優良取組事例

従業員の声を
柔軟に取り入れた
働きやすい環境づくりが
生産性の向上を支える


株式会社メニコン関工場/関市

国内大手のコンタクトレンズメーカー「メニコン」の生産拠点である関工場。効率化や不良品の削減などの課題を分析し、解決法を導き出すQC(キューシー)サークル活動(※)が20年以上にわたって根づいてきた。従業員が自発的に課題解決に取り組む風土の中、さらなる生産性の向上や良好な職場環境づくりを目指す。2019年には社屋1階を改装。心が沸き立つデザインの室内には、社の歴史を紹介するスペースを設けている。
※キューシーサークルは、品質管理活動などを自発的に小グループで行う活動

当事者の声を取り入れた産休・育休のマニュアル作成

 従業員数268名のうち半数以上を女性が占めるメニコン関工場(2019年12月現在)では、女性の活躍を推進するワーキンググループを2018年に立ち上げた。ライフステージにかかわらず働きやすい環境の整備を進め、結婚・出産を経て、復職する従業員がほとんど。「現状でも働きやすい環境は整っていますが、よりよいものを目指すためのグループです」とワーキンググループのメンバーの、企画管理部の中島知佳さんは話す。
 「産休・育休制度などの詳細内容や取得手続きがわかりにくい」との声を受け、グループは関工場独自のマニュアル作成に着手。月1回の会合を設け、実際に出産・育休を経験した従業員や、男性従業員の意見も取り入れながら、結婚や出産、産休・育休取得、復職にあたり必要な手続きをわかりやすくまとめた。約半年を経て完成に至ったマニュアルは社内の共用スペース2カ所に設置するほか、社のウェブサイトからダウンロードも可能。「制度を利用する従業員が増えていることもあり、もっとわかりやすく、見やすくしたい」と話す中島さんは現在、グループのメンバーとマニュアルの改訂を進めている。

研修や親子参観日など従業員の声を取り組みに生かす

 従業員の声を積極的に吸い上げ、実現化するメニコン関工場。従業員を対象としたアンケートをもとに実施されたのが、子育て世代やこれから結婚や子育てする若い社員を対象とした「ライフキャリア研修」である。人生設計や仕事と家庭の両立、家族・子どもとの関わり方などをテーマに掲げた研修には約20人(男性7名 女性13名)が参加。当日は、キャリアコンサルタントによる講演のほか、グループワークや意見交換などが行われた。「普段話したことない人と接する機会が持てた」「自分のライフキャリアを見直すいい機会となった」などの好意的な声が集まり、継続的な開催を検討している。
 昨年度に予定していた親子参観日は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止を余儀なくされたが、2021年春の開催を見据えている。「普段はなかなか足を踏み入れられない生産ラインを見学できる機会。自身も小学生の子どもを持つ身として、親が働く現場を見てほしいと思います」と中島さんは開催を待ち望む。
 ワーキンググループ結成から2年が経過。メンバーチェンジなどをしながら積極的に新しい意見を取り入れ、今後もさまざまな企画に取り組んでいきたいと活動を進めている。

「創造」・「独創」・「挑戦」を実現し生産性の向上を狙うワーキンググループ

 経営理念である「創造」・「独創」・「挑戦」を実現する働き方として、メニコンでは「スマートクリエーションを推進中。2017年、本社オフィス(名古屋市中区)を改装し、社員がオフィス内で固定席を持たない「フリーアドレス制」を導入した。各テーブルには、コンセントを設けておらず、充電が必要であれば窓側のスタンディングスペースに移らなくてはならない。一見不便に思えるが、長時間座り続けることを避けるなど従業員の健康に配慮したためだという。フリーアドレス制を設けることにより部署を超えた交流も活発となり、他部署の業務理解も進んだ。
 関工場では、2019年に社屋1階をリニューアル。思わず気分が高揚してしまうようなカラフルなホール内観には、コンタクトレンズショップ「Menicon Miru」のデザインを採用し、来訪者や見学者に自社の歴史や機械などを紹介するスペースを設けた。また、「スマートクリエーションワーキンググループ」を結成し、働き方の改善に取り組んでいる。「業務が立て込んでいる部署へ応援にいく『他部署支援』の仕組みもワーキンググループ活動の一環。従業員の声を受けて導入したBGMは『モチベーションがアップする』『気分転換になる』などの声が上がっています」とワーキンググループの国際物流戦略部の多和田明子さんはほほ笑む。
部下が日頃感じている事を上司に伝えるアンケートを実施するなど、次々と新たなことに取り組むメニコン関工場。風通しがよく働きやすい環境が、生産性の向上にもつながっている。