岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

子育て支援もまちづくりも
ここで暮らすのに必要だった
住民も観光客も過ごしやすい
美濃市にしていきたい


子育て支援もみじっこ 代表
鈴木美智子(すずき みちこ)さん(美濃市)

【2019年5月17日更新】

美濃市在住の鈴木美智子さんは、子育て支援団体「もみじっこ」の代表として、週2回のエクササイズ教室や料理教室のほか、未就園児親子が木育に触れることができる「みの赤ちゃん木育ひろば」の運営も担当。不要になった子どもの衣類やマタニティー用品などを譲り合う「りさいくるひろば」を年4回開催し、好評を博しています。また、うだつの町並みに自宅がある縁で、まちづくりにも参加。地域の人と手を取り合い、地域の活性化を目標に取り組んでいます。

「子育て中に自分の時間を」
自らの思いで始まった活動

 美濃市に住むようになったのは、今から15年前のこと。出身は東京都で、テレビ局の関連会社に勤め、番組の編集業務を行っていました。退職後、ドイツにスキー旅行へ行ったとき、同じツアーに参加していた夫と出会い、2004年に結婚。うだつの町並みにあるこの家にやってきました。
 それまで美濃市のことは知りませんでしたが、日本一周をしたり、フランスにワーキングホリデーに行ったりしていたので、知らない土地に住むことに抵抗はありませんでした。
 そろそろ仕事を探そうかなと思ったときに妊娠が発覚。そのまま子育て中心の生活が始まりました。子どもは現在、中学2年生、小学6年生、小学4年生で全員男の子です。子育て支援の活動は、自分の子育ての不便さから始まりました。
 美濃市では、未就園児をもつ保護者や妊婦を対象に、テーマを持って子育てについて学習する家庭教育学級を開催しています。活動中、子どもは託児。1時間程度、子どもと少し離れて自分の時間を持てる機会は貴重です。その中で、料理教室があったのですが、開催は年1回。「もっとたくさんしたい」と2010年、保健センターに依頼して、毎月開催できるようにしました。
 特定のメンバーだと、子どもの病気などで欠席もあると考え、1回ごとにメンバーを募集。次第に、「エクササイズもしたい」との声が上がり、週2回のエクササイズ教室が始まりました。託児は市役所に登録している託児ボランティアの方に有償で来てもらっています。

親子でほっと安らげる
木育ひろばの運営を担当

 当初、組織にしようという思いはありませんでした。転機となったのは2013年。「道の駅美濃にわか茶屋」にできた「みの赤ちゃん木育ひろば」の運営を地域の子育て支援団体が担うことになり、たまたま家庭教育学級の学級長をしていた縁で会議に参加。一番下の子が保育園に入園する年だったこともあり、少し手が空くかなと引き受けました。会議に参加するにあたり、正式な子育て支援団体が必要となり、「子育て支援 もみじっこ」を設立。木育ひろばの運営のほか、これまで取り組んでいたエクササイズ教室や料理教室も団体の活動としました。
 木育については、家庭教育学級で教えてもらい、大切だなと感じていました。母親は家にいると、子育て以外にもさまざまな雑事があり、どうしても気が休まりません。木育ひろばは、子どもだけと向き合える空間にしたいと思いました。
 広場はいつでも遊べますが、サポーターのいる時間は、倉庫の中にあるおもちゃで遊べます。また年4回、周りの人からの要望を受けて、不要になった子ども服やマタニティー用品などを譲り合う「りさいくるひろば」も開催。大人だけで100人以上の来場があり、にぎわっています。

観光業の盛り上げに貢献
誰もが使いやすい地図

 並行して発足当時の約10年前から、美濃市の活性化に取り組む市民団体「美濃ゆめまち会」にも関わっています。最初はひな祭りのイベント開催が目的でしたが、現在は、夏に「打ち水大作戦 in 美濃」も開催するようになりました。
 また、名所・旧跡とともに、店舗の情報を載せた地図も制作。2年ごとに改定しており、2018年の夏に3枚目を発行しました。今年2月には、英語版を初めて制作し、もっと多くの人に見てもらえる工夫をしています。掲載範囲は美濃市全体にこだわり、宿泊してゆっくり観光してもらえることを目指しています。
 商業について考える団体はたくさんあるので、横のつながりを強め、みんなで一緒に市内の観光全体を盛り上げていければいいですね。一軒一軒に確認をとるため、制作は大変ですが、店の人にも観光客の人にも喜ばれているので、とてもやりがいがあります。
 うだつの町並みでは空き家対策が進み、6年間で商店の数が1.5倍以上になりました。それでも、人口減少は進んでいます。町並みで生活をしながら、商売をするファミリーが増えるとうれしい。そうすれば、人口が増え、美濃市が好きな子どもも増え、まちが長く続いていきます。

活動を通して感じた
美濃市の魅力

 私にとって、子育て支援もまちづくりの活動もリンクしていて、この地域で暮らしていくために必要だったと感じています。おかげで知り合いも増えました。
 美濃市は、目に見える範囲で子育てができる場所。うだつの町並みはもちろん、市内で外食すると大体知り合いに会います。それが子どもたちを見守ってくれているという安心感につながっています。狭いエリアに職人や料理人などが集まっているので、いろんな刺激ももらえます。
 プライベートでは、子どもたちの習い事の送迎が大半ですが、ママ友やゆめまち会で出会った人たちとお酒を飲みに行くこともあります。徒歩圏内にいろんな店があるので、家の近くで自分の時間を楽しんでいます。人と話していると新しいアイデアも生まれてくるので、大切な時間ですね。
 これからはもっと木育ひろばを活用していきたいのと、エクササイズ教室も人数を増やして頑張っていきたい。地域に住んでいる母親がもっと安心して過ごせるまちになれば、移住者が増え、観光客にとって優しいまちになれば、商店が増え、空き家が減るかなと考えています。