岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

自ら体験し、知っていくことで
「生きる力」につなげる
子どもたちが学ぶ機会を
地域で作り、ともに育む


大垣市環境市民会議 副会長
傍島潤子(そばじま じゅんこ)さん(大垣市)

【2017年3月27日更新】

いまでは当たり前になったレジ袋の有料化や、10年目を迎えたダンボールコンポストの普及など、大垣市の環境を良くするための活動を取りまとめているのが大垣市環境市民会議です。傍島潤子さんは副会長を務め、未来の大垣市のために尽くしています。

大垣おやこ劇場で学んだ
「地域で子どもを育てる」

 私が初めて市民活動をしたのは、いまから28年前。観劇団体だと思って、子どもと一緒に大垣おやこ劇場に参加しました。入ってみると、劇や子育て学習の運営を自らの手でする中で、皆で子育てすることの大切さを実感。「子どもを育てるのは地域だ」という思いで、長く運営に携わってきました。
 平成12年、大垣おやこ劇場はNPO法人化します。当時、ほかにも多くの非営利団体が法人化したのですが、その理由は平成7年の阪神・淡路大震災が大きく関わっています。大都市を襲った震災に対して、各地のボランティア団体が支援。被災者を助ける大きな力になったのです。以降、市民活動の力が見直されて、全国的にボランティア団体が増加しました。そのため、震災があった平成7年は、ボランティア元年とも呼ばれているのです。
 NPO法人大垣おやこ劇場でも、理事長を務めました。多くの体験活動に携わるなかで、子どもを育てる大人の姿勢がいかに重要かを感じました。子どもの未来のために、大人一人ひとりが大垣市の環境改善を意識していかなければならないと思いました。

資源循環の大切さを伝えたい
ダンボールコンポストを推進

 
 大垣おやこ劇場の活動で、多くの人と出会いました。その時に出会った人から大垣市環境基本計画策定会議への参加を勧められたんです。環境基本計画を策定する段階から、会議に参加したのですが、当時はまだ環境に対してそれほど関心を寄せられていない時代。「基本計画にどこまで含めるのか」ということから話し合いました。周りの人は私より知識も経験も豊富な方ばかり。専門家もいらっしゃったので、多くを学ぶことができました。
 現在は大垣市環境市民会議でさまざまな活動を取りまとめながら、地域の環境改善に動いています。そうした諸活動のなかで、私が関わっているのは10年前からスタートしたダンボールコンポストプロジェクト。ダンボールとココピート、もみ殻くん炭を使ってコンポストを作り、生ゴミの堆肥化を推進する活動です。活動を通して、資源循環の大切さを市民の皆さんに伝えてきました。
 はるか太古の昔から繰り返されてきた自然のもつ資源循環の仕組みを、現在の便利な人の暮らしの中で人々は忘れかけています。その仕組みを感じられるダンボールコンポストは子どもたちの環境学習に役立っています。自身も、生ごみを堆肥化し、プランターで野菜を育て、味わい、資源循環のすばらしさを体感しています。

自然体験を、感動を共有し
親子にとって学べる機会を

 大垣おやこ劇場にいた頃から抱いていた「子どもは地域で育てる」「子どもだけでなく、親子で育つ」という思いは、いまも変わっていません。ダンボールコンポストプロジェクトのほかにも、「私はこんな活動をしたい」と思ってスタートしたものもあります。そのひとつが、大垣市環境市民会議で主催している環境まるごと探検隊です。
 環境まるごと探検隊は、親子で身近な自然に触れる体験活動。川の水質や水生生物の調査をはじめ、ボートを使った揖斐川下り、星空の観測、厳冬の山の自然散策など、さまざまな体験から、親子で自然を体感します。この体験によって、教えられるのではなく自分たちで自然の厳しさや大切さに気づいてほしい。また同じ空間で同じ感動を共有し親子間で話をする機会を持ってもらい、家庭でも地域の環境について考えてほしいというのが狙いです。

周囲に支えられながら
子どもたちに伝えたい思い

 大垣市環境市民会議で活動をはじめて、随分年月が経ちました。7年間参加してくれていた子どもが声をかけてくれたことがあり、私たちの活動が次の世代の心に残り、つながっていると実感できています。時には「伝わってないな」とむなしさを覚えることもありますが、それでも活動していなければ伝わらない。知らないままでいるより体験して知ってほしい。それが未来を担う子どもたちの「生きる力」につながるとおもっています。
 いままで私が活動を続けてこられたのは、まず家族の理解があってこそ。家庭でも大垣市環境市民会議でも、私は自分ができることしかできないです。必要な時は周りの人に助けてもらいながら背伸びすることなく、自分の身の丈に合った活動を続けています。会議で子どもを迎えに行けない時、友人に手伝ってもらったこともあります。
 「子どもは地域で育てる」。私も支え、支えられながら、子育てをしてきました。子が育ち、孫が生まれたことで、いままで以上にモチベーションが高まっています。言葉ではなかなか伝えられないものを、背中で見せて、または自身の体験を通して、これからも伝えていきたいと思っています。