岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

地域の人が動いて初めて
まちづくりは成功する
気軽に協力してくれる人々を見て
地域の良さを改めて感じました


江名子校区まちづくり協議会 事務局長
常光亮子(じょうこう りょうこ)さん(高山市)

【2018年4月27日更新】

社会教育委員会と町内会が一体となり、より良いまちになるように奮闘する江名子校区まちづくり協議会。その協議会で事務局長を務める常光亮子さんは、地域の人々と協力しながら、防災イベントや運動会、地域交流事業の運営など、さまざまな企画を進めています。

職場の後押しを受けて
社会教育の充実に突き進む

 夫と結婚してから、しばらくは専業主婦として過ごしました。夫の転勤についていき、なかなか定住とまではいきませんでしたが、夫が亡くなってしまったため、やむを得ず生まれ故郷の高山市に帰ってきました。
 最初は母子相談員として県飛騨福祉事務所の嘱託職員になり、その後社会福祉協議会に入職。社会福祉協議会というと、高齢者サポートのイメージを持っている人もいると思いますが、子どもから高齢者まで幅広くサポートしている団体でした。そんな中で仕事を続けてきて、特に興味をもったのは社会教育活動。職場の理解もあり、社会福祉より社会教育に多く携わらせてもらったと思います。

子どもたちの心を満たし
「家庭教育」をアシスト

 教育には、「学校教育」と「家庭教育」、「社会教育」の3つの柱があります。そのなかで「家庭教育」については、共働きなどにより、家族で過ごす時間が短くなっている家庭が少なからずあり、徐々に家族のつながりが薄くなってきているように思います。だから、子どもたちを家族や学校だけに任せるのではなく、社会でも子どもたちを育んでいかなければならない。家でも学校でも満たされない子どもたちを満たし、不足しがちな「家庭教育」をサポートするために、微力ですが、自分にできることを進めてきました。
 大切にしてきたのは子どもたちの心を満たしてあげるということ。ただ物を買ってあげる、与えてあげるのではなく、本当は何が必要なのか、子どもに寄り添った支援を心がけていました。

地域の安全意識を高める
防災イベントをスタート

 平成25年に社会福祉協議会を退職後、江名子地区社会教育推進協議会で社会教育主事を2年務めていました。同協議会は平成27年に江名子校区まちづくり協議会に変わり、私はそのまま協議会に残りました。現在は事務局長として、江名子校区のまちづくりのお手伝いをしています。
 江名子校区まちづくり協議会は、「総務部会」「町内会部会」「社教部会」の3部会で組織しています。社会教育委員会と町内会がうまく融合したようなまちづくり団体です。新しい企画を考えた時は、役員の皆さんに説明し、合意を得なければならない大変さはあります。しかし、それ以上に社会教育委員会と町内会が協力し合えるのは大きな利点。幸い、江名子校区は皆さんが協力的で、多くの人を巻き込んで、より充実した内容のものを生み出せています。
 そうして生まれたのが、江名子校区で行われた防災イベントです。神戸市で行われていた「イザ!カエルキャラバン!」を参考に、子どもたちが遊びながら防災について学ぶ機会を作ることができました。江名子校区は水害や土砂災害が多い地域。もし、災害が発生した時、どのように自分の身を守っていくのか。また、どのように周囲の人を助けていくのか、体験しながら学びます。
 当日は子どもだけではなく、保護者や近隣の高齢者など200人が参加し、改めて災害に向けた意識を持つ機会になりました。

周囲に支えられながら
より良いまちをめざし奮闘

 ほかにも、小学校の協力のもと、ひとり暮らしや高齢者世帯の自宅に子どもたちが訪問する企画を実施。上江名子や山口地区で、一斉下校の日に通学路の途中にある家に住む高齢者世帯に手紙を持っていってもらっています。主導するのは小学生で、お土産を何にするのかなどを自分たちで考えることにより、自主性と思いやりを育むねらいがあります。何より、子どもと高齢者の世代間交流が一番の目的。子どもたちからの手紙に涙を浮かべながら喜んでいたおばあさんもいるそうです。
 まちづくり協議会の仕事は夜遅くまでかかる日がほとんど。ハードな仕事ですが、家族やまわりの人に支えられながら今まで続けられました。いま、新たな試みとして、子ども食堂の開設や、高齢者の外出支援事業、高齢者の居場所作りなど、声をかけた地域の人々に快く了解をもらっています。社会福祉協議会や行政サイドが与えるのではなく、地域の人々と協働して初めてまちづくりになります。そういう観点でも、江名子は「良いまちにしよう」という意思が感じられてやりがいがあります。
 休みの日は、詩吟や民話の語り、絵本の読み聞かせなどで過ごしています。民話など、飛騨弁で語っているのですが、子どもたちが未来に受け継いでいってくれるといいです。ほかに、最近は忙しくてなかなか行けていないのですが、登山も好きです。そうした趣味で息抜きをしながら、子ども、親、高齢者が安心して集まれる場所を作り、江名子が「皆が笑顔でいられる地域」になるよう、微力ながら頑張っていきたいです。