岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

大垣で暮らす、すべての人が
輝きながら生きていけるよう
魅力ある街づくりを進める
わたしは、そのための突破口で
ありたい


大垣市男女共同参画推進連絡協議会 前会長
竹内八千子(たけうち やちこ)さん(大垣市)

【2017年3月13日更新】

約40年の教師生活を終え、平成20年に開催された全国男女共同参画宣言都市サミットinおおがきで実行委員長を務めた竹内八千子さん。以来、約10年にわたり、大垣はもとより岐阜県の男女共同参画実現に尽くしてきました。誰もが支えあい、一人ひとりが輝いて生きられる街をめざし、いまも後進の活躍を見守っています。

「人とつながる」ノウハウで
教委相談活動専門員として活躍

 大垣市の中学校で体育教師として長年勤めました。荒れていた学校では、福祉教育を中心に据え、生徒と向きあい、地域と連携して立て直しに奮闘する日々でした。
 40年間の教師生活で常に大切にしていたのは、「誰もが輝けるように」ということです。生徒たちを連れ、高齢者や障がいがある方たちの前で演劇発表をした際には、「ありがとう」という声を多くかけていただき、それが子どもたち自身のやりがいや自己肯定感につながっていると感じました。そのときの子どもたちの目は、本当にキラキラとしていましたよ。人と人とのつながりの大切さを、地域のみなさんに教えていただきました。
 校長として勤め上げ、平成11年3月に定年退職。その後は岐阜県教育委員会の相談活動専門員として、いじめを中心に親・子の教育相談、悩み解決に関わってきました。同時に法務省の人権擁護委員として相談活動にも携わり、そこでの経験もあって、平成20年に開催された全国男女共同参画宣言都市サミットinおおがきの実行委員長を任せていただくに至りました。

大垣市が男女共同参画宣言都市に
全国サミットに向けて周知の日々

 大垣市は、平成17年度に男女共同参画宣言都市として名乗りを上げました。平成20年に開催が決まっていた大垣市での全国サミットに向け、約1年をかけて準備が進みました。「はじめよう!ワーク・ライフ・バランス ~一人ひとりが輝くまち 子育てにやさしいまちをめざして~」をテーマに、発表や分科会、全体会の内容まで多岐にわたり精査する日々でした。実行委員会は委員長の私をはじめ、43人。実行委員会参加団体は、地元大企業からNPO法人、各種協議会など、23にのぼりました。
 女性が働きやすい環境の整備やワーク・ライフ・バランスという言葉がかなり先進的だった時代です。女性が女性の権利を声高に叫ぶことを、当時の大垣市はまだ受け入れられる態勢ではなかった。ですから、老若男女にとって住みやすい街をつくることに尽力しました。女性に対して「輝こう」というだけでなく、誰に対してもやさしい街にするために、どういった講義が必要か考慮するのは困難でしたね。
 若い男性にぜひ参加してほしいという思いがあり、実行委員会のメンバーとして青年協議会にも依頼しました。各世代を巻き込みながら、いろいろな考えを踏襲して反映できる実行委員会になりたいと考えていました。

一過性のイベントで済ませない
誰もが生きやすい街を市民とつくる

 全国から900人が参加するほどの成功を収めたサミット。閉会後に感じたのは、男女共同参画やワーク・ライフ・バランスという考え方をサミットのためのイベントとして終わらせてはいけないということです。大垣市からは学校、教育関係者、企業、自治会、民生委員、児童相談委員など幅広く参加いただきました。それぞれが今後は、地域でどう対応していくかが重要でした。 
 大垣市として男女共同参画の特区をつくり、話し合いや行事を積極的にひらくエリアを制定しました。これは、サミットがあったからこそ、すんなりと自治会長に受け入れてもらえたのです。
 「男女共同参画という考え方を、いままで知らなかった」という人も多かった時代でした。サミットから10年が経って、「継続は力」という思いで毎年フォーラムを開いて男女共同参画やダイバーシティーの考え方の浸透に努めてきました。
 今後、大垣市内に女性センター建設の予定があります。その見通しがもてたことで、後進に譲ることを決めました。次の方は女性史にも詳しく、安心して任せることができています。さらなる若手の育成にも期待しています。
 いまは、育児だけでなく介護の問題があり、子どもの貧困もあります。課題が山積みの時代、行政の力を借りながら自分たちでできることをしていきたいです。
 荒れている学校に赴任したときも、誰もが輝けるようにということをモットーにしてきた。退職後も、その思いのものと仕事をしていました。苦労より喜びを与えてくださったことに感謝しています。 
 息抜きはミュージカルや歌舞伎などの舞台を見ることです。県外にも出かけています。舞台に立っている人は、みんな明るく輝いて見えます。それで教師時代に生徒指導にも演劇を取り入れていたんです。エネルギーや生きる力をもらえます。腹の底から声を出している姿がいいですね。