岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

好きという情熱で貫いてきた
高山の「あったかい学童保育」
子どもたちが笑顔で過ごし
成長していくのを支えていきたい


NPO法人学童保育すまいる高山 支援員
永瀬伸子(ながせ のぶこ)さん(高山市)

【2018年2月27日更新】

放課後や長期休暇中、親の仕事などの事情で、家で一人きりになってしまう子どもを預かる活動が放課後児童クラブ(学童保育)です。高山市では17校区の学校や公共機関にクラブを置き、NPO法人「学童保育すまいる高山」が受託運営しています。永瀬伸子さんは立ち上げから中心となって参加し、理事長や理事を退いた今も支援員として子どもたちと向き合っています。

わが子のように成長を助ける
高山市の「あったかい学童保育」

 私は高山市で生まれ、23歳で結婚し、5年間勤めた仕事を辞めた後、主婦として3人の子どもの子育てをしていました。結婚前は、自分がしっかりと子どもを育てられるか不安で、苦手に思うこともあったのですが、いざ自分が子育てをしていると楽しくて。高山子ども劇場など地域の団体にも参加していました。
 子育てが落ち着いた時に、岐阜県の就業支援事業の中の内職相談員に就きました。6年ほど勤めた後、平成13年に友人から「一緒に学童保育をしないか」と声をかけられたんです。
 当時、高山市は留守家庭児童教室を運営していました。学生時代、国語教師を夢見ていた私にとって、通っている子どもたちと、わが子、わが孫のように向き合い、時には真剣に叱り、一緒になって笑う指導員の仕事は本当にかけがえのないものになりました。

高山の学童保育を残すため
誰かがしなければという思い

 平成19年、留守家庭児童教室が民営化されるのを契機に、学童保育の任意団体の設立に向けて動き出しました。指導員の仲間に声をかけ、20人が発起人に名を連ねてくれましたが、決して私が広い人脈や求心力などをもっていた訳ではありません。ただ、自分たちがこれまで築いてきた「あったかい学童保育」を残したい、自分たちが好きな高山の学童保育を誰かがしなければいけない、そんな思いが強かったです。しかし、いざ動き出すと、決めたことに対する透明性が求められました。なぜ、このような決定になったのか、いつも丁寧に話し合い、説明するのを心がけていました。経験のない団体運営に四苦八苦しながら奔走し、ついに2年後、NPO法人「学童保育すまいる高山」として法人化できました。
 立ち上げた後も手探りの活動が続きました。私は理事長や理事として組織運営をしながら、現場では手作り工作など、全員が楽しめる遊びを検討しました。体育館などを利用して、体を動かす遊びも取り入れていきました。

活動を続けられたのは
仲間の支えと子どもの笑顔

 NPO法人「学童保育すまいる高山」は、高山市内の17校区で子どもたちが過ごせる場を提供しています。平日は放課後の数時間、夏休みなどの長期休暇中は一日開いています。しかし、私が担当する学区を担う支援員は、私を含めて4人体制で、私はリーダーの役割を担ってきましたが、最初はまったく休みが取れずに、必死にクラブを開いていました。幸い、サポート仲間が増えて、いまではしっかりシフトを組んで休めています。
 また、他の学区と連携が取れているのも高山市の学童保育の特徴です。月に1回、会議を開いて、事例を共有したり、困りごとを相談し合ったりしています。クラブのリーダーとして15年も続けてこられたのは、そんな学区内外の仲間のおかげです。
 今年6月に法人の理事を退任し、今は支援員として現場に集中しています。活動を通して得られるのは、なんといっても子どもたちの笑顔です。春に入学したばかりの小さな一年生が、翌年にはしっかりと小学生らしく成長している姿を見ると、うれしくなります。高山市の子どもたちは素直な子が多く、甘えてきたり頼ってきたりする場面も少なくありません。「学校の先生には言えないけれど、おばちゃんには言える」。そんな風に言ってくれるととてもうれしいですし、子どもたちの成長の一助になれていることを誇りに思っています。

高齢化も、後継者不足も
仲間とともに乗り越えたい

 私の趣味はバドミントンです。いまも地域のクラブに所属し、楽しくシャトルを打っています。クラブには80歳代の方も参加していますので、私も80歳までは続けていきたいです。また、バドミントンの楽しさを知ってもらいたいと、子どもの体験教室を13年間続けています。学童保育もそうですが、子どもたちと過ごすことが私の喜びです。子どもたちの笑顔を大切に、これからも続けていきたいです。
 現在、私には6人の孫がいます。息子や娘の姿を見て、現代の親は本当に大変だと感じています。だからこそ、今後も子どもたちと保護者を支えていきたいと思いますが、NPO法人「学童保育すまいる高山」は高齢化が進み、後継者不足に悩んでいます。70歳代で元気に子どもたちと過ごしている支援員もいるので、私も子どもから元気を受け取ってがんばりながら、高山市の学童保育を大切にしてくれる新しい仲間を探していきたいです。これまでも「ピンチはチャンス」と思って乗り越えてきましたので、心強い仲間たちとともに、新たな仲間を探し、高山市の「あったかい学童保育」を残していきたいですね。