優良取組事例

子育て世代を経済面で支援!
離職率も下がり、
男性の育休取得率は100%!


高山米穀協業組合/高山市

高山米穀協業組合では、子育て世帯の給料の低さが理由による退職が課題となっていました。そこで、組合の主力となる子育て世帯の離職を防ぐため、平成27年度から老朽化した社宅の整備を開始するとともに平成30年度には家族手当の見直しを行いました。

課題は若者の離職率

高山米穀協業組合は、昭和25年に高山市内のお米屋さんが集まり、1つになって誕生しました。創業71年の老舗企業は「皆さまのお台所に奉仕する」という想いから、飼料・調味料・飲料・業務用食品・食肉・LPガス・灯油・家電製品・水道配管工事など事業範囲を徐々に増やし、現在では総合商社ともいえる企業になっており、高山市を拠点に飛騨地域を広くカバーし、地域の生活全般を支えています。
高山米穀協業組合ですが、結婚して、子どもができるなどといったライフステージの変化と共に離職する若者が一定数おり、当時、20代から30代の子育て世代の離職という問題を抱えていました

経済面での対策

 最初に着手したのは社宅の整備でした。平成27年度から老朽化した社宅の改装をスタートし、独身の社員はもちろん、子育て世代も家族で住める社宅を整備しました。これにより、住居費の負担が大幅に軽減され、現在では7世帯の家族が利用しています。
また、平成30年度には家族手当の見直しを行いました。これは、組合の主力となる子育て世帯の経済負担の軽減を図るというもので、もともとあった『子ども手当』を大幅にアップさせ、ひとり親を含めた全ての世帯で子ども一人に付き毎月3万円の手当が、お子さんが大学を卒業する22歳まで続くというものです。桑谷理事長は「大きな決断だったが、様々なシミュレーションを重ね、制度として確立させた。『将来の生活設計ができるようになりありがたい』という声が多く寄せられ、離職率は大きく下がった」と当時を語ってくださいました。
「手厚い『子ども手当』も転職の決め手の一つでした」と話すのは、食品営業部・商品管理課の竹中啓太さんです。第一子が生まれ、まさにライフステージの変化のタイミングを迎えていた竹中さんは、安定した給与や家族との時間が取れる仕事を求めているときに高山米穀と出会い、社員に優しい会社だと感じ入社されました。
竹中さんは入社後に第2子が生まれると、5日間の育児休暇を取得。高山米穀では、平成30年度からは対象者全員が育児休暇を取得しており、社内全体で子育て支援の雰囲気が広がり、男性の育児休暇の取得も当たり前となっています。竹中さんも「育児休暇を取得することで、出産後の妻の大変な時をサポートすることができました。義母にも「いい旦那さんね」と言ってもらえました」と語ってくれました。

皆でサポートする体制

高山米穀協業組合では、女性従業員の多くが営業所の事務を担当していますが、12か所ある営業所によっては事務員が1人しかいないために、代替者の確保が困難で、休暇を取得しづらい状況が続いていました。そこで、他営業所から従業員を派遣する「女性事務員休暇取得応援制度」を立ち上げ、営業所の事務員が1人だけでも、安心して休暇を取得できる環境を整備しました。それぞれサポートする拠点がある程度決まっているため、業務も問題なく引継ぎが出来ているそうで、これはBCP(事業継続計画)の面でも意味のある取り組みになっています。
初田町営業所の事務員である蒲幸奈さんは、「友達と計画しながら休めるようになり、プライベートも充実しています」と話してくれました。
 また、所定外労働時間の削減を図るため、当直者を配置し、各営業所の定時以降の電話窓口を本社に一本化しました。観光地で飲食店や旅館などの多い高山ですが、これにより、定時以降に各営業所へ商品の注文があっても、本社が対応するようになり、各営業所で従業員が待機する必要がなくなりました。
 このような取り組みは、互いが支え合い、助け合う社内の雰囲気や、チームワークの醸成に繋がっているようです。


仕事以外の時間も重要

 高山米穀協業組合では、従業員の社外活動もに係る福利厚生にも積極的に取り組んでいます。組合内には、野球、トレッキング、スキー、ソフトバレー、釣り、ゴルフ、生け花、麻雀と様々な部活動があり、それぞれに活動費の補助があります。140人の社員を抱える高山米穀協業組合では、仕事ではなかなか顔を合わせない社員もいますが、こういったオフの時間での繋がりも会社の雰囲気を明るくする一助になっているそうで、社内報などでそれぞれの活動を報告しています。社員も仕事だけではないコミュニティの重要性を感じているようで、余暇の充実に繋がっています。
また、従業員がこれまでの人生で取り組んできた活動の継続を応援するため、副業を認めています。現在、乗鞍岳の山岳ガイドやスキーインストラクター、中学校の卓球部の社会人コーチを務める従業員などがおり、様々なフィールドでの活躍を応援しています。
 「会社として社員の所得向上に努め、職場環境としてもそれぞれがサポートしあい、働きやすい環境を整えることができてきました。この2年はコロナ禍で大変な日々が続いていますが、広い事業展開と社員の努力で安定した雇用を続けることができました。今後はコロナ禍で苦しかった業績の回復と共に、更なる社員の所得向上や手厚い福利厚生に繋げたいと思います」と桑谷理事長は語ってくださいました。