国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫を前身とする日本政策金融公庫は、国内に152支店と海外に2カ所の拠点を持つ政策金融機関。中小企業・小規模事業者や農林漁業者等を対象に、資金調達支援などを行う融資等業務と、主務大臣が認定する内外の金融秩序の混乱や大規模災害の危機発生時に、指定金融機関に対して一定の信用の供与を行う危機対応円滑化業務などを行っている。
優良取組事例
女性が活躍できる
企業をめざして
さまざまなライフステージに
対応する制度を整備する
株式会社日本政策金融公庫 岐阜支店/岐阜市
全職員の働きやすさを考える
女性活躍・職場環境向上推進室
「この10年で、女性の活躍が進んだと感じます」と話すのは、岐阜支店国民生活事業の副事業統轄・林弘二さん。日本政策金融公庫は、女性職員のキャリア開発と職場環境の向上を二本柱にして、地道な職場環境の改善を図ってきた。2010年、公庫全体でより一層の活動を推進するため、働きやすい職場づくりを担う専門部署、女性活躍・職場環境向上推進室(以下「推進室」という。)を立ち上げた。推進室が本店にあるほか、拠点支店に専任者を配置。職員による積極的な活動をサポートしている。
「女性が活躍するためには、各支店の特性に応じた取り組みが必要です」と東海・北陸ブロック女性活躍推進専任者の原彩乃さんは話す。月1回は、全国の好事例を支店へ還元するため、全国の専任者と推進室でウェブ会議を実施。細かいニーズや相談に応じながら、誰もが働きやすい職場環境の整備に取り組んでいる。
育成体制を整備して
女性のキャリアアップを可能に
管理職に占める女性の割合は、5.1%を占める(2018年4月末時点)。2011年はわずか1.3%だった。大きく影響したのが、同年から取り組みはじめた女性のキャリア開発を推進するために実施されている女性管理職候補者育成プログラム「プロジェクトChallenge!!」。複数年にわたり、候補者に対して、OJTや研修などを実施している。今後も積極的に女性職員のキャリア開発に取り組み、2023年4月時点で7%以上を目指す。
転勤特例や休暇制度で
ワークライフ・マネジメント支援
新卒女性総合職の採用比率も増加している。2008年度は2割弱だったが、2009年度からは、3割以上の採用比率を継続。「近年は、結婚・出産後も働き続けるつもりで入社している職員が多いと感じています」と原さんは言う。
一生働くためのキャリアプランを立てる研修を実施。また、若手総合職を対象に、先輩職員がアドバイザー役となり、個別にサポートするメンタリング制度に加え、結婚や妊産婦、出産、育児といった各種休暇制度のほか、転勤特例制度を整備している。「配偶者の転勤に合わせて同一地域への異動ができるようになりました。現在は、結婚・出産後も働き続けられる環境になっていると感じます」と、林さんも変化を実感している。「職場復帰サポートナビ」では、休業前、復帰前、復帰後などの時期に計4回の面談を実施。必要に応じて、随時相談も受け付けている。休職中も上司と密に連絡を取り、スムーズな職場復帰を促している。
また、休職中も専用のモバイル端末が貸し出され、社内ネットワークの閲覧がいつでも可能。会社の動きに遅れてしまわないように工夫している。
男性の育児関連休暇も推進
昨年度の取得率は100%
男女ともに働きやすい職場環境づくりのため、男性の育児関連休暇も推進。3日以内の出産休暇とは別に、子の養育のために育児参加休暇を取得できる。昨年度、男性職員の3日以上の育児関連休暇取得率は100%。今年度は、5日以上の休暇取得率100%をめざしている。
計画的な取り組みによって、ワーク・ライフ・バランスを整えてきた株式会社日本政策金融公庫。今後は、職員に対して制度の活用事例を広めていきたいと考えている。
今年度からは新たな5カ年計画が始まった女性活躍・職場環境向上推進室をはじめ、全職員で取り組みを継続していくことが大切、と前を見据えている。