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浪速製菓株式会社
代表取締役
山田誠さん(本巣市)

【2017年6月29日時点】

会社にとって大切なのは社員
一日の3分の1は会社で過ごすから
まずは気持ちよく働ける企業にと
時間有給の制度を導入しました


「ナニワのこんぶ飴」で知られる浪速製菓株式会社。昭和2年に創業し、来年90年を迎えます。「一粒の飴にも真心をこめて」をモットーに変わらぬ味を届け、近年ではキャンディーやゼリーなどの新しい商品の開発も積極的。当時、本巣市唯一の「子育て支援エクセレント企業」(現:ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業)にも選ばれており、勤続年数の長い社員が多く働いています。

初代から受け継がれる
「社員は家族」の社風

 当社は根尾川近くの水田に囲まれた場所に本社を構えます。私が3代目で、現在、社員は32人。半数以上が女性で地元の方が多いですね。先代も先々代も社員を家族のように大切にしてきました。私も後ろ姿を見てきたので、社員からの意見を積極的に取り入れたりして、「社員=家族」という気持ちで接しています。約30人で会社を動かしていくために一人ひとりが会社をしっかり理解し、どんな仕事もできる多能工な人になってほしいと願っています。そのため製造ラインでは担当する仕事をローテーションし、どんな業務にも対応できるように協力し合っています。

長く働いてほしいからこそ
家庭と仕事の両立を重視

 約5年前に時間有給の制度を導入しました。それまでも休む人がいれば他の社員で助け合い、柔軟に対応してきました。しかし、朝の送り迎えや数時間の用事のためだけに1日の有給休暇を取らなければならなかったのです。同僚に迷惑をかけたくないという思いから、1日の休みを申請しながらも用事が終わったら出勤してくれる社員が多くいました。そこで、必要な分だけ休暇が取れるようにと時間有給制度を導入しました。それによって休みを取りやすくなり、有休休暇の取得率は60%を超えました。工場長の存在も大きく、「8時から17時の間でしっかり終わること」を常に頭に置いて、2日先までの予定をいれた工場内の配置表を日々用意しています。有給休暇は1週間前までに申請をしてもらっています。配置表を見て、前もって準備を進めたりするなど強い責任感を持って働いてくれる社員が多くなり、助かっています。

モチベーションを均等に
全員が正社員雇用

 結婚・出産を経てからも働きたいと思ってくれるようになり、育休や産休を取得する女性社員が増えました。一時期は短期間のパートや派遣社員を雇うことも考えました。しかし、1年間だけの期限付きということでモチベーションが上がらない可能性もあります。私たちにも情があり、社員が戻ってきたら「さようなら」なんてできません。製造ラインの仕事とはいえ製造品目は多種にわたり、同じ仕事を一日中しているわけではありません。また、前工程から次工程の人へと業務を移動しながら商品は生まれます。コミュニケーション力や協調性も重要視しているため、短時間勤務での雇用は難しいと考えました。4人同時に産休をとっていた時期もありましたが、全社員で気持ちを1つに、今いる人数でできるシフトに切り替えるなど、みんなで計画を考えて乗り越えました。無事全員が戻ってきてくれたので一安心です。全員が正社員ということで女性も男性も関係なく、責任感も気持ちも同じ。困難を乗り越えるたびに一人ひとりの能力が上がっていると感じています。

子育て世代だけでなく
全員が家庭を大事に

 私にも家族があります。両親と同居していて、子どもが小さいうちはずいぶん助けてもらいました。妻は子どもから手が離れた頃から、会社で私の右腕として働いてくれ、社員の悩み相談などにも乗ってくれています。最近、社内では孫の面倒を見たり、親の介護をしなければならない社員も増えてきました。私の両親も年を取ったなと思うことがあります。時間有給を導入したことで「孫の学校行事を少し見に行きたい」と抜ける社員もいます。1日24時間のうち3分の1は会社での生活。お金のためだけではなく、楽しい気持ちを持って働いてもらえるよう、さらに社内全員が助け合って働ける環境づくりを進めていきたいと思います。