優良取組事例

行動計画委員会の設置と
ジョブサポーターの配置で
休暇の拡充と取得率向上
継続勤務のサポートをめざす


社会福祉法人大垣市社会福祉事業団/大垣市

1990年に大垣市が設立した社会福祉法人大垣市社会福祉事業団。2006年、「お勝山ふれあいセンター」や「ひまわり学園」など市内福祉事業の指定管理者となった。従業員は、男性69人、女性158人、計227人(2018年8月末現在)。介護支援、相談などの業務で地域住民の生活を支えている。従業員が快適に働くため、働き方を考える行動計画委員会の設置やジョブサポーター(相談員)の配置をして働きやすい環境づくりに取り組んでいる。

行動計画委員会の設置で
現場に則した職場改善を

 大垣市社会福祉事業団は、「男女問わず仕事と生活の調和を応援」を経営理念の一つとしている。そのために重要なのが、有給休暇取得率の向上。有給の時間単位での取得や看護休暇、介護休暇などこれまでにさまざまな制度を整えてきた。
 以前は管理職が中心となって職場改善に取り組んできたが、「多世代の従業員の意見を取り入れ、現場に合った制度にしたい」という考えから2010年に行動計画委員会を設置。各事業所の委員が有給休暇の取得状況や取得に関する従業員の意識を共有している。
 その後、課題の洗い出しを行い、改善に向けた取り組みを委員同士で相談。「制度に現場の声を反映するために必要な取り組み」と、従業員から好意的に受け入れられている。

休暇や時短制度の活用で
継続して働く従業員が増加

 行動計画委員会設置以前は、有給休暇取得に消極的な従業員が多かったという。「業務が忙しくて休んでいる余裕がない」「休むと周りの従業員に迷惑がかかる」などを理由に取得しない従業員が多くいた。まずは意識の改革が必要だと考えた行動計画委員会は、休暇取得を勧めるパンフレットを作成し、従業員に配布した。
 2012年には未就学児までだった子どもの看護休暇を小学3年生までに引き上げ。制度面を充実させるだけではなく、「予定がなくても休暇を取ってゆっくり休んでいい」という意識の周知に努めた。
 また、2011年からはベテラン従業員によるジョブサポーター(相談員)を配置。5拠点を巡回する定期的な相談受付だけでなく、24時間体制で専門電話による相談を受け付ける。制度を熟知して的確なアドバイスをする専任のジョブサポーターの配置により、不安や不満をため込んでしまう従業員が減少。時短勤務などを利用しながら継続して働く人が増えたという。秘密厳守のため安心して相談できる。

3つの委員会の設置で
従業員に運営参加を促す

 行動計画委員会以外にも、2012年に研修委員会、2018年4月に広報委員会を設置。研修委員会では、新人研修やステップアップ研修など、既存の研修の内容改善に取り組んでいる。自分たちに今必要な学びを考え、着実にステップアップするための措置で、近年はグループワークなど実践的な研修が増加。今後は新たな研修の実施も検討している。
 広報委員会は、『にじいろ』など広報紙やパンフレットの配布で各施設の魅力を紹介。従業員自身が「自分の仕事にはこんな魅力がある」と自信を持って伝えられるように、業務を振り返る側面も持つ。「働いている人が楽しんでいれば、福祉の世界で働く魅力を発信することにもつながる」と期待する。
 3つの委員会は現場にいるからこそわかる課題を具体化させ、それぞれの分野で制度の拡充や意識改善を実施。定期的な話し合いをすることにより、従業員全体で委員会を運営する。若者の柔軟で新たな視点とベテラン従業員の経験が、よりよい職場づくりに役立っている。

事業団全体での
子育てをめざす

 今後は全従業員の年間有給休暇取得10日をめざして意識改革を進めたいという。特別休暇の周知と利用推進も注力。特に推進していきたいと考えているのが、男性の育児休暇取得だ。
 従業員が育児をしながら無理なく働けるように、子どもの事業所内保育も視野に入れている。多くの施設を管理運営する大垣市社会福祉事業団では、従業員の勤務地が点在しているため、1カ所に保育所を設置しても全員が利用できないのが課題。保育士資格をもつ従業員がいるという強みを生かして、従業員が従業員の子どもをみるといった、全員の助けとなる保育方法を模索中だ。
 従業員それぞれが、可能な形で運営や制度づくりに携わる大垣市社会福祉事業団。今後もさらなる職場改善に向けて取り組みを続けていく。