優良取組事例

男性社員にも促す
積極的な家事、育児参加。
ポジティブ・オフの
考えを浸透させて
離職率低下を実現


社会福祉法人 千代田会/岐阜市

社会福祉法人千代田会では、男性社員のワーク・ライフ・バランスの充実に取り組んでいます。男性が育児、家事に積極的に参加できる。そんな職場環境を整えていて、制度を充実させて以来、離職率低下などのプラスの効果が出始めています。

男性も積極的に家事、育児に参加

 岐阜市で地域に根差した高齢者福祉を提供している社会福祉法人千代田会。「喜久寿苑」、「ウェルビュー明郷」、「ゲストハウスごうど」の3施設を運営しています。職場で働くのは女性社員が多いものの、一方で男性社員にも家庭では家事、育児に参加しやすい職場環境づくりを目指します。
 例えば、妻の出産予定がある男性社員は職場で出産予定を報告するほか、一定期間の夜間勤務免除、希望者は妻の出産への立ち合いができます。妊娠から出産、さらに子育てと一連の流れをまた職場で把握することで、周囲の理解を深め、休みを取りやすいよう配慮しています。 

妻の出産前には配置転換を行う

 2018年9月に次男が生まれた、支援課リーダーの渡邊さんは「女性が多いことで家事や育児参加への理解が深いと感じます。私は上司から、積極的に声を掛けてくれて働きやすさを感じています」と語ります。
例えば、介護に携わる男性職員の場合では、妻の出産予定日の1カ月前になると日勤や夜勤が週に何度か混在をしている変則勤務から外れることができます。また、急用に対応しやすいようにと、なるべく都合のつきやすい日勤に配置転換をします。「出産前に夫が夜勤不在は不安があった。そういったこともなく安心できると妻から言ってもらえました」と渡邊さんは振り返ります。高齢者への福祉施設において、妻の出産予定日前後1カ月の夜勤を男性職員が免除されることは、業界においても非常に珍しい事例です。
夜勤が免除される前には、男性職員が希望すれば職員みんなの前で妻の出産予定を報告します。みんなから祝福されるとともに、全員が妊娠、出産を控えていることを知ることで、より協力しやすい雰囲気を醸成しています。

上司から積極的に休暇を促す

 利用者さまだけでなく「社員が心穏やかに働ける職場に」を掲げるのが、社会福祉法人千代田会です。サポートするのは妻の出産時だけではありません。男性職員は、妻の出産が終えると、改めてみんなが集まる朝礼の場を借りて、お礼の報告をします。「夜勤を外れたことで、誰かが代わりに仕事を務めてくれています。それに関するお礼を伝える場ですね」と渡邊さん。
出産後だけでなく、妻の出産時に立ち合いを希望している男性職員の背中も後押しします。イレギュラーの少ない日勤のみのシフト制を組みますが、出産の立ち合いは予定が立てられないもの。夫である男性職員から急な休暇申請があった場合でも、対応できるように周囲は力を合わせて備えています。
男性職員の多くは「自分が休んでしまうことで、仕事に穴をあけられない」と休暇を躊躇しがちです。そこで、男性社員の気持ちを汲むよう、子育て世代の部下を持つ上司は、積極的に部下に対して「家庭を大事にね」、「お子さんは学校、楽しい」と日ごろから声掛けをします。普段から家のこと、子どものことを話すことで休暇を取りやすい雰囲気を心掛けます。

ポジティブ・オフを実現

社会福祉法人千代田会が大切にすることが「ポジティブ・オフ」の考えです。質の高い休暇を取ることが、施設の利用者様へのサービス向上につながると考えています。
社員還元の一環が年1回の職員旅行。国内・海外と5つのコースから選べるもので、近年はコロナ禍控えていますが、2014年にハワイ、2018年にプーケット、2019年はセブ島に職員で訪れました。
こうした取り組みが実を結び、平成30年に23.1%だった離職率が令和元年には11.3%と大幅に改善しました。業界平均15.5%を下回る数値となり、職員の定着率が向上しています。これはベテラン介護士の増加につながり、もちろん利用者様への高いサービスにつながります。
定着率だけでなく、社会福祉法人千代田会では「社会福祉法人は公共性の高い団体であるべき」と考え、開かれたものにしようと情報を積極的に開示。SNSでの情報発信にも積極的であり、開かれた職場として人材確保にもつながっています。