優良取組事例

ダイバーシティ推進プロジェクトを設置
全従業員が支える側、
支えられる側として
安心して長く働ける環境を


森松工業株式会社/本巣市

国内グループで673名(2020年3月末現在)が働く森松工業株式会社。女性活躍やダイバーシティに対する考え方が活発化し、トップダウンではなく当事者である従業員が企画・運営する勉強会などで会社全体の成長を図っている。

女性取締役がメンターとして推進し続ける環境づくり

 森松工業株式会社は、上水道インフラや建築設備に利用されるステンレス製タンクの製造販売を主力とする企業で、従業員の多くは長く男性が占めてきた。
 西村今日子取締役の掛け声のもと2016年にダイバーシティ推進チームを立ち上げ、育休と介護休業についてのガイドブックを作成。復帰社員のサポートに取り組んできた。女子会を開催し西村取締役の考えを発信したり、女性従業員へのアンケートで日々感じていることなどを集約。結婚や子育てによる退職者ゼロを掲げてスタートを切った。現在は、男性の育休、介護休暇など、男女問わず今後増加するステージについて、働きやすい会社への成長をめざす。「支えられる側、支える側が、互いの立場を尊重できるように。そのためには、知識が必要です」と熱を込める総務部の土谷輝男課長。相互理解を深め、風通しのよい会社づくりの中心を担う。

定着した女子会の開催でキャリアアップを図る

 産休、育休、介護休暇など従業員のライフイベントを想定し、「どんな制度や支援が必要とされているのか」、「男性が多い企業で、『本当の働きやすさ』とは、どういったことか」と、現場から声を吸い上げることはもちろん、従業員が自分たちで考えまとめる機会を大切にする。「子育て・介護との向き合い方」「女性のライフサイクルと健康」など、女子会のテーマは多彩。「女性社員の働きやすい環境は、育休などの制度だけではなく、有給休暇取得のしやすさ、周りのメンバーの相互理解などすべてリンクしています。つながりをもって考えることが重要」と土谷課長は話す。
 ダイバーシティ推進チームは、2021年の春から「ダイバーシティ推進プロジェクト」として、より深く各種検討を推し進める。メンバーは生産管理課、資材部展開課、品質保証部検査課、人事課の各部署から女性社員有志4名を選出。入社2年目の従業員もおり、まったく異なる視点や業務内容からさまざまな課題を捻出していく。

気づきの機会を平等に誰もが学び、成長する企業へ

 森松工業株式会社では、社内外から講師を呼んで勉強会を開催している。取扱製品に関する専門的な講義もあり、これまでは「内容が高度で関係部署だけが知っていれば十分」と、広くは聴講者を募っていなかった。そこを「最初から除外してしまうのではなく、知る機会や学ぶ機会を提供したい」という考えから、現在はオープンにし部署に関係なく参加者が集まる。「関連部署のベテランが聞いても『高度だ』と感じる会もありますが、知識を取り入れようと必死な姿が見られます」と土谷課長は効果を実感している。業務中に得られる知識だけではなく、自社が得意としている技術的な知見を広げる機会が重要。社内で飛び交う専門用語を理解できるだけで自信がつき、生き生きと働くきっかけとなる。部署に関係なく参加を募ったことにより女性の参加率が圧倒的にあがった。

オンラインで全国をつなぎ情報や知識を社内で共有

 2019年に社内の教育研修をオンライン化し、これまで本社のある岐阜にいるメンバーしか参加できなかった研修も、一気に全国へと広がりを見せた。研修の後には学んだことや気づきを資料にまとめて提出。書式などは指定していないため、「『資料作成が上手だったんだ』、『こんな作業ができるんだ』という気づきもありました。研修内容に関するフィードバック以上に社内でも得るものが多かった」と総務部の中島千尋主任は笑顔を見せた。これからも要望の多いテーマを中心とした女子会や勉強会を継続し、女性も男性も、どの年代も働きやすく、活躍のチャンスがある企業として成長を続ける。