優良取組事例

新卒者の不安に寄り添うメンター制度を導入
気軽に相談できる環境とメンタルフォローで
定着率向上を実現


シーシーエヌ株式会社/岐阜市

岐阜市内でインターネット、ケーブルテレビ、電話といった情報インフラサービスを展開するシーシーエヌ株式会社。2015年、ワーキンググループ立ち上げを機に、ワーク・ライフ・バランス推進に力を入れ、従業員が長く活躍できる魅力ある企業へと成長を続ける。新卒入社した従業員のメンタルフォローを目的としたメンター制度も導入。先輩が新人社員に伴走するフォロー制度により、離職率低下へとつなげている。

先輩従業員が伴走

ワーク・ライフ・バランス推進に一段と力を入れ、岐阜県から「令和5年度ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」として表彰されている。女性の社会進出への期待が高まるなか、2015年、シーシーエヌ株式会社内においても女性社員の結婚、出産が増加。結婚、出産だけでなく親の介護、子育てに身を置きながらも男性・女性社員問わずに長く働ける社内環境整備の必要性を感じた。
 そこで2015年、5人の女性社員が集まりワーキンググループを結成。部署や世代の異なる5人によるグループがワーク・ライフ・バランス推進制度拡充のきっかけになった。
 近年では、新卒で入社した従業員の不安をやわらげるメンタルフォローを目的に、メンター制度を導入してサポートしている。新卒従業員(メンティ)は先輩従業員(メンター)とペアを組むわけだが、伴走して支える先輩はあえてメンティにとって他部署の従業員から選任。他部署ではあるが勤務経験と知識豊富なメンターを据えることで、メンティにとっては身近過ぎない相談しやすい環境を生んでいる。メンター制度では1カ月に1度、1時間ほどの面談を実施。自己成長、人間関係などといった多岐にわたる質問、相談にのりながら悩みごとを一緒になって解消する。先輩従業員が伴走し、応援する立場となり支える。

女性が長く働ける場に

ワーク・ライフ・バランス推進のきっかけとなった2015年のワーキンググループ結成。集まった女性社員が、結婚や出産を経験しても、どういった制度があれば働きやすいか、周りの協力体制はどう構築したらよいかなど意見を交換。女性が長く働ける環境を整えようと、お手本となる制度を導入している他社に見学へ訪れたこともあった。こうしてワーキンググループが、制度案をまとめた提言書を会社に提出。以降も継続的に働きやすさにつながる新制度の誕生、既存制度の拡充が行われている。

多様な働き方を応援

従業員に長く働いてもらおうとできた制度のひとつが、2022年にスタートしたジョブリターン制度だ。勤務していた従業員が家族の転勤や親の介護、家族の引っ越しといったやむを得ない理由で退社する場合、期間を経て再雇用できる仕組みのこと。制度に関する内容は、退社前に従業員に案内を行い、希望者は登録をしておく必要がある。一定期間を経たのち、働きたいという意思がある従業員の再雇用を支援していく制度だが、これもいろいろな環境にいる従業員、多様な働き方を支援する取り組みの一つ。男性、女性従業員を問わず、家庭環境にも配慮した、長く働ける制度を用意している。

有給休暇取得を推進

2015年にワーク・ライフ・バランス推進に向け本格的に取り組み始めてから、10年以上が経過。制度はもちろん、働きやすい社内風土も醸成されてきている。事実、結婚・出産を経て、育児休業取得後の復帰率が100%と大幅に改善するなど効果が表れている。これには男性社員の育児休業取得後の復帰も含まれる。復帰しやすさを生むために、育児休業取得者を囲む座談会形式で話し合う機会を設ける取り組みも一助となっている。
そして、多様な働き方支援の一環として、年次有給休暇の取得を積極的に従業員に促進している。従業員一人ひとりにおける取得の進捗状況を把握。取得率が低い従業員には率先して声掛けを行い、取得しやすい雰囲気作りにも力を注ぐ。
年20日付与される休暇制度が「ファミリーサポート制度」。20日間のうち10日間は有給休暇として取得できる。この制度は、「子育て中、子どものサポートをしたいが休暇が取得しづらい」といった声を解消すべく生まれた。もちろん男性従業員も介護や子育てに、ファミリーサポート制度を積極的に利用している。
また、2023年には、年次有給休暇を取得できる請求時効を延長。従来は年次有給休暇の付与日から2年だったものを3年までとした。さらに保有できる年次有給休暇の最大日数40日を60日へと増やした。請求時効の日にちを延長させ、保有日数も大幅に増やしたことで、より従業員が申請、取得しやすくなった。毎年10月には現状の改善点を報告し合う場や、労務管理研修を実施して環境整備を継続。これからも長く働ける、魅力ある会社となるべく取り組みを続ける。