岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

やりがいがあり
自己実現できる活動で、
地域の人々を元気に
「喜び喜び合う関係」で
毎日をいきいきと


特定非営利活動法人 いなほの会 代表
村上幸子(むらかみ さちこ)さん(瑞穂市)

【2017年3月 3日更新】

介護福祉士やレクリエーションインストラクター、介護予防運動指導士などの資格や経験を活かして、2013年に「特定非営利活動法人 いなほの会」を仲間とともに立ち上げた村上幸子さん。ゆったりとした音楽に合わせて体を動かす「ポレポレ健康体操」をはじめ、童謡や唱歌を歌う会「まほろば」などのレクリエーションを地域に提供しています。スタッフの取り柄は、参加者に負けず劣らずの元気の良さ。その源は、参加者の笑顔だといいます。

体操との出会いを経て
活動をスタート

 瑞穂市を本拠地として活動している「いなほの会」は、2013年10月に設立。「自分たちができることで地域の人々を元気にしたい」と熱い思いを持った仲間が集まりました。活動のヒントを得るべく、関市で開かれていた「ポレポレ健康体操」を視察。誰でも負荷なく介護予防に取り組める体操はもとより、地域に根ざす自主活動はまさに自分たちが探し求めていたものでした。
 ポレポレとは、東アフリカのスワヒリ語で「ゆっくり」「のんびり」を意味する言葉です。ゆっくりとしたストレッチを中心とした体操で、リスクが少ないことから、瑞穂市で教室をスタートしました。回を重ねるごとに参加してくださる方が増え、NPO法人を立ち上げるに至りました。

「脳活」(のういき)で日々を元気に
参加者の喜びをやりがいに

 瑞穂市介護予防事業「脳のいきいき教室」を2015年5月からスタート。ポレポレ体操と回想法などを使ったレクリエーションを提供しています。回想法とは、過去を振り返る心理療法のこと。「春といえば、桜」「秋といえば、栗ごはん」など季節ごとのキーワードをグループで書き出し、グループ内でおしゃべり。あんかや火鉢など昔の道具や玩具などを用いて、思い出話を共有することもあります。子どもの頃を振り返ったり誰かに伝えたりすることは、脳を刺激し認知症予防につながるとされています。幼少期の話をするみなさんの表情はいきいきとしてきますよ。
「ポレポレ健康体操」の他、童謡・唱歌を歌う会「まほろば」、高齢者料理教室「楽食くらぶ」などの活動もしています。「まほろば」では、歌うだけでなく、歌にまつわるエピソードや写真なども紹介。発表会の場を設けることで、やりがいを見出す人も多くいらっしゃいます。
「楽食くらぶ」は月1回の開催。参加者の中には独居の方もいて、みんなで料理をしてご飯を食べるひとときを楽しんでいらっしゃいます。季節の食材を取り入れた料理の他、みょうがぼちや箱寿司などの郷土料理にもチャレンジ。「むかしは、農作業の合間に食べたね」などの思い出に花が咲きます。
 活動が続けられるのは、毎回参加してくださる方がいらっしゃるからこそ。「講座に足を運ぶことで、顔なじみの仲間が増える」「体が軽くなった!」と、喜びの声をいただき、わたしたちもやりがいを感じます。

仕事での苦い思いをバネに
自由で柔軟なサービスを

 かつて介護福祉士として施設に勤務していたときに感じた葛藤が、会設立のきっかけです。施設で働くうち、利用者よりも共に働くスタッフに気を遣わざるを得ない環境に違和感を覚えるように。スタッフ同士の価値観の違いなどはサービスの内容や質にも現れ、「私はもっと利用者に寄り添いたい」と考えるようになりました。「組織に属していては、自分の理想とするサービスが提供できない。同じ意識を持った仲間と自由に柔軟に取り組みたい」と考えたのです。
 会を設立するときには、「笑顔で」「無理をせず」「認め合い」「約束を守る」という心構えで、決して驕らず謙虚な姿勢を持ち続けようと仲間同志で誓い合いました。そんな思いから、実るほどに頭(こうべ)を垂れる稲穂のようにありたいと、団体名を「いなほの会」と命名したのです。

2025年問題に向けて
地域課題の解決に努める

 現在約800万人といわれる団塊世代が、後期高齢期(75歳)を迎えるのが2025年。これからは、元気な高齢者は他の高齢者を介護する時代がやってきます。わたしたち一人ひとりが、健康づくりや介護予防に積極的に取り組まなければならないのです。
 今年から、本巣市の「介護予防サポーター養成講座」を企画・運営をしています。4~9月までの春コースは、市内2カ所で8回にわたって開催。40人の市民が参加され、栄養や運動、保険制度などの知識を深めました。コースを終えた方には、修了書を授与。修了生の方々は、認知症カフェなどの運営に携わるなど、地域の支え手として活躍していく予定です。さらに10月からの秋コースは3カ所で開催されるなど、参加者を増やしています。
 さらに2017年からは、「支え愛💛Lサポ」事業をスタート。歌や裁縫、料理など、みなさんの特技を、異世代間交流に生かしたいと考えています。老若男女問わず、協力いただける方を募集中です。
 「地域を元気にしたい!」と活動していますが、実は元気をいただいているのはわたしたち。自分たちが楽しんでこそ、相手に元気を届けられると考えています。