岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

法律の目からこぼれ落ちた
地域課題を可視化
笑顔の未来をつくるために
人と人をつなげる


可児市NPO協会理事長
山口由美子(やまぐち ゆみこ)さん(可児市)

【2017年3月15日更新】

「県に申請したいけど、どのような手順を踏めばいいですか」「どうすれば、自分たちの活動をたくさんの人に知ってもらえますか」。かにNPOセンターは地域の市民活動団体が集う場であり、地域の問題を解決するためにどうしたら良いかの相談を受ける場所です。運営は、可児市から指定管理者として業務委託を受けている「可児市NPO協会」。理事長の山口由美子さんは地域のために活動したい人たちを陰で支える日々を送っています。

すべての人が
生きやすい社会に

 「可児市NPO協会」は地域のNPO団体やNPO法人の相談に乗る「中間支援センター」としての役割を担うほか、地域の課題解決に取り組み、なかでも「まちづくりの推進を図る活動」や「子どもの健全育成を図る活動」に重点を置いた活動を展開しています。行政は整備された法制度の中、さまざまな支援を打ち出しています。一方で、「可児市NPO協会」では見過ごされやすい部分にも意識を張り巡らせ、行政と連携しながら活動しています。寄せられる相談内容や緊急性の種類・度合いが多岐にわたるため、一般的な知識だけでは対応できません。一つでも多くの課題を解決するため、毎日が勉強です。

多くの人との交流で見えた
社会の中に隠れた課題

 私には2人の息子がおり、孫も2人います。これまで、子どもたちの保育園・小学校のPTA役員、婦人会、ボーイスカウトなどの地域活動に参加してきました。
 色々な人と出会いを通して、多くの地域課題に直面。問題というのは大抵、当事者が「困っています」と声を上げることができれば、解決に向けて舵を切ることができます。本当に問題なのは声を上げられない「社会に埋もれた課題」。そういった課題を解決していくには多くの時間と人の協力が不可欠です。一人では到底解決できる課題ではありませんが、多くの人と協力すれば、確実に解決できるものなのです。

地域課題を分かりやすく伝え
子どもたちの未来を考える

 行政が公表する報告書などには地域課題を可視化し、解決に導いてくれるヒントがたくさん詰まっています。幸いなことに私はこれまでにいくつもの会議に参加し、さまざまなデータを目にする機会に恵まれてきました。そのデータから地域課題を明確にして、「かにNPOセンター」発行の「NPOだより」でお知らせしたり、毎年開催している「かにNPOフェスタ」や「子育て応援フェスタ」でパネル展示したりしています。子育て応援フェスタは7回目を迎え、毎年約3000人の来場者を数えるほどの大きなイベントに成長しました。
 2016年度は「防災」をテーマに実施。子育て世代の防災意識を高められるような展示をはじめ、子育て支援活動の一環で運営している「子育て支援ネットワーク(コネット)」に所属する高校生以下の子どもたち(コネットJr)に「30年後の未来とAI」について考えてもらうように促し、子どもたちの未来を考える機会をサポートしてきました。
 「自分の地域の課題がよくわかった」「地域によって構成員の世代がバラバラなので画一的な行政支援だけでは被災した時の行動や、日常生活における課題に大きな違いがあることが分かった」などという若い世代からの声が届きました。

地域の人のつながりが導く
だれもが笑顔でいられる社会

 私たちが一人でできることは限られていますが、誰かとつながれば、その力は何倍にもなります。未就園児の子どもを持つママたちが困ったときに、先輩ママとつながることができる場として「コネット」ひろばを8年ほど続けて開催しています。最近では新たなつながりができ、食を通したまちづくりを実践するために九州大学の准教授監修のもと「可児自炊塾」という新たな講座を開講しました。また中濃地区の中間支援センターも連携しています。
 私は多くの人がつながれる「場」作りの機会を大切にしており、それが全ての人が生きやすいまちづくりにつながると信じています。