岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

自然と共生する職業「農業」の
素晴らしさを感じながら日々活動
経営、食育、生活改善と
魅力を多角的に発信したい


岐阜県女性農業経営アドバイザーいきいきネットワーク理事
和田明美さん(郡上市)

【2017年4月20日更新】

農村地域の活性化や社会参画等に積極的に取り組む女性を、岐阜県知事が認定する「岐阜県女性農業経営アドバイザー」。前年度、県の代表を務めた和田明美さんは、現在、中濃ブロック役員として、農業経営についてのアドバイスをするほか、食育や教育、ライフスタイルの提案など、幅広く活動しています。

農業経験ゼロからスタート
モチベーション維持のため勉強

 いまは、トマトを中心に栽培・出荷しています。従業員もいて、若手、女性が活躍しています。ですが、私は結婚するまで農業の経験がまったくありませんでした。郡上市内で生まれ育ちましたが、高校を卒業し市内で会社員として働いていました。結婚をして、子どもを産んで、ゆっくりと暮らしていくんだろうな、と思いながら仕事をする日々でした。
 農家に嫁いだのは、30年前。畜産も営む義理の両親のもとで、サポートするようにトマト栽培へと入っていきました。朝起きて家事をして、農業を手伝う。このリズムだと、仕事として携われるのは、1日のうちせいぜい3時間程度。しっかりと向き合うことができずにいました。そんなころ、学生時代の友人や職場で同僚だった人たちは、それぞれのキャリアを積んでいき、なんだか自分が世の中から取り残されているように感じ始めたのです。
 「この先もずっと農家で生活していくのに、私は生きがいや、やりがいをもっていけるのだろうか」と、とても不安になりました。また、何もしないと農業がすたれていき、自分たち家族の暮らしもままならなくなる、という危機感もありました。そこで、各地に出向いて、農村景観デザイナーやガーデニングなど、あらゆる研修に参加し始めたのです。

子どもを3歳から保育園に預け
本格的に農業経営を模索する

 3人の子どもがいますが、2番目の子がまだ3歳のときから保育所に預けました。周辺では、まだ0~3歳児保育が一般的でなく、条件や書類の用意は大変でしたが、おかげで職業として農業に取り組む体制が、私のなかで整いました。
 雑草なのか花の苗なのか区別がつかず、農業に使う道具の名前も分からない。専門用語なんて、まったく理解していなかった私が、勉強を重ね、多くの人とつながったことで生産者の集まりなどにも出かけるようになりました。
 第一は、「農業が衰退してしまうことへの危機感」でした。私自身がモチベーションを保つことも大切ですが、いま大事なのは若い人が飛び込んできて、続けてくれるようにすること。全国から農家が集まる「NPO田舎のヒロインズ(現名称)」では、同じような境遇や先輩の女性と出会い、「農家の嫁」の形を教えてもらいました。これからは、多くのことに挑戦していかなくてはいけないと感じたのも、この出会いがあったからです。その後、地元の女性農家のみなさんとグループをつくって生花の販売ルートをつくったり、花フェスタに出展したりもしました。家業のトマト生産を充実させるために生産量を拡大したり、後継者育成にも力を入れました。女性は経理面が得意ですから、生産や技術の向上に力を入れる男性の支援にも能力を発揮できます。「農家のお母さん」のイメージより「農業経営者」といった方が近い印象かもしれません。

女性農業経営アドバイザーとして
あらゆる方向から担い手を支援

 いまは、担い手の育成や農業から発信できる食育にも力を入れています。女性農業経営アドバイザーの仲間と勉強会を開いては、担い手をどう支援するのが良いのか模索。まずは、我々自身の経営がしっかりしていないといけません。これまでの時代は、女性が参加する農業は「家業の手伝い」といったイメージが強くありました。私が嫁いできた30年前に比べるとずいぶん改善したと思います。子ども預ける体制も整い、家族の支えとともに全員でしっかりと働く仕組みができています。全国にネットワークができたことで、さまざまな情報も入ってくるので、改良の繰り返しですね。
 今年度、郡上市農業女子会を開きました。この地区の農業者を集めて、より多くの人に勉強する機会を提供しています。今回は講師を招いて生産者、経営者と多角的に話を聞きました。農業に挑戦したいといってくれる若い人を結び付けられると良いと考えています。
 食育の面では、海外から入ってくる農産物もありますが、日本、特に地元でつくられているものに、少しでも多くの人に関心をもってもらえるよう発信していきたいです。つくる側のモチベーションアップにもつながりますし、体をつくる大切な食事ですから、より多くの人が真剣に考えてくれるとうれしいですね。例えば体調が悪いときに、何をどう食べるとより良いか、知恵を発信していけるような農業経営者でありたいです。
 女性農業者の集まりには、総会や研修会があり発表者として登壇する機会を設けています。準備をして発表するには、大変なエネルギーと時間が必要ですが、活動を通して責任と自信をもって、我々の意識を高めていきたいです。経験者としての力、発想力、計画力などがついて、若い人の意見なども受け入れやすくなりました。女性や若手が活躍するためには、彼らのアイデアを埋まったままにしないことが大切。老若男女が一緒になって、誰にとっても働きやすい農業環境を整えていきたいです。農業は自然の一部として取り組める職業です。自然から多くの情報や知識を得ることができます。
 学生時代の私を知る人にとっては、こんなにも積極的に活動している私を想像できないと思います。それくらい、農業に出会ってから変化がありました。最初は危機感からのスタートでしたが、いまは農業がもつ可能性や魅力を理解して多くの人に知ってほしいと願っています。