優良取組事例

産休育休を取得しやすく
働き続けられる職場を目指す
職員同士の交流と研修で
女性の不安を解消する


生活協同組合 コープぎふ/各務原市

「笑顔あふれる協同のくらし」を理念に活動する、生活協同組合コープぎふ。正規職員約400人のうち、66人の女性が働いている。6年前から始まった女性職員交流会をはじめ、女性スキルアップ研修など、近年、女性の活躍を支える取り組みが活発化。働きやすい職場環境づくりに力を入れている。

女性職員交流会から発展
長く続けてもらえる職場づくり

 コープぎふでは男性職員が多く、女性が1人しかいない事業所も多かった。他の女性職員との交流が少なく、不安やストレスを抱えることもあったという。悩みを打ち明けられる場をつくろうと2012年に始まったのが、女性職員交流会だ。毎年2月ごろに女性職員を集め、研修を兼ねて交流。「雑談をするような気軽さで、私も毎年楽しみにしています」と人事部総務グループリーダーの塚原和津さんは話す。交流会は人気を集めたが、それでも結婚や出産を機に退職する女性は多かった。
 女性活躍推進法が2016年4月に本格施行されたのをきっかけに、人事部は新たな取り組みを考える。女性職員から仕事に対するアンケートを取った結果、管理職になりたいと答えた人はわずか1割。その理由として、「能力に自信がない」という回答が多かった。そこで人事部は、女性職員交流会の充実に目を付けた。

5年かけて職員を育成
女性スキルアップ研修開始

 3年前に始まったのが、年に3回開催される女性スキルアップ研修だ。1年目はベーシック研修で、全員が同じ講義を受講。2年目からはビジネススキルやコミュニケーションスキル、マインドスキルなど6種類の講座を用意している。職員は好きな講座を受講し、5年目に総まとめで仕上げて、全課程が終了する。講座は人材開発研修企業が担当。職員に必要なスキルを適確に集めた。
 中でも人気があるのは、レジリエンス&モチベーション講座だ。この講座では、ストレスに直面した時、モチベーションを維持するための発想の転換方法を教えている。25人の定員を毎回オーバーするほどの人気で、定員数の見直しも検討されている。

働き方を見直すきっかけに
2年後の変化に期待がかかる

 退職理由の多くは、仕事と家庭の両立の難しさ。担当する配達ルートが決まると休みにくいと感じる職員も多いという。
 「スキルアップ研修が始まってから、女性の退職者が少なくなってきたと思う」と塚原さん。研修で仕事の効率化や心の変化を学んだためか、少しずつだが、女性職員のモチベーションが上がってきているようだ。
 女性職員スキルアップ研修はまだ途中。5年のサイクルが終わった後に、変化が見られるはずだ。塚原さんは「スキルアップ研修を通して新たな学びを得て、リーダーを志す人が増えてくれれば」と期待している。

職員の育児を受け入れる
男女ともに働きやすい場に

 働き方改革担当の森正樹さんは、「今後は、ワーク・ライフ・バランスが重要だと思います」と話す。働き方改革担当は今年設立。職場環境を改善しようという取り組みが、組織を挙げて本格的に始まっている。
 「私が育児をしながら仕事を続けてこられたのは、先輩たちが時短を積極的に利用していたからです。職場内に子育てへの理解が広がれば、女性も続けやすいと思います」と塚原さん。育休、時短は男性にも関わる問題だ。「女性が働きやすい環境は、男性も働きやすい環境になるはず」と森さんも続ける。
 二人は「まずは5年目で総仕上げとなる女性スキルアップ研修の修了を目指します。6年目以降の研修も取り組んでいきたいです」と力を込める。