優良取組事例

人とチームの絆を大切に。
業務改善案を積極採用し
働きやすさの改善と
キャリアアップを支援。


フジ精密株式会社/大垣市

電子部品や自動車部品の製造や検査、一般労働者派遣事業などを行う大垣市のフジ精密株式会社。1987年に創業し、大垣市の本社のほか、神戸町に加納事業所も構える。社員同士が感謝の気持ちを書き込んで贈り合う「サンクスカード」、業務改善につなげる「ビフォーアフター報告書」など、ユニークな取り組みが多い。また、女性の採用にも積極的に取り組んでいる。

事前に範囲を決めて行う掃除
日常業務の延長と考え実施

 仲間とチームの和を大切にし、社員一人ひとりのキャリアアップを考えるフジ精密株式会社。従業員数は216人、男性102人、女性114人(平成31年1月時点)が働く。清潔感ある本社フロアは、社員が毎朝行う掃除の賜物。ただ漫然と掃除を行うのではなく、誰がどの場所を、どんな掃除道具で行うかを事前に設定。床に至っては、掃除する範囲を細かく決めて実施するほど徹底している。決められた時間を使い、どれだけの成果を得られたかを把握することは日常業務と同じ。そうした意識から、クリーンで働きやすいフロア環境の維持に努めている。ワークライフバランスの推進に取り組み始めたのは、約5年ほど前からだが、以来、ユニークな数多くの取り組みを実施。「業務改善につながるなら、どんどん取り組みを導入しようという風通しの良さがあります」と支援本部の福田至郎さんも笑顔を見せる。

社内の壁は掲示物でいっぱい
見える化が意識を変える

 フジ精密株式会社の社内の壁は掲示物でいっぱいだ。これは会社が取り組む「見える化」の表れ。いま、どんな作業が進行していて、誰がどのように動いているかを掲示することにより全員で作業進捗を共有する。また、休暇中の社員がいれば、そのフォローを誰が行い、業務は滞っていないかも把握。全員で休暇中の社員を手助けすることが、休暇を取りやすい環境を生み出すことにつながる。
 こうした見える化は、作業効率を上げて時間外労働を削減し、最適な業務分担を行うことが狙いだ。ユニークな取り組みのひとつが全社員の思考、行動特性を分析し結果を掲示すること。「分析型」「社交型」「構造型」「コンセプト型」に全社員を分類。社員の性格、考え方を社員同士が知ることで、お互いの強み、弱みを把握。補い合う体制を作るとともに、上司に関しては部下の考え、行動特性を知ることができ、部下への接し方の参考にしている。

ビフォーアフター報告書で
時間外労働の削減に成功

 業務効率化は、全社員が毎日意識して取り組む重要事項だ。なかでも「ビフォーアフター報告書」は、全社員から毎月80件ほどの改善案が提出されている。改善案はすべて社長が内容を確認し、コメントを書いて社員へと返答することを徹底、その後社内の壁に掲示される。もちろん「ビフォーアフター報告書」のなかで、作業効率の改善につながるであろう案は採用される。こうして日常業務の改善に取り組み始めた平成26年度から平成29年度にかけては、時間外労働を約10時間減らすことができている。
 また、「サンクスカード」という取り組みも面白い。日常業務のなかで、感謝の気持ちを伝えあうというもので「昨日は急な業務に対応してくださって、ありがとう」という言葉を書いて贈り合う。普段は見過ごしてしまいそうなこうした互いのフォローを形にして感謝することで、社員同士の会話の機会が増えると好評。さらに、贈った枚数で社員を表彰する制度もある。

近年、女性の採用数増加
育児休業も真摯にサポート

 フジ精密株式会社では、女性社員の積極的な採用、入社後の活躍支援に取り組む。女性採用率が平成27年度では17%だったものが、平成29年度では58.8%へと大幅に増加している。育児休業後も、継続して女性に働いてもらおうと、休業前、休業2カ月前、休業終了2カ月前、復帰2カ月後と4段階に分けて丁寧にヒアリング。会社がいまどんな状況かの情報提供、復帰後の業務内容、勤務時間についても意見交換。
 女性社員を大切にしようと、さまざまな部署、年齢で構成される女性中心のチームによる振り返り会も月1回、実施している。製品の置き場、道具の片づけ方法など作業効率を上げる意見を話し合う場として役立てられている。
 こうした取り組みはすべて、人を大切にして、仲間・チームの絆を深めるのが狙い。社員が働きやすい環境を作ることで、より良い業務を行うことができ、取引先へ還元しようと努めている。