岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

アイデアマンだった祖父のように
起業したネットショップを
軌道に乗せ
家族との時間も大切に
社員とオリジナル商品をつくりたい


ハッピーナチュラル代表 株式会社ナカヤマ取締役部長
田中美帆(たなか みほ)さん(恵那市)

【2018年6月19日更新】

27歳の時に出会った「断食道場」をきっかけに、幼い頃から苦しんできた身体の不調から解放された田中さん。有機野菜や無添加の食材を使った「自然食」の底力を体感し、ネットショップを起業してから8年が過ぎました。バリバリ働きながら4人の子どもの食事にも気を遣い、子育て世代の女性はもちろん、起業の分野からも注目を集めています。

幼少から不健康だった身体が
「自然食」に出会って一変

 私は幼い頃からイライラしてよく怒る、手が焼ける子どもでした。中学生の頃は自律神経失調症と診断され、高校生で十二指腸潰瘍になり、大学生の頃から血を吐くようになるほど、身体が常に不快な状態でした。
 祖母が胃がんを患うようになると、「このままいくと自分もがんになるのでは」と、不安にかられるように。心配した父母が27歳の誕生日プレゼントとして、福島県にあった「断食道場」に1週間行かせてくれました。そこで有機野菜や無添加の食材を取り入れた「自然食」に出会い、長年悩み続けてきた身体の不調を解消することができました。
 毎日10キロ歩き、水は最小限、食事は一口ごとに200回噛みながら、茶碗に半分ほどの玄米を1日1回食べるのがプログラム。今思えば、修行のようでした。最初の3日ほどはだるかったのですが、5日目ぐらいから頭とお腹の痛みが消えて、ぐんと元気になりました。同時にデトックス効果も感じられました。

ブログの読者が顧客に
ネットショップを起業し商品開発も

 11年前に、食事と水で体調を整えたり、4人の子ども全員を自宅出産したりといった体験を交えて、子育ての様子をブログにアップし始めました。いつの間にか、アクセスが月間70万件を超えるように。「ブログにあったあの商品がほしい」という読者の声も増えたため、一念発起してネットショップ「ハッピーナチュラル」を2009年に立ち上げました。祖父が始めた株式会社ナカヤマにIT事業部を設立する形を取り、無農薬野菜などの食品を中心に、安心安全にこだわった商品の販売を手がけています。
 最初は1人でしたが、現在は正社員4人、パートスタッフ5人となり、私を入れて10人体制に。無農薬野菜の詰め合わせは、県内約20軒の契約農家の協力を得て、一年中取り扱っています。お菓子や調味料、洗剤、化粧品などは、私も含め、スタッフが使って満足した商品を厳選。常時1,200点を扱っています。
 最近はオリジナル商品にも力を入れ、ベジタリアン向けの大豆のそぼろや、無肥料で無農薬の自然栽培米を焙煎したコーヒー仕立ての穀物飲料、身体の下半身を締め付けから解放する「美人ショーツ」などを商品化。今後は私一人でなく、社員と一緒にオリジナル商品をつくり上げていきたいです。ブログの読者がそのまま顧客になる形で、「ハッピーナチュラル」の会員は8,800人を超えました。
 顧客は関東の人が多いですね。消費者との出会いの場も必要だと感じ、これまでに10回ほど東京で「子育て」「起業」「自然食」について講演してきました。

子どもを思いやった食事を
カフェと店舗の出店が次の夢

 現在は主人と長女、次女、長男、次男との6人家族。自宅出産を通して「自分を信じることが大切なんだ」と、人体の神秘を感じました。主人が、「家のことをママが一人でやるのは無理。家族皆でやろう」と言ってくれたおかげで、階段や玄関の掃除などを、子どもたちが分担して手伝ってくれるようになりました。主人は、事業部が四つある株式会社ナカヤマの社長を務め、とても忙しいのですが、週に一度は料理をつくってくれます。
 自分の体験から、子どもたちの食を大切にしたいと思い、家事では調理に重きを置いています。家庭の食事がしっかりしていれば、子どもたちが添加物の多いお菓子を食べたとしても、添加物に対処できる身体づくりができます。
 今後の目標は、子育て中の女性や、アレルギーがある人でも気軽に楽しめるカフェを併設する店舗を、恵那市に出店すること。株式会社ナカヤマの70年近い歴史の中で店舗を構えたことはなかったので、新たな挑戦です。リヤカーで砂糖の販売を始めたのが、祖父の会社経営の始まり。ふと気づいたら、自分もアイデアマンだった祖父と同じ道を歩んでいると思いました。
 これからも人とのご縁を大切にして、「株式会社ナカヤマを岐阜県で一番の会社にしたい」という主人の想いを支え、「ハッピーナチュラル」の社員が一段と輝くように、頑張っていきたいです。