岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

息子と一緒の時間を大事にしたくて
地元での起業を決意
有名な女性社長になって
中津川市の魅力も広めていきたい


株式会社スリール代表取締役
beauty biz salon D→START中津川 代表

安保里香(あぼ りか)さん(中津川市)

【2018年3月30日更新】

起業を目指す女性たちを支援するために、2016年に地元・中津川市で株式会社スリールを設立した安保里香さん。異業種の店主が集まり運営していくシェアサロン「D→START」を商店街に開設し、中津川市の女性たちが楽しく仕事ができるように応援しています。現在36歳。10歳になる息子さんと過ごすひと時も、大切な時間です。

息子との時間を大切にするため
地元での起業を決意

 小さい時から「目がちっちゃい。似顔絵が簡単でいいね」と、友だちにからかわれていた私は、自分の笑顔が嫌いでした。そんな私は、美容と健康に子どもの頃から関心があり、20歳の時、名古屋の美容系企業にエステティシャンとして就職。翌年に結婚し、26歳で出産しました。
 会社には育児中でも働きやすい環境が整っていました。エステティシャンの仕事が大好きだったこともあり出産後も仕事を続けましたが、29歳で離婚。母を頼り、小さな息子を連れて地元・中津川市で暮らすことにしました。
 しかし、実家から名古屋の職場までは片道約1時間半かかり、台風で2日間、帰宅難民になったこともあるなど、息子と関わる時間が減り、不安が募りました。息子の面倒を見る母の負担も考慮し、中津川市で仕事を探しましたが、条件や待遇を考えると、美容業界で私が働ける場所はなく、独立するにも自信がない。異業種でのパート勤務も考えましたが、何をすればいいのか分からなくなり、息子や母に申し訳なく思いながらも名古屋で仕事を続けていました。
 悶々としながら5年が過ぎた頃、知人から、美容系の事業で独立を目指す人たちがワークスペースを安く借り、自分の技術をお客様に提供できる「D→START」というシェアサロンがあることを聞きました。私はさっそく会員になり、名古屋でエステの店を開いてみたのです。ほかの会員との交流や情報交換から刺激をもらった私は、「地元で独立開業しよう」と意志を固めました。
 まず、中津川市をマーケティングして情報を集めました。妊婦や私のようなシングルマザーが意外にも多いことが分かり、需要に応え、店を特徴づけるマタニティー整体の技術も習得しました。並行して店舗の場所探しも行いました。気に入ったのが現在の場所で、駅にも近い商店街の中という好立地でした。「自分には広すぎて家賃も高い」と意気消沈する私に、「D→START」を統括する淺倉(あさくら)隆志社長が、フランチャイズ加入を勧めてくれました。ありがたい提案に私は意を決し、2016年に「D→START中津川」を開設し、その運営を担う株式会社スリールを設立。シェアサロンの中に、エステ&マタニティー整体の自店もオープンさせました。
 スリール(Sourire)はフランス語で「笑顔」の意味です。「みんなが笑顔で活動できる場所づくりを使命とし、それを果たすことで自分も笑顔になりたい。そして嫌いだった自分の笑顔を好きになりたい」という私の夢や願いを込めました。

地元の祭りへの出店後から
シェアサロンが理解されるように

 開業から1年後の現在、「D→START中津川」を足がかりに起業した会員には、英語塾や空手フィットネス、起業塾などの講師がいます。店舗は、各種セミナーや、商店街の人々の会議や打ち合わせなどにも利用されます。会員は必ずしも起業を決意した女性ばかりでなく、自分の趣味や特技が仕事にできるかどうかを試したいと考える人もいます。それぞれが自身のライフスタイルに合わせて、やりたいように仕事を始めています。「D→START中津川」を通して人脈作りができるので、自ずと活躍の場は広がりますし、女性が活躍すれば中津川市の活性化にもつながります。
 当初はシェアサロンという概念が受け入れられず、半年ほどは会員の増員と集客に苦戦しました。そんな中、会員と一緒に地元のお祭りに出店し、たこ焼きとクレープの販売、プチマルシェや英語のカードゲーム、ワンコインエステなどを試みました。これがきっかけとなってシェアサロンに人の流れができ、口コミで会員とお客様が増加し、次第に理解されるようになりました。
 現在の課題は、「D→START中津川」のカフェスペースを活用した起業を目指す会員の確保と、美容室ブース開設の認可。手芸・工芸などのワークショップの開催も企画しています。

働くママの姿を子どもに見せたくて
かわいいキッズルームも用意

 「D→START中津川」を利用するお客様のためだけでなく、会員のママたちが子ども同伴で出勤できるよう、キッズルームを設けました。子どもたちに、働くママの姿を見てほしいからです。
 私の息子は10歳になり、最近はバスに乗って職場に来られるようになりました。「ママががんばっているから、僕もがんばる」と、心強い言葉をかけてくれます。しっかり育ってくれてうれしいですね。いつもそばで成長を感じることができ、地元での起業を決断して本当によかったと思います。まだまだ長期休暇は取れませんが、休日はなるべく長く息子と過ごし、一緒に運動して思いっきり遊びます。中津川市の川沿いを息子と2人で歩く時間は、心穏やかになれるひと時です。

おせっかいなオバチャンになり
少子化の進行を食い止めたい

 マタニティー整体のお客様は体に不調や痛みを抱えているので、私がちょっとさすってあげるだけでも楽になるのが分かり、エステとは違う意味でのやりがいを感じます。何といっても妊婦の放つ幸せオーラは素晴らしいです。妊婦に触れた手から幸せをもらえる気がします。
 人口減少や少子化の進行を食い止めるには、男女の出会いの場が不可欠です。婚活パーティーも開催してきましたが、参加者の多くはコミュニケーションやアプローチが上手くできていませんでした。そこで、東京へ通って日本婚活教育協会認定講師の資格を取得しました。中津川市の男女のための「自分磨きの学校=結婚の学校」を開講させる予定で、ワクワクしているところです。
 このほかにも、新たな夢ができました。それは、中津川市と恵那市の両市で一番有名な女性社長になることと、何でも知っているおせっかいなオバチャンになること。いずれは、実家の飲食店も盛り上げたいと思っています。そのためにも、人脈作りは大切。異業種間の交流会に可能な限り参加して、積極的に自分をアピールしています。「D→START」は全国に展開しているので、全国のオーナーとも交流して、中津川市の魅力も広めていきたいです。
 昔は自分の笑顔が嫌いでしたが、たくさんの夢ができた今は違います。少しですが、自分の笑顔に自信が持てるようになっています。これからも、たくさんの人の笑顔が輝けるように、がんばっていきたいです。