優良取組事例

　1969年に設立されたダイアトップ株式会社。山間ののどかな風景が広がる郡上市白鳥町にあり、チェーンソーのガイドバー、草刈り機のナイロンコードヘッドといったパーツの開発・製造を手掛けるメーカーとして、地元の主要産業である林業と共に成長してきました。
白鳥発、世界市場に挑戦できる企業となるべく2018年から労働環境の改善に着手。取り組みのひとつが女性を管理職に登用すること。他の女性社員のモチベーション向上を図ることが狙いです。

1年契約だった女性社員の待遇を改善

「白鳥の奇跡を起こす」を合言葉に掲げ、注目を集めるダイアトップ株式会社。郡上市白鳥ののどかなロケーションに佇む小さなメーカーにとって、大きな転機になったのは2018年のこと。ソニーで技術者として活躍し、ソニーグループ海外工場社長も経験した玉山隆三さんが代表取締役に就任しました。
　関東出身で岐阜に縁のなかった玉山さんですが「ニッチな分野ではあるものの、ダイアトップの高い技術力なら海外でも勝負できる」と確信。代表職に就くや、郡上市に愛され、社員が長く誇りを持って働けるよう環境改善に着手。社員とのヒアリングを実施するなかで、従来同社の女性社員は1年契約の準社員として勤務していたものの、現場の意見に耳を傾けると「正社員として長く働きたい」という声がありました。
そこで、これまでの慣例を廃止。希望者を正社員として改めて契約し直したほか、就業時間に制約がある社員、定年を超えたシニア世代の社員も準社員として雇用を継続しました。

産前産後、育児・介護と休暇制度も拡充

　ダイアトップ株式会社では、女性社員も男性社員と同じように設計/品質管理、事務、営業、組み立て加工といった仕事に就いています。そのため出産、育児、介護があっても女性が長く働けるよう手厚い制度でバックアップ。産前産後、育児、介護休暇があり、女性の育児休業取得率は75％以上を誇り、男性社員で育児休業を取得した例もあるなど、女性・男性問わず休暇を取得しやすい社内の雰囲気作りもできあがっています。
　これまで1年という期間契約だった女性社員に長く働いてもらうとともに、他の女性社員のモチベーション向上となるべく、管理職への登用も積極的に行っています。女性管理職社員はお客様、そして製造現場とのつなぎ役になるケースも多くありますが、社内や外部研修でチームワーク、リーダーシップを学ぶ機会も多く、社員教育の場を用意することで女性リーダーを育成している真っ最中。
　女性管理職社員は2024年1月時点で、育児に伴う時短勤務や育児休業の影響で社内に在籍していないものの、手厚い復帰支援によりこれまで多くの女性社員がフルタイムの正社員として戻っており、管理職で学んだ経験、スキルを途切れさせることなく働き続けられるのもダイアトップの魅力です。

アンケートで導き出した働きやすい職場へ

　2018年、労働環境改善のため社内アンケートを実施。働きやすい場所とすることで、社員の生産性を高めるべく工場内を大幅リニューアルしています。照明のLED化、クリーンなイメージとなるよう床を明るい色に再塗装、作業場の空調設備も見直しを図り、社員に大好評。作業場だけでなく、事務所やトイレもお色直しを図り、クリーンで清潔な製造現場に生まれ変わりました。
　ダイアトップは女性社員、男性社員ともに会社に誇りを持つとともに、郡上市白鳥町の方からも愛される企業となることが目標。その行動のひとつが地域貢献活動。特別支援学校の生徒を対象にしたインターンシップのほか、郡上市が行う「郡上お仕事体験」にも参加して職業体験で子どもたちに事業内容をPRしています。

社員のチームワークの良さも自慢！

　社員の意見を吸い上げ、積極的に改善を図るダイアトップ。「白鳥の奇跡を起こす」というビジョンに向けて、社員が一丸になり「良い会社、働きやすい職場」にしようと奮闘しています。労働環境の改善が「長く働ける」という社員のモチベーションとなり、2018年に50人だった社員数は80人（2023年12月）に増加、同時に離職率は下がる好循環が生まれています。
　社員数は増加したものの、理念の共有に時間を割くことで、社員間のコミュニケーション不足改善を図ります。社員全員参加での全体会合、チーム単位で改善案を出し合う小集団活動など、人数を変え、人を変えて全員が同じビジョンを共有することに務めます。
　一方、社員同士の親睦を深めるための夏のBBQ、正月の鏡開きといったレクリエーションは、コロナ禍を経て大規模なものに復活。再び、社員の絆を深める大切な場になっています。
　グローバルマーケットを視野に入れる郡上市白鳥のメーカー、ダイアトップ。女性社員も男性社員も、みんなが仲間という絆を持って働いています。