優良取組事例

現場の声に耳を傾け
ソフト・ハードの両面から
環境の整備を進めることで
人を育て守る企業を目指す


株式会社日本キャンパック岐阜工場/岐阜市

市街地に大規模な工場を構える株式会社日本キャンパック岐阜工場は、国内の大手飲料メーカーから依頼を受け、コーヒー・お茶・果汁飲料などの各種飲料を製造している。一般にはあまり知られていない受託充填だが、大手メーカーから委託で飲料を製造するという事業形態で、日本キャンパックは全国に百数十社ある受託充填企業の中でもトップクラスの生産数を誇る。

知名度アップと人材確保のため認定制度に再挑戦

「企業間で事業を行う、いわゆる“B to B”の会社のため、一般には知名度があまり高くありません。そんな中でも縁あって入社してきてくれた従業員には、できるだけ定年まで長くしっかりと働いてもらいたい。そのために福利厚生の充実には力を入れてきました。」そう語るのは今回お話をうかがった人事総務部の増井正徳総務課長。
 ほとんどの人は「飲料は飲料メーカーが作っている」と思っているだろう。商品名を聞けば企業名が頭に浮かぶ。例えば、ある有名な缶コーヒーを見て「日本キャンパック」を思い浮かべる人がどれほどいるだろうか。入ってみれば凄い会社だと気付くだろうが、そんな会社が地元にある事を多くの人は知らないのではないか。
 従業員の満足度を高めるため、一般的な福利厚生の充実はもちろん、男性の育児休業にも力を入れて取り組んできた。その活動の中で岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業認定制度を知り、それにより会社の知名度も上げられると考え取得を目指した。
 「自分が転勤先から岐阜工場に戻って業務を進めていく中で認定制度の事を知りました。福利厚生の充実や職場環境の改善を推し進めた結果、認定を受けることが出来ました。」

課題を解決する方法は絶え間ない改善の継続

 飲料の製造現場は熱湯を使うため非常に暑く、特に夏場は外気温より高くなるほどで暑さ対策は重要な課題。そのため熱中症対策として塩分補給タブレットや電動ファン付ベストを支給。しかし冬期は暑い現場とは逆に、屋外作業など寒さ対策が必要となる現場も出てくるため、作業着の上から着る防寒着を希望者に支給。現場の従業員だけでなく屋内で作業する従業員に対しては、デスクワーク時に使用できる電気ブランケットを用意し、冬場の寒さ対策だけでなく夏場の冷房による冷えに対してもブランケットを貸与している。
 防寒着についてはロングコートタイプからブルゾンタイプへの変更が従業員から好評で、制度も物品も導入したら終わりではなく、絶えず改善を続けている。

労働環境の改善を狙った対策が思いがけない成果を上げる

 暑さ対策の一つとして始めたのがアイスクリームの無償提供。これは群馬工場で既に行われていたことを水平展開して岐阜工場でも実施。1人1日1個、食券や引換券は無い。現場だけでなく全ての従業員が対象で、昼食時でも休憩時でも好きな時に食堂で食べることができる。当初は7~8月の2か月間だったものが好評で、従業員からの要望もあり6~9月の4か月間に延長。さらに、従業員からのリクエストを取り入れて、かき氷やアイスクリーム、カップや棒など、今では15~20種類のアイスが用意されている。
 シフトの時間が違う、工場の棟が違う、部署が違うといった理由ですれ違いが多かった従業員が、好きな時に食堂に来て食べるということから顔を合わせる機会が増え、導入後は積極的に休憩を取る従業員が増えたようだ。暑さ対策として始めたアイスクリームの無償提供が、社内の重要なコミュニケーションツールとして機能するという、思わぬ副産物をもたらしてくれた。
「アイスクリームなら単なる暑さ対策だけでなく、楽しみにもなると考えましたが、コミュニケーションツールとして機能するとは全く予想外でした。後から考えると、そっちの成果の方が大きいですね。」

言えない意見を拾い上げ聞こえない声に耳を澄ませる

 「今の日本キャンパックは圧倒的に男性が多い職場ですが、現場にも女性が入って活躍できる備えはしていきたいですね。女性が少ない職場のため、働く女性に関するアイデアが出にくい環境ではないかと思っていますが、年齢や性別に関係なく従業員の意見に耳を傾け、広く意見を拾い上げ、また、総務課にいる女性従業員の意見やアイデアも積極的に取り入れながら、より良い職場環境づくりに努めていきます。」