岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

家族や周りの人を大切に
思うからこそ
大変なときでも踏ん張れる
いつでも素直な向上心で
前に進んでいきたい


株式会社打江精機 取締役
打江記代(うつえ きよ)さん(高山市)

【2016年4月25日更新】

建設機械や産業機械の精密油圧機器を生産し、多くの国内外機械メーカーなどを中心部から支えている打江精機。そこで日々活躍する取締役の打江記代さんに、仕事に対する思いや自身について聞きました。

はじめて経験する仕事にも
前向きに挑戦して目標を見据える

 結婚する前は、薬剤師として病院に勤めていました。結婚後、夫の父が経営する「打江精機」に入社。私の実家も会社を経営していましたので、人付き合いや商売などは身近で学んでいました。しかし、全く畑違いの業種でゼロからのスタート。当時の女性課長からひとつずつ教えていただき、物づくりに携わる方々との関わり方も学びました。
 現在は、取締役として総務と経理を担当。女性視点の発想力や雰囲気づくりなどを求め、女性の管理職も増やしたいと考えています。また当社は今年で65周年を迎えました。40年前から障がい者雇用に力を入れており、現在は9名の方に就労していただいています。私も岐阜県の障がい者雇用アドバイザーを務めているため、注力したいと思っています。
 会社の経営は、社長や常務などを中心に行っています。私は社内の問題改善などに取り組み、経営陣が安心して対外的な仕事に臨める環境づくりに努めています。社長は会社を守る最後の砦となりますので、舵取りに集中してもらいたいと思うからです。

創業者の教えを守りながら
打江ならではの物づくりを

 当社は地方で物づくりをしながら、都市部の企業と切磋琢磨してきました。「主要都市部まで遠い」という不利な点を、品質や技術を磨くことによって埋めてきたのです。創業者が言い続けてきた「『できません』と言わない」という言葉を守り、「打江ならやってくれる」とお客さまに信頼していただくため尽力してきました。だからこそ、社員が一丸となって考えを共有し、目標に向かっていけることは大きな喜びを感じます。物づくりにかけるプライドは、これからの技術革新にもつながっていくと思います。
 困難なことといえば、世界的な景気の動向に左右されてしまうことです。2008年のリーマン・ショックでは当社も大きなダメージを受け、身を切られる思いでした。しかし、そこから多くを学び、次の対策を練ることができました。おかげさまで程なく経営も回復し、社員の皆さんにも安心してもらうことができました。今日に至るまでたくさんの苦労がありましたが、辛い経験をすることでより人の気持ちに寄り添えるようになったと感じています。

家族や周りの人を思う気持ちが
いつも頑張れる原動力

 私は一番に「愛情」があれば、どこまでも頑張れるのだと思っています。家族や周りの方々を思う気持ちがあるからこそ、辛い時も踏ん張れるのでしょうね。ただ、私の場合はじっとしているのが苦手なので、忙しい時ほどパワーのみなぎる感覚がします。でも体が資本なので、休養も大切ですよね。
 子ども3人の子育て中は、会社から帰って7人分の食事の準備をするなど家事に追われ、子どものスポーツクラブや部活にと忙しい毎日でした。しかし、はじめから全てできたわけではなく、いろいろ経験していく中で取捨選択して効率よくこなせるようなったように思います。公私ともにうまくスケジュールが組めるようになると、気持ちにも余裕が出てきましたね。
 子どもが大きくなった今は、夫とふたりで旅行に行ったり美術館に出かけたりしています。リフレッシュすることで頭の切りかえもでき、いろんなものを見て感性を養うことは仕事にもプラスになります。また以前、家族で楽器演奏を習いました。ジャズバンドにもボーカルで参加して、バレンタインコンサートで演奏したんですよ。

自分にとっても仕事にとっても
終わることのない今後の夢

 今後の夢として、第一は会社が順調であることですが、もし子どもたちが入社してくれるのなら、創業者と社長の意思を引き継いでもらえたら嬉しいですね。また障がいがある方々がさらに自立してもらえるように、もっと会社でバックアップしていきたいと思います。多くの人の「自分はこうなりたい、もっと学びたい」という個々の向上心を大切にしていきたいなと思っています。公正な判断やより良い解決に導くため、今後もたくさんの本を読んだり、人と出会ったり、さまざまな経験を積んで、考えの幅を広げていきたいですね。