優良取組事例

社内SNSアプリを導入し
コミュニケーションを強化
育休中の女性でも孤立することなく
職場に復帰しやすい環境を生み出す


株式会社ファミリー/可児市

1980年に創業した株式会社ファミリー。社内SNSアプリを活用し、誰もが働きやすい社風を築いてきた。特に女性の離職率を下げるため、社員の結婚や妊娠報告をシェアする「ファミリーNEWS」のコンテンツもスタート。育児休業期間中のスタッフが育休ライフや子どもの成長を投稿するなど、一人ひとりが置かれている状況を共有しサポートしあえる環境づくりを目指している。

自動車専門の枠を超え

 株式会社ファミリーの主な事業内容は自動車販売、車検整備、鈑金整備、自動車保険事業。しかしフロアの一角にはカフェやフィットネスジムまで併設されている。カフェでは健康をテーマにスムージーやアサイーボウルなど身体に優しいメニューも提供。車検や点検待ちの時間も、有意義に快適にすごせる空間となっている。いずれも「いつまでも健康であってほしい、健康であれば、いつまでも車と一緒の毎日が生まれるはず」との思いからだ。カフェだけの利用も可能で、地域の憩いの場として、あるいは仕事や商談に用いる人の姿も見られる。
 また、コインランドリーも併設しており、その待ち時間にカフェを利用する人も。洗濯物を預けると洗濯され畳まれた状態で受け取ることのできる「洗濯代行」のオプションもある。これらは社員も利用でき、働く3人の子持ちママからは「とにかく、洗濯物の量が尋常じゃないので、とても助かっています」など感謝の声も上がっている。
 「家族のような絆で繫がる組織であり、お客様や社会からなくてはならない企業であり続ける」との企業理念に則り「トータルカーライフサポート」から「トータルライフサポート」にシフトし、顧客の人生に寄り添い続けるための企業を志す。

社内SNSアプリの導入

 顧客満足度を上げるのは当然ながら、同時に社員満足度を高めたいとの考えから「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」認定を目標とした株式会社ファミリー。2021年の認定を機に、さらに働きやすい環境の整備を進めたいという意欲が強まった。
 以前より、社員同士のコミュニケーション強化に尽力してきた同社。定期的に一対一のミーティングが行われ、個々が今抱えている問題を解決できるよう努めてきた。社内研修も多く、先輩が後輩に向け「こういうマインドで物事を考えるといいよ」とアドバイスしたり、先輩が乗り越えてきた壁を失敗談も交えて後輩に話すなど、スタッフの成長に熱を入れてきた。
 2018年には仕事でもプライベートでも良好な関係を築けるよう、社内SNSアプリを導入。日報でうれしかったこと悔しかったことの感情をシェアしたり、多い月で3000通超の「ありがとう」メッセージを送り合うなどして活用してきた。「店舗や部署が違って一緒に働いてなくても顔、名前だけでなく思いが分かち合える、よい機会になっています」と総務部の丸橋真帆さん。スタッフの声が集まり、休暇などの申請もアプリで簡単にできるように。よりタイムラグなく、いつでもどこでも申請でき、且つペーパーレス化も進んだ。

復帰しやすい環境に

 株式会社ファミリーの従業員は総勢204名、うち男性は120名、女性84名。職種上、男性が多いイメージだが女性も多く活躍している。元々、子育てに関する理解は高かったが、育児休暇を経ても復帰しやすい、より女性が働きやすい環境づくりにもアプリが一役買ったそうだ。
 社員の結婚や妊娠報告などを「ファミリーNEWS」で全員に共有。育児休業期間中も自分自身の育休ライフや子どもの成長をアプリに投稿。仕事だけではわからない、プライベートな情報をみんなに知らせている。スタッフが日常のフランクな内容をアップする「ファミリーのひとこま」も始動。社内は言うまでもなく、気軽に楽しく見られるSNSを通じて、育休中のスタッフも内部の状況が把握でき、孤立化せずに復帰しやすい雰囲気を生み出す一端を担った。
 同社は敷地内に保育園があり、育休の明けたスタッフが子どもを預けられるという強みもある。子どもを連れて出社しがてら保育園に預けられるため、時間に余裕も生まれるそうだ。何かあった時もすぐ駆けつけられるので、親子共に安心という訳だ。
 「コロナ禍で制限されたイベントも多かったです。無論、状況を鑑みながらですがSNSだけでなく、育休中のスタッフを含めた社員同士、よりリアルなコミュニケーションに力を入れていきたいです」と丸橋さんは展望を話す。

地域全体で盛り上がる

 部署を横断したチームを編成し、目の前の仕事だけでなく、さらなるやりがいを求めて働ける場づくりに取り組んでいるともいう。それもトップダウンではなく、社員の声を積極的に取り入れ、新人でも声が上げられるムードだからこそ可能なのかもしれない。「インターン生として働いていた時も対学生でなく対人として、自分のために話してくれていると感じました。本当に家族のように接してくれる人ばかり。人を大切にしたいという人が集まっています」と丸橋さん。「よい意味で上下関係が強すぎない社風も魅力です」と語る。
 プレミアム会員制度を設け、可児だけでなく周辺地域の飲食店やサロンなど45企業とも連携。株式会社ファミリーの利用率に合わせてアプリでユーザーに割引特典が与えられるというものだ。また、地域の子育て支援として夏休みに「ファミキャンキッズ」と称し学童保育を開催。SDGsについて学んだり、巨大な紙にみんなで書道をしたり、地元の煎餅屋の工場見学に出かけたり「ここでしかできない体験」をした。秋には子どもだけで作る子ども街「ファミリーマーブルタウン」を開催。住民登録からハローワーク体験、職業体験、商品開発、出店などを自ら行い「マーブル通貨」をやり取りするものだ。丸橋さんは「労働に対してネガティブに捉える人が増える中、子どもたちに働く楽しさを知ってもらいたいという狙いもありました。私どものこうした活動を通じて、例えばですが大学で地元を離れた人でも『そういえば、可児にも面白い会社があったな』と思い出し、戻ってきてもらえるきっかけになればうれしいですね」と笑顔を見せる。