優良取組事例

男性育休の不安を解消する冊子を作成
取得率100%を実現
復職後の働きやすさもサポート


株式会社デジタ/恵那市

株式会社デジタは、男性の育休推進が進むなか、取得率を向上させようと冊子「デジタ社員向け男性育休の手引き」を作成。従来は総務部から口頭説明していた制度内容を見える化。育児休暇の取得によりその後の昇給・昇進に影響はないのかといった不安を取り除く内容にしている。冊子ができて以降、該当する男性従業員の育休取得率は100%。育休を取りやすい社内風土を醸成している。

育休制度の冊子を制作

株式会社デジタは、男性従業員の育児休業取得率の向上を図り、育児休業中の離職防止に力を入れる。2022(令和4)年10月、男性従業員に対して企業側が育休説明を義務づける法改正がなされたこともきっかけになった。さっそく、2022(令和4)年、総務部の女性従業員が中心となって、「デジタ社員向け男性育休の手引き」という冊子をデザインから制作した。
男性育児休業制度はあったが、「どういった手順で制度を利用するのか」、「育児休業からの復帰後、昇給や昇進に影響はないのか」、「デジタが会社敷地内で運営する企業主導型保育園の利用方法」といった点をまとめている。表面的に制度を説明するだけでなく「休んでも評価は下がらない」と、心配事を解消できるよう踏み込んで書いてある。
男性従業員からパートナーが出産を控えていると報告があると、総務部が冊子をもとに説明していく。コーポレートカラーを基調に冊子は彩られていて、育児休業取得にあたりワクワク感を演出したいという意図で見せ方もデザインした。

家族への説明もラクに

2022(令和4)年、同社初となる男性育休取得制度を利用したのは印刷課の男性従業員。パートナーの妊娠を総務部に報告すると「社内としても初めての男性育休取得制度の利用者になる。ぜひ、取得してみては」と勧められたことも背中を押した。
男性従業員は当時、複数人を取りまとめて業務にあたるグループリーダーという立場だったものの、取得しやすい環境、周りからのサポートもあり制度利用を決断。2カ月間取得した休暇期間を振り返ると、「妻からは休んでもらえて良かったと言ってもらえました。それに、私も育児を手伝い、妻一人でやるには大変だと身をもって感じることができました。制度について細かく書いた冊子をもらえるから、家族に説明しやすいことも良かった」。
冊子を使い制度利用した前例ができ、育休後にスムーズに復職できたこともあり、育休制度を利用し易くする第一歩になった。

男性育休取得率100%

こうして男性従業員が育休を取得する流れが生まれると、その後、該当する男性従業員の取得率は100%になっている。休暇期間の日数は男性従業員ごとに異なり、デジタでは最長1年間の休暇期間を取得可能。これまでの制度利用者の多くは2週間~2カ月の期間を家族と相談した上で選択している。
すでに従業員が閲覧できる自社サイトにて、取得者の体験談を掲載しているが、今後、冊子にも取得したモデルケースを盛り込み、ブラッシュアップしていく計画もある。
また、復職時は残業がない働き方となる準社員、5時間から7時間勤務を選択できる時間短縮準社員といった働き方も用意する。時短勤務は女性社員の制度利用が多いものの、男性社員にも復職後を手厚くサポートする。

優先利用できる保育園

デジタが会社敷地内で運営する保育園が「デジタ森のこども園」。企業主導型保育事業であり、待機児童の解消や仕事と子育ての両立を支援する目的で内閣府が開始した事業のひとつ。デジタの社員なら福利厚生の一環として優先的に利用することができ、保育料も低額に抑えられている。また、地域住民からの直接申し込みもできる。「生き生き・伸び伸び・元気な子」の目標を掲げ、散歩や野菜作りといった園外活動をたっぷりと行い、子どもたちは元気いっぱい。働く園の従業員も、子どもたちに負けないよう元気いっぱいに一人ひとりと向き合う。デジタでは子育てと働きやすさの両立をこれからも推進する。