優良取組事例

出勤時間や日数は
希望に応じて柔軟に調整。
育児中の女性に加えて
家族もケアする支援がある


社会福祉法人 恵母の会/海津市

海津市内で地域密着型特別養護老人ホームなどを2施設運営している社会福祉法人 恵母の会。
職員の8割が女性ということもあり、手厚い産前産後休業などの制度で働く女性をバックアップする。出勤日数や勤務時間は、なるべく個人の希望に沿うよう柔軟なシフトを組み、職員同士が連携してカバーし合っている。
現場の声を上層部が吸い上げ解決に動く仕組みもあり、女性に長く働いてもらおうと取り組んでいる。
仕事と家庭の両立支援に取り組む企業のなかでも、特に優良な取り組みや他社の模範となる独自の取り組みを行う「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」にも認定されている。

柔らかな陽光に包まれた
明るい雰囲気の職場

 大きなシャンデリアが印象的なエントランス、植物が季節感を伝える中庭。日差しがたっぷり降り注ぎ、明るい雰囲気の空間が特徴の地域密着型特別養護老人ホーム「かいさいの華」。同所を運営するのが、2011年に海津市で設立された、社会福祉法人 恵母の会。海津市内で2拠点において特別養護老人ホームと小規模多機能型居宅介護、ショートステイを手掛けている。職員は8割が女性。そのため全職員へのワーク・ライフ・バランスの推進はもちろん、特に女性をケアするサポート体制が充実している。夏休みなど学校が長期休暇に入れば、子どもを連れての出勤が認められていて、職場で職員の子どもたちが過ごす光景が見られるのも同所ならではだろう。
 「職員が悩みを抱え込まないように」と考え、法人では2014年から職員傾聴員を配置。働く職員が仕事や家庭のことを気軽に相談できる体制を構築している。

勤務時間や日数は
個人と相談して配慮

 「家族の体調が良くない」「子どもの学校行事がある」など、職員の事情を配慮して勤務時間など周囲の職員がバックアップ。「本当に互いに助け合って、無理なく長く勤務できるようにという配慮が感じられます」と介護士として働く市川佳子さんは笑顔を見せる。
 また、同じく2016年から始まったのが誕生日休暇制度。自身の誕生日はゆっくり休んで家族と過ごしてほしいという思いから生まれた休暇制度で、職員は自由に一日を選んで休暇に充てることができる。必ずしも誕生日に取得する必要はなく、夏季休暇にプラス1日として組み合わせるなど、職員が思い思いのスタイルで休暇を楽しんでいる。

現場からの声を吸い上げ
問題解決する制度もある

 業務に支障があった場合、速やかに解決できる体制が整っていることが働きやすい職場作りへの第一歩。法人では毎月、全職員を対象にしたママーズ研究会という勉強会を実施。全職員が提出するレポートには、法人への要望、提案を書き込む記入欄がありさまざまな意見が現場から上がる。それに対して、直属の上司にあたる管理者がすべてにコメントを書き、さらに幹部会へとレポートは提出される。問題があった場合は、すぐに解決へ動く。「ママーズ研究会の事例発表では、部署内でテーマを決め、計画、取り組み、まとめ、今後の課題と進めることにより、業務改善につながっている」と市川さんは続ける。

親睦行事や祭りで
地域や家族の交流を深める

 産休、育休が取得しやすい環境もできている。さらに復帰の際は、正職員からいったん短時間勤務のパートタイマーという雇用形態に戻り勤務、再び正職員に戻る者もいる。
 子育て中の母親をサポートする体制も万全だ。3歳未満の子どもがいる職員は、グループ会社が運営する保育園、または海津市の保育園から選択して利用でき、正職員は保育料全額を法人が負担する。
 法人が運営する各施設では、毎年祭りを開き、地域の方との交流を大切にしていて、回数を重ねるごとに、祭りが地域行事の一環として認知され、住民の親睦を深める機会になっている。また、職員が家族と一緒に参加できる親睦行事もあるため、職員だけでなく、家族間の距離が近いのも特徴。親に連れられて行事に参加していた子どもが大人になり、法人内の事業所に就職したというケースもあるほどで、家族にとっても温かみのある職場になっている。
 職場を挙げた取り組みで、職員が働きやすい職場、風通しの良い環境を作り上げている。