岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

人の本音に耳を傾けるのが
社会保険労務士の仕事
女性の活躍の場を広げて、
にこやかに過ごせる地域に


KEI社会保険労務士事務所代表・特定社会保険労務士
本荘恵子(ほんじょう けいこ)さん(瑞浪市)

【2016年3月14日更新】

結婚後、家事と育児に専念する中で芽生えた思いをきっかけに、社会保険労務士の資格を取得した本荘恵子さん。企業の縁の下の力持ちとして、働く人の本音に向き合いながら、生き生きと働ける環境づくりに取り組んできました。最近では「瑞浪市の女性がにこやかに過ごせるようにしたい」と、女性の社会進出をサポートする会社を新たに立ち上げるなど、精力的な日々を送っています。

「経済力を持つ女性に」
社会保険労務士になるきっかけ

 以前は栄養士の仕事をしていました。結婚して専業主婦になり、以前より時間の余裕ができたとき、ふと自分の社会的な立ち位置を考えるようになったんです。私は夫がいないと暮らしていけないこと、結婚したら仕事を辞めて主婦になるという固定観念への疑問を抱きました。女性も経済力を身につけるべきだという思いに至り、子育ての傍ら、社会保険労務士試験の勉強を始めました。最初はテキストを読んでもわからないことだらけ。それでも、もともと活字が好きだったということもあり、理解できると楽しくなっていきました。意欲的に学べたことが、社会保険労務士試験の合格につながったのだと思います。

黒子に徹して
企業をサポート

 私が社会保険労務士になった15年前は、この仕事の認知度がまだまだ低くて......。世間のイメージは「何をしているのかよく分からない職業」「手続きをするだけの仕事」といった感じでした。それを何とか変えたいと思い、まずは社会保険労務士がどんな仕事なのかを明確にするため、自社のウェブサイトを立ち上げて、仕事の「見える化」に取り組みました。専門資格職業の士業に対して「上から」といったイメージを持つ人も少なくないと思います。実際はそうではなく、社会保険労務士は企業にとって縁の下の力持ちのような存在。黒子に徹してサポートするのが、自分の立ち位置だと思っています。3年前に女性の就業支援をする会社を立ち上げました。「瑞浪市の女性がにこやかに生き生きと過ごせるようにしたい」という思いを胸に、就業環境や制度を整えるという視点から、女性の活躍を推進しています。女性も男性も、本来持っている権利をしっかりと守っていきたいと考えております。

眠れないほど悩んだ経験
苦労ではなく良き教訓に

 社会保険労務士に限らず資格というものは、自動車でいうところの運転免許にすぎず、資格を得てからの方が大事。当初は意欲だけが先行し、数々の失敗を繰り返しました。それを挫折とは思わず、何がダメだったのかを考え、多くの経営者の方からご指導をいただきながら学び、一歩ずつ進んできました。本当に一歩進んで二歩下がり、三歩進んで一歩下がることの繰り返し。失敗の数、消したい履歴はいまだ更新中です。この仕事の魅力は人と真摯に向き合い、本音を聞けること。経営者は孤独で、何かの折にふと、内心に触れることがあります。そのたびに「みんな同じ人間だな」と感じます。社員の方とお話をさせていただく時も同様です。誰でもそれぞれの立場があり、自分の人生を懸命に生きているということを認識させられます。改めて「相手に本音で向き合ってもらえる仕事とは何か?」を常に問い続けています。これまでを振り返ると、眠れなくなるような出来事も多々ありましたが、苦労したと思うことはひとつもありません。すべてが良き教訓になっていると実感しています。

一人で過ごす
静かな時間が息抜き

 私にとって、公私の境はありません。2人の子どもが小さい頃は学校行事に参加するため、仕事をどう段取りすればいいか考え、優先順位をつけてスケジュールを立てていました。今年の春には次男も大学を卒業して社会人になります。最近はプライベートの優先事項がほとんどなく、仕事をしていることが「私」。そんな日々の中で、時には墨と顔彩で仏画を書いたり、書道をしたり......。正月は漫画13冊とビジネス書6冊、小説4冊を読破しました。活字中毒なんですよ。一人、静かな時間を過ごすことが息抜きになっていますね。大切にしているのは、女性解放思想家・平塚らいてうの「元始、女性は実に太陽であった」という言葉。今よりもはるか昔の大正から昭和初期に、こうした人たちがいたからこそ今の女性があり、こうした人たちの働きのお陰で今の時代がある。そのことに感謝しつつ、さらに女性が活躍できる社会にしていきたいと思っています。