岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

女性が地域とつながりを持てる
ネットワークづくりを
女性の活躍推進に早期から注力
総合福祉グループの礎を築く


株式会社羽島企画 代表取締役
宇野恵利子(うの えりこ)さん(羽島市)

【2018年7月17日更新】

女性の特性を活かして主婦仲間と立ち上げた、株式会社羽島企画。20年を経て、365日24時間安心を提供する、「トータルケア」を推進する総合福祉グループへと成長しています。起業時から現在に至るまで、会社を牽引し続けてきたのは代表取締役の宇野恵利子さん。活力の源には、志を共にする仲間の存在がありました。

家族の介護生活を経て
新たな人生を歩み始める

 兼業農家に嫁ぎ、子育てをしながら幼稚園教諭、社会教育指導員として働きました。結婚した女性は、仕事を辞めて家庭に入るのが当たり前だった当時。義母が仕事の継続に理解を示し、子どもたちの面倒を見るなど、サポートしてくれたのはありがたかったですね。
 キャリアを重ねていきましたが、義父母の介護をきっかけに退職。当時は介護保険制度の施行前で、介護は家族の役割と考える時代。長男の嫁として、介護に専念しました。負担は想像以上に大きかったですね。後に介護事業に参入する決め手となったのは、介護に関わるご家族を助けたいという思いでした。
 4年を経て義理の両親を看取ったとき、3人の子どもたちは中学生以上。手のかかる時期は過ぎており、再就職を考えましたが、40歳を過ぎた女性には厳しい状況でした。「これから何を生きがいにして生きていこう」と悩み、思いついたのが「自分と同様、生きがいを求めながらも活躍の場を見つけられていない、主婦や母親を受け入れる駆け込み寺」だったんです。

女性ならではのサービスを
主婦仲間3人と起業

 1999年3月、志を同じくする主婦仲間3人と羽島市に事務所を設置。主婦の集まりにちなみ、「ママーズ」という愛称を付けました。掃除や家事の代行、ベビーシッターなど、女性の視点と経験を活かせるサービスを提供。子どもたちを連れてきて、スタッフ同士で面倒を見るときもありましたね。
 すぐに仕事が舞い込んでくるはずはなく、地域の祭りに参加したり、手づくりのチラシを配ったりして、まずはママーズを知ってもらう広報活動から始めました。
 初めての仕事が決まったときの喜びは、今でも忘れられません。地元の建築会社から清掃の依頼が入ったんです。心を込めて、隅々まで磨き上げました。
 設立から1年後には介護保険法が施行され、訪問介護事業所の指定を受けました。その後も利用者の方のニーズに応えながら、徐々に事業を拡大。今でこそ300人を超える職員が働き、訪問介護、障がい福祉サービスといったさまざまなサービスを提供していますが、当初はこれほどの規模になるとは思ってもみませんでした。
 成長し続けられたのは、「現状維持は破滅の第一歩」「お断りしない羽島企画」というモットーがあってこそ。「これでいいと納得してしまったら、成長はそこで止まってしまう」「できないと諦めるよりも、まずはできる努力をしよう」と皆を鼓舞し、次の目標に向け弛まず歩んできました。そうして壁を乗り越えるたび、できたこと一つひとつが仲間みんなの喜びに変わりましたね。
 走り続ける私を支えてくれたのは、かけがえのない仲間たちでした。私にとって、職場の仲間たちは財産。本人の希望を最大限考慮した勤務体系はもちろん、職員の子・孫を無料で保育する事業所内保育所を設けるなど、働きやすい環境づくりを整えてきました。彼女たちにとって、私は少し先を走る女性。彼女たちの悩みは私にも覚えがありますから、気持ちはよく分かる。人生に無駄な経験は一つもなかったと、今振り返ってみて思います。

ママーズの理念を発信
新たな挑戦にも意欲

 仕事をするからといって、家事は決して疎かにはしないと決めていました。起業を決めた際、主人は何も言わず、私の好きなようにさせてくれたことに感謝しています。公務員を定年退職した現在は、社会福祉法人「恵母の会」理事長として、グループを支えてくれています。
 3人の子どもたちはそれぞれ結婚し、上は中学2年生から下は0歳児までの孫が7人います。3人とも会社を支える一員となり、社内の保育園で孫を含む大勢の子どもたちの成長を見られて、喜びを感じています。
 60歳を過ぎてから、新たにヨガに挑戦。事業所でヨガの講座を開こうと、インストラクターの資格を取得しました。岐阜伊奈波ライオンズクラブの会長を務めた縁で、クラブのメンバーと共にバンド活動も始めました。私はドラムを担当し、親睦会などで、これまで計5回披露しました。
 各事業所へは定期的に足を運ぶようにしています。敬老会などの行事では、ドレスや着物をまとい、美空ひばりさんの歌を披露。芸名、美空えりこの巡業は、涙を流してくださる利用者の方もいて好評です。利用者の方に喜んでもらうのはもちろん、日々頑張っているスタッフへ感謝を伝える貴重な機会になっています。
 夢に向かって、ひたすら前へ走ってきた私も今年で65歳を迎えました。ママーズの未来を担う優秀な人材が育ったので、今までの自分の仕事を整理しつつ、歴史や思いを伝えていくことが、今の私の役割だと感じています。
 同級生やライオンズクラブのメンバーなど、職場以外の仲間にも恵まれているので、宇野恵利子個人として、何か仲間と一緒に挑戦できる拠点づくりもしていきたいですね。これからの人生をよりよく生きるために、もう少し頑張りたいですね。今、ワクワクしています。