岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

何事も動いてみる、
挑戦してみることが大事
与えられた仕事に真摯に取り組み、
やりがいをもってチャンスを生かす
誰もが働きやすい環境整備に
まい進中


森松工業株式会社 社長室ダイバーシティ推進チームリーダー
中島千賀子(なかしま ちかこ)さん(本巣市)

【2017年3月13日更新】

ステンレスタンクの製造を専門とする森松工業株式会社で、男性も女性も、誰もが働きやすいよう、ダイバーシティ推進チームのリーダーとして活動する中島さん。社内外に広く目を向け、企業戦略としての女性活躍をめざしています。

英語や簿記の知識を使って
幅広い業務に取り組む日々

 高校時代にオーストラリア、大学時代に英国留学の経験があり、帰国後は岐阜県内のモノづくり企業で働きたいと考えて2008年、森松工業株式会社に入社。本社経理課を経て、森松工業の商社部門である子会社アムト株式会社へ経理として出向しました。経理は、目の前の仕事をいかに効率よく正確に進行するかが重要。入社前に簿記の資格を取得しましたが、実務は初めてのことで、苦労もありながらも、スキルアップにつながりました。
 森松工業は日本国内に700人以上の従業員がいるのに対して、アムトは当時20人程度。全員の人柄や仕事を把握していて、コミュニケーションがとれていました。その環境で、経理業務や仕入れ業務のほか、備品管理や本社からの依頼事項の取りまとめなど、総務・庶務的な仕事でも頼られるようになっていきました。
 転機となったのは、入社して3カ月が経ったころ、モリマツ・ヒューストン・コーポレーションが設立され、英語ができるということで、常務(現在の専務)の渡米に同行させてもらった時です。これをきっかけに、社内で通訳として声をかけられることが増えていきました。 また、2010年に岐阜県で開かれ、当社の取締役 西村今日子が登壇したAPEC女性企業家サミットを聴講した際には、世界を舞台に活躍する女性に刺激を受けると同時に、日本と世界との男女の就業差について実情を知りました。経理の仕事をしながら、新しい仕事でも任せられた事には真摯に向き合って結果を残す。これの繰り返し。その後も会長の通訳兼出張のアテンドなど、通常業務とのバランスに時には苦労をしながらも、貴重な体験や出会いに感謝しながら経験を積みました。

与えられた仕事を精一杯に
成長のチャンスを生かして

 やがて後輩ができ、教わる側から教える立場に。入社当時の自分を思い出しながら後輩を育て、職場環境をより良くすることにやりがいを感じる毎日でした。
 しかし、2015年、本社経営企画部への異動が決定。2016年には経営企画部が社長室に部署名変更されました。これまでとは一変、社内の環境を改善したり会社の価値を高めたりするため、課題を洗い出し仕事を創出する業務が始まります。同時に、国では女性活躍推進法が成立。社内における女性活躍とは何か、目標設定の役割を与えられました。
 まずは、女性社員が日々何を感じながら仕事をしているか知るために、全女性社員にアンケートを実施。女性管理職登用日本一など、女性活躍先進県である徳島県の視察にも出かけました。刺激を受けると同時に、自社や岐阜県がものすごく遅れているわけではないということも実感。この視察後、ダイバーシティ推進チームを立ち上げ、私はリーダーとして始動しました。まずは育休と介護休業についてのガイドブック作成や、育休復帰社員のサポートに取り組んでいます。やり遂げるには長い時間がかかる仕事だと思いますが、いつか取り組んできてよかったと思える日が来ることを信じています。
 また昨年、入社して初めて当社製品の建設現場を見学する機会があり、改めて営業部門・製造部門の社員の努力が経営を成り立たせている事を痛感し、会社や社員の皆への感謝とともに、私たちが働くこの会社の環境を良くしたいと決意を新たにしました。当初、知識が先行して女性の権利を強く主張する傾向に陥ってしまったり、「私ごときの力で何ができるのかな...」とマイナス思考になったりしたこともあります。しかし、男性社員から意外にも良い反応をもらえたり、女性社員から喜びや前向きな声を聞いたりすることが、大きな励みになっています。経理のころから変わらず、目の前の仕事や課題に誠実に精一杯取り組み結果を残すこと。これを何より大切にしています。最近は、先輩社員からのアドバイスで、「俯瞰」で仕事を見られる事を目標にしています。

仕事とプライベートをバランスよく
リンクさせながら充実した生活を送る

 ダイバーシティや女性活躍など、多くのセミナーに出席しますが、最近では「どんな目的意識を持って参加するべきか?」「会社にとって有益か?」と常に考えるようにしています。難しいことですが、自分が理解して、納得してから全社に発信することを大切にしています。
 また、不定期で「森松女子会」を企画しています。OGや育休中の社員も子どもさんを連れて参加してくれます。仕事以外の話をすることがほとんどで、そのなかで私の業務に生かせる気づきも多くあります。普段、顔を合わせる機会の少ない女性社員同士の、交流の時間になればいいなと思っています。
 気分転換にしているのは、10年以上通っているアロマです。サロンでのおしゃべりがリフレッシュになっています。また、お守りのようにつけている時計は、腕にはめると仕事するぞ!って思えます。広い会社内を移動することも多く、ヘルメットを被ってパソコンや書類をバッグに入れて動きまわっています。かなり重たくなりますが、使い続けるうちに愛着が湧いてきました。
 私は旅行がとても好きで、仕事以外でも海外に出かけます。行った先々のマグネットを集めるのが趣味で、デスクにあふれています。特にシンガポールが好きで、これまでに4回足を運びました。50年と歴史が浅い国ですが、シンガポール初代首相は、資源がないなか、いかに自国の価値をあげるかを考えぬき、徹底した教育に行き着いたそうです。何度訪れても色あせない魅力の背景にある戦略的な国造りを知り、刺激を受けると、「森松に置き換えるとどうだろう。どういう戦略がとれるだろう」って、ついつい考えてしまいます。充実した人生が仕事での成長も生むと考えているので、これからも色々な出会いや経験を通じて視野を広げ、仕事とうまくリンクしていけるといいですね。