岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

心と身体が元気になれる食事とは何か?
そんな悩みを追いかけて
行き着いたのが、こうじ
簡単で、おいしくて、体にいい
こうじが持つ魅力を伝えていきたい


こうじキッチン こぎちゃん オーナー
小木曽淑子(こぎそ よしこ)さん(中津川市)

【2019年6月17日更新】

「こうじの魅力を伝えたい」とこうじ専門の飲食店を立ち上げ、講演会や教室なども開催。小木曽淑子さんは、こうじへの情熱を糧に、土日も休むことなく、中津川市を縦横無尽に走り回っています。多忙な日々を送る小木曽さんですが、その表情は笑顔。楽しくて仕方がないといった様子です。

体にいい給食とは何か
仕事の中で生じた悩み

 中津川で生まれ、高校まで地元で過ごしました。恵那高校を卒業後は、名古屋栄養短期大学に進学。卒業後は管理栄養士として名古屋市の公立学校で働き出しました。
 当時の仕事内容は、給食の献立作り。おいしい給食を子どもたちに届けるのに、とてもやりがいを感じていました。そんな私が自分の店をはじめたいと思ったのは、1996年ごろから猛威を振るったO-157が原因の一つです。
 強い毒素を出す病原性大腸菌が、学校給食によって集団感染した事例から、学校給食の方向性はおいしさより安全にシフトしました。生で食べた方がおいしいキュウリを茹で、ハウス栽培のトマトは真夏以外いつでもおいしく安全に食べることができますと宣伝する。そんな給食のあり方に、私は疑問を抱きました。
 中津川市で生まれ育った私にとって、子どもの頃のおやつは畑でとれた野菜。生のキュウリをかじり、夏の日差しで真っ赤に染まったトマトを頬張る。それが何よりおいしいと知っていました。また、なんでも加熱し消毒し、菌のないものを子どもに食べさせるのが本当に健康にいいのか。そんな悩みを抱え、仕事が楽しくなくなっていったんです。

理想の食を追いかけ
こうじをテーマに開店

 自分の本意ではない仕事をいつまで続けるのか、という葛藤が続きました。自分の理想の食を提供する店を開きたいという夢はどんどん膨らみますが、自分で店をするなんてできるはずがないと決めつけてなかなか決心がつきませんでした。2011年にやっと一歩を踏み出し、20年以上勤めた学校給食の仕事を退職。店を出すなら生まれ故郷の中津川がいいと思い、帰郷しました。本当は退職後すぐに開店したかったのですが、物件が見つからず、高齢者福祉施設で管理栄養士として働きながら、準備を進めていきました。
 2015年、念願が叶い、「こうじキッチン こぎちゃん」を開店。手作りの味噌や塩こうじ・醤油こうじ・甘酒、旬の食材を使った健康的なメニューを提供しています。コンセプトは店名の通り、こうじを使い、旬の食材や地元の食材の良さを伝えること。また、家庭であまり食べられなくなった海藻や豆、根菜をできるだけ用いています。体にいい食材ばかりを用いた料理を食べて、元気になってほしいというのが私の願いでした。

簡単で健康的でおいしい
こうじの魅力を伝えたい

 食材にこうじを選んだきっかけは、学校で管理栄養士をしていた頃にさかのぼります。食生活が激変し、食卓に味噌汁が並ばなくなったと知ったんです。そこで、味噌を使った出前講座を小学校で開くようになりました。なぜ味噌がおいしくなるのか、体にどんな影響を与えてくれるのか。子どもたちに教えるために、味噌について学ぶうちに、こうじの素晴らしさに気づいたんです。
 こうじを使えば、簡単においしく体にいい料理ができる。なんてお利口さんな食材なんだろうと、すっかり魅力にのめりこんでいた時に、ちょうどこうじブームも重なり、こうじに特化した料理教室を実施するようになりました。自分の店でも、こうじの魅力を伝えたいと考え、料理に使用するほか、手作り味噌教室も開いています。
 また、中津川市や恵那市には昔ながらの手法にこだわって作っているこうじ屋さんが多くあります。2016年、そうした地元の店を集めて、こうじサミットを開催しました。皆でこうじの魅力を確認し合い、発信していく。こうじは、日本ならではの食文化ですし、そんな日本食の魅力をこれからも残していきたいと考えています。

メキシコでの経験から
より積極的でたくましく

 34歳の時に、青年海外協力隊に参加しました。派遣先はメキシコ。先住民の子どもたちの栄養改善が目的でしたが、場所が2800メートルの高地にあったため、高山病になってしまったんです。せっかく行ったのに、もっと何かできたのではという後悔が残りました。元々、私はじっとしていられない性格でしたが、そんな経験から考えているより行動したいという思いが一層強まりました。
 メキシコの環境に慣れ、動けるようになると、日本の祭りを開く手伝いなどに関わりました。トラブルも少なくなく、宿泊先から閉め出されて、路上で寝た時もあります。その時の経験で、タフさも身に付きました。
 現在、こぎちゃんは土日祝日を定休日にしていますが、イベントの準備や教室など、休む暇なく駆け回っています。加えて、私には中学2年生の子どもがいるのですが、行事に出席したり、一緒に旅行したりと家族の時間も大切にしてきました。子どもは電車が好きなので、一緒に出掛けて旅先でおいしいものを食べる。そんな時間が息抜きになっています。ほかにはピアノの弾き語りが趣味で、知り合いの店で披露していた時もあります。最近はなかなか弾けていないのですが、また時間を見つけて練習し、人前で披露したいですね。
 自分の夢を可視化するドリームマップというものがあります。その講師の資格を持っているのですが、私はこぎちゃんに自分のドリームマップを掲示しています。目標は2020年に店舗兼自宅をつくり、現在の店舗から移ること。そのために、何事も全力で取り組んでいきたいです。