岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

気張らない、構えない
心に余裕を持つことを大事にして、
好きなことに打ち込める今を、より楽しむ


クラリネット奏者
渡邊布美(わたなべ ふみ)さん(安八郡輪之内町)

【2016年3月28日更新】

地域密着型のクラリネット奏者であり、指導者でもある渡邊布美さん。大垣市出身の3人によるピアノ・マリンバ・クラリネットユニット「アンサンブルラフォーレ」や、5人で奏でる「ルピナスクラリネットアンサンブル」など、グループの一員としても活動。ソロ、アンサンブル、吹奏楽の分野で精力的に活躍しています。

中学時代にクラリネットと出合い、
「これで食べていく!」とまっしぐら

 クラリネットの演奏と指導をしています。月に4~5回はお客さんの前で演奏。指導者としては学生の部活動や大垣市、各務原市の音楽教室などで教えています。
 「運命の楽器」との出合いは中学生のとき。子どもの頃ピアノを習っていたので、中学校で吹奏楽部に入部しました。クラリネットが他の楽器より難しかったことから、負けず嫌いの精神で「演奏したい」と希望。中学2年生のときには、「クラリネット一本で食べていく!」と決意し、専門の先生に師事しました。
 高校も音楽系の学校へ進学。以来、クラリネットが好きという思いはずっと変わらず、今でも嫌になったり挫折を感じたりすることはありません。うまくいってもいかなくても、自分の責任だと割り切って前を見据えます。
 独り立ちをした当初は、アルバイトをしながらの生活でした。ですが、大学卒業後に出会った演奏者仲間や先輩からの紹介などで次第に仕事が増えていき、楽器一本で仕事ができるようになりました。今でも、クラリネットの恩師や仲間の演奏者が支えになっています。

演奏中は「楽しい!」の一言
指導者としては難しさも実感

 演奏しているときの気持ちは、とにかく「楽しい」の一言に尽きます。体調が悪いときでも、演奏すると治ってしまうほど。たとえ頭痛がしても、演奏している間に忘れてしまいますね。しかし若い頃は、演奏後に安堵感や悔しさを感じていました。それだけ「うまく演奏しなくちゃ」という思いや緊張感が強かったのですが、今では「楽しかった」という思いだけで本番を終えることができています。そして、「もう一度演奏したい!」と思える心の余裕が生まれるまでになりました。
 一方で、人に指導することには難しさを感じています。基礎から音作りを教えることはとても大変。自分にできることが、なかなかできない生徒と接したときは、「なぜできなくて何が難しくて、どう教えたらいいのか」と、いつも考えています。
 クラリネットの魅力は、音が優しいこと。興味がある人は、音を楽しんでもらいたいですね。もちろん趣味でもいいですし、練習中の学生ならコツコツと努力を重ねて、続けてほしいと思います。

周囲の理解に感謝しながら
マイペースに生活する

 公私両立のコツは、上手に手を抜くこと。私は「できることをできるときにする」と決めて、頑張りすぎないようにしています。現在、夫と義母との三人暮らしですが、どちらかというと仕事の合間に家事をしているという感覚です。夫も、私のやり方に特に口出しなどはしないため、マイペースに生活できています。周りの理解があってこそ、今の暮らしがあると思っています。
 工作が好きなので、時々DIYを楽しむことが趣味です。時間があるときに、ドールハウスや写真立てなどを作ります。細かい作業に集中することが好きなので、気分転換やリラックスの時間になっていると思います。

応援してくれる人たちのために、
ずっと演奏し続けていたい

 ここまでクラリネットを続けてこられたのは、私の両親のおかげです。教室まで送迎してくれたり、夜遅くまで自宅で練習していたりしても何もいわれませんでした。今思うと、近所の人にも理解を求めて両親が声をかけてくれていたのかもしれません。
 私は、クラリネットがある今の暮らしがずっと続くことを理想としています。80歳を過ぎても入れ歯になっても演奏していたい。長く続けるためには、やはり周囲の理解が必要。そして、周りへの感謝の気持ちを忘れないことが大切です。傲慢にならず、自己満足で終わらず、理解してくれる家族や生徒、応援してくれる地元の人たちに感謝の気持ちを持ち続けたいですね。私の演奏スタイルは地域密着型。立つ場所が大舞台でなくても、応援してくれる人たちのために演奏していきたいと思います。