岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

人を育てる立場のいま、
後進の介護士たちには
誇り高く仕事をしてほしいと
願っています


社会福祉法人慈恵会 特別養護老人ホームさわやかナーシングさかほぎ 養護老人ホームさわやか日本ライン 施設長・坂祝エリア長
奥村るみ(おくむら るみ)さん(加茂郡坂祝町)

【2019年5月23日更新】

短大を卒業後、保育士として働いた奥村さん。結婚後は専業主婦をしていました。2人目の子どもが成長し手から離れるとデイサービスで働き始め、それを転機に介護・福祉の資格を次々に取得。知識や経験を重ねる中で、納得のいく介護がしたいと2002年に慈恵会へ転職しました。以来、自分の目指す介護を追求し続け、県の介護福祉士会理事として社会における介護士の立場や意識の向上に努めています。

自分の理想の介護をするために
資格取得にチャレンジ

 保育園で3年間勤めた後、23歳で結婚。専業主婦となり、2人の男の子に恵まれました。次男が保育園に通い出したのを機に仕事を探し始め、29歳で初めてデイサービス施設で介護の仕事に就きました。そののち同グループの特別養護老人ホームへ移動になりました。実務経験を重ねましたが、痛感したのは自分の知識不足です。そこで、仕事をしながら勉強。まずは介護福祉士の資格取得に挑戦し、ケアマネージャー資格も取得しました。しかし、あるとき慈恵会が自宅に近い環境で他の利用者と共同生活を送りながら介護を受ける「ユニットケア」(※)の特養を設立すると聞いたのです。「ユニットケアなら一人ひとりの利用者さんにじっくり向き合うことができる。きっとそこでなら、自分が納得して介護ができる」と、胸が弾みました。慣れ親しんだ職場でしたが、志を貫くため意を決し、2002年に慈恵会へ転職しました。
 転職後も通信教育で大学を卒業して、社会福祉士資格を取得。2005年には認知症の方が入所するグループホームの生活相談員につきました。認知症の方への接し方を学びながら、認知症ケア専門士の資格を取得。これまで、さまざまな資格に挑戦してきましたが、すべては自分がめざす介護をするための学習手段なんです。特養の介護長を経て、現在は2カ所の施設長と坂祝エリア長を務めています。
 ※入所者を少人数のグループに分けて、家庭的な雰囲気の中で介護を行うこと

利用者さんの生き様を知ると
ニーズや気持ちが理解できます

 この仕事のやりがいは、利用者さんに「ありがとう」と声をかけていただけること。利用者のみなさんは、私たち職員に「理解してもらえた」と感じると、素敵な笑顔を見せてくれます。認知症によって言葉が上手く出てこなくなることにより、表現が違ってしまうときがあります。突然、若い時代に戻って発言したり、行動しようしたりすることもあるんです。普段からコミュニケーションをとって、人生や生きてきた時代背景を理解しておくと、その人に合った言葉がけができます。利用者さんのニーズを探り当てられたときは、心の中で「やった!」と思いますね。この感覚や喜びを若いスタッフたちにも味わってほしいと願っていますが、「その人を知らないといけないよ」、「人相手だよ」と何度も言いますが、言葉で思いやる気持ちを伝えることは難しい。失敗や経験から自分で考え模索するしかありません。特に認知症の場合、何回も同じことを聞かれることもあります。いつも新しいことを聞かれたように返事をするのは大変ですが、こちらが怒ったところで利用者さんも興奮してしまいます。ゆっくりと笑顔で声がけし、対応することが大切です。
 現在、県の介護福祉会の理事として研修会の企画を行うほか、介護の現場の実情や介護士の社会的立場などを他の理事や会員たちとで議論します。そのことでもやはり自分は人を育てていく立場にあると認識させられます。

後進を育てる立場になり
社会や介護士に思うこと

 胃ろうや吸引など、器具の取り扱いは医師や看護師でないとできません。現状では在宅療養の現場での医療依存度が高く介護士が実施可能な範囲が狭いため、医療従事者に頼らなくてはならない部分がまだまだあります。
 介護士には、医師や看護師と同じ専門職であるというプライドをもってほしいですね。「自分はこれだけの人を見ているんだ」という誇りが大切。胸を張ってそう言えるように知識や技術、話術を研鑽する意欲も持ってほしいと思います。介護士の意識を刺激し向上させるのも介護福祉士会の役割ですので、ここでの活動にも尽力したいと考えています。

地域に頼られる施設づくりが目標
ラグビーのW杯も楽しみ!

 利用者さんとの関係でも職場やプライベートでも、これまで私が人間関係を築く上で大事にしてきたのは「笑顔」です。また「何事も細く長く、頑張りすぎないように頑張る」、「自分がされて嫌なことは人にしない」を信条としてこれまでの人生を歩んできました。そんな私も最近になり自分の老後についてを考えるようになり、「いつか自分もお世話になるかも知れない。自分がお世話になりたいと思える施設づくりをしなければ」と思うようになりました。だれもが慣れ親しんだ地域のなかにある、馴染みのある施設で療養したいのではないでしょうか。今後は在宅療養がますます浸透し、地域の方々の利用者が増加します。その方々がいざ利用されるときに安心して頼っていただけるように、これまで以上に地域に根ざし、開放された施設にしていかなければならないと感じています。
 また、現在、息子二人と夫の家族4人暮らしですが、家でくつろいで楽しむテレビでのスポーツ観戦が大好きで、いまはラグビーに熱中しています。そして日本で行われるワールドカップが楽しみで、開幕戦や日本代表戦の観戦ツアーに主人も巻き込んで行きたいと思っています。