優良取組事例

設立当初から働きやすさを重視し、
互いに支え合う職場風土が定着
職員のモチベーションの向上で
より良いサービスの提供につなげる


社会福祉法人 羽島郡福寿会/笠松町

平成5年に誕生した社会福祉法人羽島郡福寿会は、笠松町、岐阜市、各務原市で特別養護老人ホーム等を経営。女性活躍や働き方改革に注目が集まる以前から、職員の要望に応える中で、自然と働きやすい環境を整えてきた。心身ともに生き生きと働けるようにすることで、より良いサービスの提供にもつながっている。

子どものボランティア登録で
子連れ出勤をしやすい仕組みを

 職員208人のうち、男性56人、女性152人(平成31年1月現在)と女性が過半数を占める社会福祉法人羽島郡福寿会。「子どもを家で一人にしたくない」という女性職員の相談をきっかけに、10年以上前から子連れ出勤を許可している。単に許可をするのではなく、他の職員の理解を得やすくするため、介護の仕事体験を目的としたボランティアとして登録する工夫を凝らした。シーツの交換や配膳など、簡単な作業を手伝うことを通して、親の仕事を理解するだけでなく、社会経験を積む貴重な機会となっている。また、地域のイベントへ子連れで参加する場合もあり、施設内外で力を発揮している。
 これまでに8人が登録し、ボランティアとしての活動をきっかけに、介護や医療系の学校に進学希望する子どもも。現在も4家族6人の子どもがボランティア登録している。
 さらに、育児や介護中の職員に関しては、希望する事業所へ可能な限り配置するほか、夜間や土日勤務をなるべく入れないようシフトを組むなど、多様な働き方を認めている。子どもの病気等による急な休みにも対応。「困ったときはお互い様」と、互いをフォローし合う風土が根付いている。
 その結果離職率の低下につながり、中には勤続年数20年以上の職員もいる。出産・育児による退職者は過去3年間でわずか1人。それも出産・育児をきっかけにした転居が理由で、子育てが落ち着いたのを機に、別の拠点に復職している。

オリジナルの有給休暇制度で
職員の健康増進を図る

 年間休日数は126日(平成31年度)で、プライベートを充実させやすい。公休のほかに、健康づくりを目的とした特別有給休暇を設定。リフレッシュにも使える健康増進休暇(3日間)や、骨髄移植休暇(必要に応じた期間)、インフルエンザ等にかかった際の感染防止休暇(診断書に基づいた期間)などがある。休暇制度を設けるだけでなく、余裕のある人員配置を通して取得を促し、年次有給取得率は72%と高い水準にある。
 職員の健康を促進する取り組みは他にも。通常の健診バスでは対応できない女性特有の健康診断を受けたいとの要望を受け、勤務時間内に健診センターで受診できるようにした。実際に乳がんや子宮頸がんの早期発見につながっている。たとえ病気になってしまっても、病気休暇や短時間勤務などを利用すれば、仕事を辞めなくても働き続けることが可能だ。

OJTリーダーが新人を指導
社会人・組織人として自覚を促す

 新入職員教育としては、指導役としてOJTリーダーを任命。入職後1年間にわたってベテラン職員が指導につく。介護実務を理解し、実践できるよう教育するのはもちろん、早期に職場生活に馴染んでもらうのも大切な役割だ。
 変則的な勤務体系の都合上、新入職員とOJTリーダーが同じ勤務になるとは限らないため、OJTリーダーは指導の内容について上司と共有。OJTリーダーが中心となり、全員で新入職員を育てる体制をつくっている。教えることを通して業務への理解が深まり、OJTリーダー自身の成長にもつながっている。
 人事考課に則った面談とは別に、1カ月、6カ月、9カ月、1年のタイミングで面談も行っている。面談時に記載する「重要基本行動アセスメント表」の項目には、「報告がきちんとできる」「わからないこと・できないことをそのままにしておかない」など、介護職員としてではなく、社会人・組織人として身につけてほしいものを記載。4段階評価で、新入職員とOJTリーダーそれぞれが記入する。自分の行動はどう評価されているのか、前回と比べてどのように変化しているのか、新入職員にとっては客観的に行動を見直す機会になっている。
 キャリアアップ支援にも積極的だ。資格取得のため外部研修を受ける際には、業務として認めることで、キャリア形成を後押し。さらに、資格取得時には報奨金や資格手当を用意している。

介護職の魅力を発信
若者が介護業界へ進むきっかけを

 少子高齢化に伴い、介護業界への期待や需要はますます高まるばかりだ。一方で高齢者施設の運営を支える介護職員の確保や高齢化は、全国的な課題となっている。
 羽島郡福寿会でも職員の平均年齢は39.3歳で、50代以上が全体の23.2%と高齢化が進んでいる。健康で長く働いてもらうための仕組みづくりはもちろん、マイナスイメージを持たれがちな介護職員の社会的地位向上のため、介護という仕事の魅力を発信し、若者の参入を促していきたいとしている。