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社会福祉法人フェニックス
法人本部 企画管理室 室長
吉田理さん(各務原市)

【2017年6月29日時点】

保育料がポイント制の
事業所内保育所や
高齢者参加型の幼老一体ケアなど、
職場と地域で子育て環境を整え
支え合いの関係をつくりたい


各務原市内で複数の介護施設などを運営している社会福祉法人フェニックス。平成24年に「岐阜県子育て支援エクセレント企業」(現:岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業)に認定されたほか、平成25年には岐阜県で初めて「子ども若者育成・子育て支援功労者」として内閣総理大臣から表彰を受けるなど、先進的な子育て支援プロジェクトを推進しています。法人本部・企画管理室の室長である吉田理さんは事業所内保育所の開設や高齢者と子どもたちが交流する幼老一体ケアの実践、子どもたちの職場体験などに取り組んでいます。

事業所内保育所の開設など
女性も働きやすい環境を推進

 グループの全従業員数約400人のうち、女性スタッフの割合はおよそ8割です。その中でも20代~30代の女性が約3割を占めており、女性スタッフに対する支援策は私たちにとって重要事項の一つといえます。
 以前は出産や子育てを理由に離職してしまう人も多く、それまで培ってきたものが活かせなくなり、本人にとっても会社にとってもメリットがあるとはいえない状況が続いていました。平成22年に事業所内保育所「ショコラ」を開設し、資格や勤務時間によって保育料金を割引するポイント制のシステムを導入。現在は育児休暇制度を毎年10人前後が取得して100%が職場復帰しています。子育て世代のキャリアを支援しながら、グループ全体でファミリー・フレンドリー・カンパニーを目指しています。

学童クラブや職場体験で
地域の子育てを応援したい

 平成22年度からは、岐阜県地域子育て創生モデル事業の一環として高齢者と子育て世代に向けたコミュニティカフェや高齢者から学ぶ農業体験、多世代間の卓球交流、無料託児付きヘルパー2級養成講座などを実施しました。
 春と夏と冬には定員20人の学童クラブを高齢者施設で実施。周囲に子どもを叱ってくれる大人が減ってしまっている世の中で、ダメなことはきちんとダメだと教えていけるような環境をつくっています。多くの子どもたちに医療や福祉の職場体験をしてもらうプロジェクトも開始しました。子どもたちが看護師や理学療法士、介護福祉士、薬剤師、医師、保育士などの職場を訪れて、多様な経験を積みながらこれら仕事の魅力を感じてもらうことが目的です。
 これからは親だけではなく、社会全体で子どもたちを育てていこうという考え方がベースにあります。

高齢者の貴重な知識や経験を
子育て社会で活かしてもらう

 少子高齢化が進む社会というのはそれぞれの人々が互いに欠けているものを補い合う社会といえます。子どもや高齢者一人ひとりの社会との関係性が「支えられる」から「互いに支え合う」へと変われば、新たな世代間の「互助・互恵関係」が生まれるのではないでしょうか。今は高齢者のみなさんが持っている経験や知識が大いに必要とされている時代です。グループホーム「サニーテラス」の併設スペースで行っている多世代支え合い型交流カフェ「グリーンベンチ」では、地域住民や高齢者たちが子どもたちといつも楽しく関わっています。子どもたちの豊かな感性を育み、高齢者は役割と生きがいを持ち、お互いの生活の質を高めながらより良い社会の融和を生み出しているようです。

男性が子育てに関わる経験は
仕事上でも活かされる

 私にも2歳半の子どもがいます。子どもを育てる親の立場としても、子育てから学べることはたくさんあると思います。とくに男性が育児や家事に関わることで、家庭における父として、夫としての役割を考え直す機会となり、会社での意識も変わってきます。女性の子育てにまつわる大変さを知り、相手の立場に共感したり配慮したりできるようになるなど、気づきの幅が広がる良いきっかけになると思います。
 フェニックスグループにとって、スタッフとその家族は大切なファミリーであり、財産でもあります。これからも若い世代が安心して子育てしながら働き続けられるよう、スタッフと地域の子育て支援に向けたさまざまな環境を整えていきたいと思っています。