岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

文化と歴史が育む国府町を
心あたたかく住みよいまちに
住民の愛郷心を育み
活性化につなげていきたい


国府町まちづくり協議会
橋戸須美子(はしと すみこ)さん(高山市)

【2017年2月22日更新】

国府町が高山市に合併して10年後の平成27年、地域に根づいたまちづくりに取り組む「国府町まちづくり協議会」が始動しました。現在、会長を務めるのは橋戸須美子さん。教員を長年務めたのち、地域に恩返しがしたいとまちづくりに携わりました。若者の都市部流出や少子高齢化などの課題を抱える国府町。橋戸さんは、持ち前の明るさとポジティブ精神を武器に、住みよいまちづくりに奔走しています。

初めての赴任先は、小さな村
夢は叶わずとも結果オーライ!

 都会で教員になることを夢見ていましたが、初の赴任先は、御嶽山のふもとにある高根村日和田(現・高山市)という小さな村でした。全校生徒が50人ほどの小中併設校で、部活は季節ごとでたったひとつ。運動会には、地域住民も参加するような和気あいあいとしたまちでした。
 以来、飛騨地区で約33年間教員を務めました。都会で働くのが夢でしたが、結果オーライ。地域住民全員が顔見知りで家族のような雰囲気の村で、大学卒業後の2年間を働けて幸せに感じます。

第二の人生は、まちづくり
国府町まちづくり協議会を設立

 退職は55歳のとき。長年に渡って、好きな仕事に打ち込めたので悔いはありません。当時の国府町は、高山市へ合併して数年が経過したころ。女性部会や地域審議会の活動に参加するうち、地域のあり方について考えるようになりました。平成25年、「国府のまちづくりを考える会」を発足。地域審議会と社会教育運営委員会、連合町内会などのメンバー12人が集まり、まずは地域の良いところ・悪いところを出し合って、課題を探るところから始めました。住民の声を多く取り入れたいと、こくふ交流センター内に意見箱を設置。地域団体を集めた「拡大会議」を月に一度実施しました。
 まちづくり構想が固まったことを機に平成26年9月、国府町まちづくり協議会を新設。「心あたたかく 住みよい町 飛騨国府~互いに支えあい、助け合って、みんなで築くまちづくり~」を基本目標に、平成27年度から官民協働のまちづくりが本格始動しました。
 協議会は、健康や福祉に携わる「絆づくり部会」や教育文化や子育てを担う「人づくり部会」のほか、「故郷づくり部会」(環境・産業振興)、「賑いづくり部会」(地域交流・スポーツ)、「暮らしづくり部会」(地域の安全・安心を担う)の5つで構成。部会長を中心に各数十人が名を連ねています。スポーツ大会の企画・運営を担う「賑いづくり部会」には、元・社会教育運営委員会体育部やスポーツ推進委員などが所属するなど、それぞれに各分野のエキスパートが揃っているのが特徴です。

文化と歴史が根づく国府町
若者に魅力あるまちへ

 他地域と同じく、若い世代が都市部へ流出し少子高齢化が進む国府町。若い人にとって魅力あるまちであり続けることが、わたしたちの課題です。
 今年4月、高山市に根づく、木工の文化や歴史・文化財を体感するストーリー「飛騨匠の技・こころ ― 木とともに、今に引き継ぐ1300年 ―」が日本遺産に認定。国府町にある荒城神社・安国寺・熊野神社、阿多由太神社が、そのストーリーを構成するひとつに選ばれました。国府町は、貴重な文化財を有する歴史と文化のまち。認定を機に、魅力をさらにPRしていきたいですね。2016年6月には、国府史学会と共催で、「日本遺産学習セミナー」を開催。今後も、住民の愛郷心を育てるとともに、地域産業の活性化に力を注いでいきたいと考えています。
 また、認知症や障がいがある人へのサポートについても模索中。地域に住むあらゆる世代にとって、住みよいまちを作り上げていきたいです。

家庭と仕事の狭間で
大切なのは腹をくくること

 充実した教員生活を送れたのは、義父母をはじめ家族のサポートがあったからこそ。家事や子どもの世話は義母が、授業参観やPTA会への参加は夫が手伝ってくれました。仕事を打ち込む反面で葛藤ももちろんあり、子どもの体調がすぐれない時はそばにいてあげられないことに胸が痛みました。
 自らに課したルールは、「仕事を家に持ち込まない」こと。時間内に終わらせるため、休み時間を惜しんで仕事に取り組みました。同僚との集まりや飲み会も、ほぼお断りしました。付き合いが悪いと思われたかもしれませんが、心に強く決めていました。
 働く女性が増える中、家庭と仕事の両立に悩む人も多いと思います。仕事や家庭、人付き合いのどれも完璧に頑張ろうとすると心が折れてしまいます。ああなりたいこうなりたいと、夢を持つことはとてもいいことですが、人と比べて自分が不幸だと思うのはもったいないですよね。
 私の場合は「家庭」をなによりも最優先。「優先順位をつけて腹をくくること」が、幸せの近道ではないでしょうか。