優良取組事例

事業所内保育の設置や
育児短時間制度で
ライフイベントに合った
働き方を提供
従業員の継続した活躍をめざす


アピ株式会社/岐阜市

1907年に養蜂器具の製造・販売からはじまったアピ株式会社。製造技術の進歩とともに蜂産品から健康食品、医薬品へと事業を拡大させてきた。岐阜市にある本社や池田工場、本巣工場など多くの拠点があり、従業員は各分野で活躍している。全従業員が安心して仕事に取り組め、その能力を十分に発揮できる職場環境づくりに重要なのが、妊娠・出産などライフイベントが多い女性従業員のサポート。変化する生活に対応できるよう、アピ株式会社ではさまざまな取り組みを実施している。

女性の活躍推進のため
働きやすい環境を整備

 従業員全員のキャリアアップをめざすアピ株式会社。最初に力を入れるべきだと考えたのが、女性のための職場環境づくりだ。妊娠・出産・育児など、ライフイベントが多い女性は男性より勤務の継続が難しくなり、昇格しづらい状況になってしまう。以前は結婚や出産を機に退職する女性もいたという。
 アピ株式会社で活躍する女性は、全従業員の約半数。知識と経験を蓄積した女性従業員に継続して活躍してほしいという思いから、事業所内保育施設「あぴっこランド」を開設した。社長直轄のキャリアアップ推進室も立ち上げ、従業員の声に耳を傾けながら制度や施設の充実を推進している。

事業所内保育施設設置で
無理なく育児との両立を

 アピ株式会社初の事業所内保育施設「あぴっこランド」は、2011年12月に池田工場の敷地に設置された。定員は20人。生後6カ月から小学校就学前までの子どもが対象だ。保育料は安価で、兄弟で入所する場合は割引もある。
 通常保育時間は7時30分から、18時30分まで。当日16時までに事前連絡をすれば19時30分までの延長保育も可能で、業務が立て込んでいる時も仕事に専念できる環境が整っている。
 「あぴっこランド」の開園日は会社の就業カレンダーに合わせているので、従業員は安心して子どもを預けられる。そのため、普段はほかの保育所に子どもを預けている従業員が、一時保育を利用するケースもある。
 1カ所目の「あぴっこランド」の実績と従業員からの要望を受け、2014年には2カ所目となる「あぴっこランド」を本社南隣に設置。開設後、従業員からのニーズが多く、当初10人だった定員も15人にまで増員した。
 現在利用者のほとんどが0歳児から2歳児。小学校入学に備え、3歳ごろから地元の幼稚園・保育園に入園するというサイクルが自然とできあがっている。
 「あぴっこランド」はアピ株式会社の従業員であれば誰でも利用できるので、女性従業員だけでなく男性従業員の利用も多い。安価で勤務地から近い「あぴっこランド」は、従業員がワーク・ライフ・バランスを実現するための重要な施設となっている。

従業員へのヒアリング等をもとに
必要な制度を模索

 社長直轄のキャリアアップ推進室が設置されたのは2013年。最初の取り組みとして実施したのが、全女性従業員へのヒアリングや面談。従業員のニーズを把握し、さまざまな改善や支援を実施してきた。育児中の従業員をサポートするため、育児短時間勤務制度を3歳から小学校就学前まで延長。2カ所目となる「本社あぴっこランド」設置も、ヒアリングをもとに実施。また、年に一度全従業員向けにワーク・ライフ・バランスに関するセミナーや研修を開催している。
 キャリアアップ推進室の活動以外にも、会社としてメンタルヘルスカウンセリング窓口を設置。専用ダイヤルへの電話と面談カウンセリングが利用可能だ。
 2018年3月からは在宅勤務制度を整備した。妊娠中で通常の勤務が難しい女性従業員や、子ども(小学校4年生まで)を養育しながら働く従業員、介護をしながら働く従業員が対象。通勤にかかる時間をなくすことで長時間拘束の緩和につなげる。
 今後も育児や介護など、それぞれの生活に即した働きやすい勤務体系の実現をめざす。