と振り返るのは、小澤身友希会長。社員が一息つける場を設けるため、半年かけて取り組んだ。カウンターや個室の設置、インテリアの配置などもメンバーが考案。現在は気軽に皆で集ってコミュニケーションを図ることができる場として利用されている。
 ほかにも建設現場での更衣室確保や、女性専用トイレ設置など、女性目線での職場環境の向上に取り組んできた。従来は作業服のサイズも男性用が主流であったが、女性用のサイズも選べるように改善。男性社員や総務部とも連携し、女性が活躍できる場の創出に会社全体で取り組んでいる。

年々充実する活動内容
建設業界の女性活躍にも注力

 今年度の「けんけんぱ」の活動テーマは、「現場パトロール」。「衛生的な職場であるか」や「円滑なコミュニケーションが取れているか」など、女性ならではの視点でチェックリストを作成し、けんけんぱのメンバーが各建設現場を回って確認する。「けんけんぱの活動が会社にとってもプラスに働くようにと思っています。より良い職場環境となるよう、活動を継続していきたいです」と小澤会長は笑顔を見せる。
 社外での活動にも積極的だ。岐阜県立国際たくみアカデミーを主体とし、県内における建設業界での女性活躍を応援する「たくみ女子会」に参加。ほかにも、岐阜県建設業協会が主催する女性技術者・技能者の意見交換会や、女性限定の建設現場体験バスツアーにも携わる。「けんけんぱ」の活動を通して、建設業界での女性活躍にも貢献している。

周囲と助け合える環境が魅力
仕事と子育てを両立

 育児休業を取得し、昨年9月に復帰したのは淺野佳寿美さん。今年で市川工務店に勤務して13年目となる、「けんけんぱ」のメンバーの1人だ。
 「産後に復帰するのは当然という意識が職場にあるので、育児休業は取りやすかったです。周囲の理解もあり、戻りやすい雰囲気だったのがうれしい」と淺野さんは微笑む。子どもの急病時も周囲のサポートが得られ、復帰後も仕事と子育ての両立に無理がないという。「育休中は早く職場に戻りたいと思ったほどです。今後は「けんけんぱ」での活動にも注力していきたいと思います」と笑顔を見せた。
 今年6月からもメンバーの1人が産前・産後休暇を取得。育児休業後に職場へ復帰する予定だ。新規加入のメンバーも年々増え、「けんけんぱ」は建設業界でいきいきと輝いている。