第一生命保険株式会社は1902年の創業以来、「お客さま第一主義」を経営理念に掲げ、生命保険業を通じて社会に貢献してきた。従業員の90%以上が女性で、岐阜支社も従業員数555人のうち、女性は526人(2019年12月現在)。企業成長を支える女性たちの活躍推進に力を入れ、2015年には内閣府男女共同参画局による「女性が輝く先進企業表彰」において「内閣府特命担当大臣賞」を受賞、次世代育成支援対策推進法に基づく「プラチナくるみん」の認定を受けている。
優良取組事例
企業成長に欠かせない価値として
人材の多様性を重視
従業員の90%以上を占める
女性従業員の育成に力を入れる
第一生命保険株式会社岐阜支社/岐阜市
女性営業職の管理職候補を支社独自の取り組みで育成
第一生命グループでは、人財のダイバーシティ(多様性)を互いにインクルージョン(包摂)することが持続的成長の原動力であるという考えのもと、経営戦略のひとつとしてダイバーシティ&インクルージョンを推進。性別や年齢、仕事歴、ライフスタイル、障害の有無など、さまざまな違いを互いに尊重し、学びあいながら共に成長できる文化・風土づくりに取り組んでいる。
ダイバーシティ&インクルージョンを進めるうえで必要不可欠な要素が、第一生命の従業員のうち90%以上を占める女性の活躍推進だ。意識・風土改革、女性リーダー育成、ワーク・ライフ・マネジメントの推進の3つを柱に、それぞれの能力を最大限に発揮できる職場環境を整えている。
2012年、岐阜支社では支社独自の取り組みとして、女性営業職の管理職候補の育成を目的とした「輝(きらら)の会」を結成した。年3回の研修では、15の拠点から毎年30人~40人程度が参加し、オフィス長代理への昇格を目指している。
研修の中心はグループごとのディスカッションだ。岐阜支社長の田中秀幸さんは、「ポジションが上がれば上がるほど、自分のやってきたことがすべてだと思いがち。評価すべき点は評価し、足りない部分は何故足りないのかを考えてもらって、気づきの機会を作っています」と語る。同じポジション同士、共有し参考にできる情報は多く、交流を通じて切磋琢磨しあい、管理者として必要な部下の育成やモチベーション管理に必要な能力等を培っている。
輝の会の卒業生から約10人の女性リーダーが誕生
2020年4月には輝の会から、2人のオフィス長代理が誕生した。卒業生の一人である北方営業オフィス北方第一支所の重山美奈子さんは、「参加した当初、オフィス長代理というポジションは正直目指していませんでした。各オフィスでの手法や好事例を教えてもらったり、先輩から体験談を聞いたりして、学ぶ楽しさやありがたさを感じるうちに、モチベーションが上がっていきました」と活動を振り返る。もう一人の卒業生、八幡営業オフィスの小澤由里子さんは、「出席するたび、採用活動を頑張ろうという気持ちを新しくしていました。輝の会で学んだ採用活動の魅力を、自分のオフィスで新人に伝え、その新人の中から一人でも多くの輝の会への参加者を生み出していきたい。参加を通じてより高い目的意識をもち、ランクアップしてほしい」と願う。
これまでの卒業生は10人程度。女性の拠点長3人のうち、1人が輝の会の卒業生だ。女性の拠点長をさらに増やしていくため、まずは輝の会によるオフィス長代理の育成を今後も継続していく。
女性リーダーの活躍は、ロールモデルとして大きな影響を与えている。「『オフィス長になっても、子どもの授業参観には欠かさず出席したよ』という女性がいらっしゃって。自分の仕事の仕方次第で家庭を大事にできるんだと、すごく励みになりました」と重松さん。制度の整備のみでは補えない、「仕事と家庭は両立できる」という意識の醸成に貢献している。
労働時間の短縮を促進し仕事と生活の調和を促す
働き方改革として、第一生命では週1日を「ワークスマートデー」と定め、定時退社を推奨。岐阜支社では水曜日をワークスマートデーとし、朝礼や会議を行わないよう配慮することで、休日出勤の振替休日として選べるようにしている。
制度が始まって5年、水曜日は定時退社が当たり前という意識が定着しつつあり、遅くとも18時台には支社・営業オフィスを閉めることができている。2020年から新たに「ブルースカイデー」も設け、月1回の15時退社を推奨する取り組みも始まっている。
労働時間の短縮と、生産性の維持を両立するには、社員一人一人の時間意識の向上だけでは限界がある。そこで、日々の予定が一目でわかるスケジュール管理ツールや、端的にかつスピーディーにやりとりできるチャットツール、情報の共有性や保全性、検索性を高められるペーパーレスなどの取り組みを導入。働き方改革はワーク・ライフ・バランスの充実だけでなく、業務の効率化にもつながった。
女性が経営の中核を担う企業へ。第一生命保険株式会社は、仕事と子育てを両立するワーク・ライフ・バランスの実現はもちろん、向上心を育て、実際にキャリアアップが叶う体制が整っている。