岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

「艱難汝を玉にす」
患者の要望に真摯に向き合い
これまでも、これからも
自分を磨き、成長し続けたい


たんぽぽ薬局株式会社 取締役・薬局事業本部本部長
松野英子(まつの えいこ)さん(岐阜市)

【2017年4月20日更新】

たんぽぽ薬局は東海地区をはじめとし、近畿・北陸・四国地方にまで出店を広げて現在、120店を超える店舗を展開しています。松野英子さんは、薬局事業本部の本部長として店舗のすべてをめぐって各店の管理状況を把握し、現場で課題や問題を解決するためのサポートを行うほか、患者のクレームにも対応します。本社にデスクがあるものの、地方への出張も多く、心身ともにタフでなければできない仕事に携わる女性です。

新会社の立ち上げに
偶然にも関わっていまに

 学生だった頃、「資格があれば、将来安心。女性も手に職を」と、世の中では資格取得が推し進められていました。私も漠然とですが、何か資格を持とうと考えて大学は薬学部へ進学。知人に薬剤師がいて、仕事について聞けたのも進路を決めた理由のひとつです。免許も取得でき、卒業後は薬剤師として就職しましたが、主人の仕事の関係で岐阜市に転居。新たな仕事を探していたとき、たんぽぽ薬局が創業に際して人材を募集していたのです。設立されたばかりの会社でしたので、運営や医療サービスなどのシステムの構築のすべてを「みんなで作りあげていく」という高揚感や期待感を感じ取ることができました。私はワクワクしながら入社を決意しました。
 それから20年が過ぎ、会社は大きく発展しました。私は店舗での薬剤師の業務から研修部での指導業務など経て、現在の役職に就いています。行動は遅い方ですし、要領も決していいわけではありません。しかし、私が成長できたのは、この会社を通じて出会えた人々に支えがあったからと、心から感謝しています。

スタッフたちの心づかいが
見えるとうれしい

 職場は風通しがよく、薬剤師の女性社員が多い会社です。私の仕事は店舗の現状を把握し、調剤ミスを防止するためのシステムの確認など、店舗業務のサポートにあたるのですが、患者様から寄せられるクレームへの対応は責務です。患者の「患」という字は「心に串」と書きますが、病気になると人は心身とも弱くなります。健康に関わる仕事なので、きめ細やかなサービスや寄り添うような対応が必要です。多くの店舗があるため、クレームも少なからずあります。しかし、誠意をもってご説明申し上げれば必ず伝わると、常に前向きに臨んでいます。
 クレームの原因はこちらの業務内容や対応などが多いです。苦情や改善を求められた社員も含め、現場では「サービスを提供してお客様に『ありがとう』といわれる仕事は他にないよ」と伝えています。実は私自身が以前に患者様に「患者である私たちは毎日の薬がないと生きられない人もいる。あなたたちにとっては毎日の仕事というだけかも知れないけれど、あなたたちは命という、重いものを預かっているのだ。だからこそ人に感謝されるのだから、やりがいをもってやれる仕事だ」といわれたのです。私はその言葉どおりだと心底思いましたし、感激しました。若いスタッフたちがプロ意識、責任感に目覚め、満足ややりがいを見いだせるようにと、この話を折に触れてスタッフに伝えています。毎週定期的に各店からの報告が集まりますが、スタッフが知恵を絞って患者様のために工夫したことや改善点、心づかいが見えるとうれしい。それが私のやりがいであり、仕事の魅力だと思います。

どうしても会いたくなって
愛犬のもとへ帰ります

 私の自宅は京都府・木津川市にあります。ウイークデーは岐阜市や出張先で仕事に没頭しますが、週末は自宅でのんびり過ごしますね。家族は主人と愛犬のゴールデンリトリーバー、桃太郎。時々、どうしても桃太郎に会いたくなって、平日に突然帰ることもあります。尻尾を振りながら、飛びついてきてくれる桃太郎に、いつも癒やされています。
 人知れずくよくよ、いじいじと悩んだり、考え込んだりする性格なので、犬と自然を感じながら山々を眺めて散歩をすると、気持ちを切り換えることができて、考えもまとまります。犬の散歩と寝ることが大好きで、しっかり休んで仕事に向かう活力を蓄えています。

地域に役立つ薬局へ
この仕事の魅力を人々に

 父は教員でしたが、私は大勢の人前で話すことが苦手でした。ですから20年前は、現在のように社内研修のみならず講師を務めたり、スタッフの指導にあたったりするなど、想像もできませんでした。しかし、会社との出会いも含め、運命だったのか、と思うことがあります。「艱難汝を玉にす」。自分に言い聞かせていることわざですが、振り返れば言葉どおりでしたし、そう思えばこれからも頑張っていけそうです。今後は地域の人々を招いての健康相談会の開催や、超高齢社会における薬剤師の存在価値を見出すために、地域に出て行ける薬剤師の育成にも努め、地域に役立つ薬局づくりに尽力したいと思います。たんぽぽ薬局は岐阜から始まった薬局です。岐阜を中心に、たんぽぽの綿毛が広がっていくよう、これからも魅力を広める活動にも力を注いでいきます。