イクメン・イクボスページ
アース・クリエイト有限会社
営業本部長
岩田良さん(岐阜市)
子育てからの学びは、
仕事にも、きっと生きてきます。
男性が育児休暇を取るようになって、
会社にはプラスの連鎖が生まれました。
厚生労働省主催の『イクメン企業アワード2014』でグランプリに輝いた岐阜市の企業、アース・クリエイト有限会社で営業本部長を務める岩田良さんは、3人の子どものパパ。長女誕生の際に初めて育児休暇を取得し、以来、男性社員の育児休暇を取得が当たり前に。当初、社内は超多忙で、男性社員には家庭を顧みる余裕もなく、士気が停滞して退職者も続発しましたが、育児休暇取得をきっかけにムードが一転、離職率も0に。今では家族を職場に招く「子ども参観日」などのイベントも恒例となり、社員たちは家庭を大事にしながら元気に働いています。社内改革を牽引してきた立場の岩田さんは、変化に手応えを感じつつ、さらなる改革に意欲的。子育てにも励みながら、充実した日々を過ごしています。
社内で最初に育児休暇を取得されたときのことを教えてください。
平成19年、妻は実家の福井で長女を出産。そのとき社長が「行ってこい」と背中を押してくれたんです。当時、私は立ち上がったばかりの営業部で改革に取り組み始めたばかり。仕事が大変で休む気はなかったのですが、ちょうど企業の子育て支援が注目され始めた頃で、調べたら育児休暇で助成金をもらえることがわかり、「これも改革の一つになる」と子育て支援企業認定を受け、自ら第一号になりました。妻も喜んでくれて、ゆっくりと家族の時間を持つことができ、良かったです。それまでは仕事ばかりで家にも帰れないような生活でしたので、「本当にいいの?」と驚かれましたけどね(笑)。仕事は何かあれば携帯電話で連絡がつくわけで、やってみたら休めたんです。職場に戻った時には、心身ともリフレッシュし、周りに対しても「休みの間ありがとう」っていう感謝の気持ちでいっぱい。それからは、みんな必ず育児休暇を取るようにしました。私も3回取りましたよ。
多忙な職場で、みんなが休暇を取れるようにするために、どんな努力をされましたか?
改革の一環として、かねてから5人でやっていた仕事を4人でできる仕組み作りを進めていました。育児休暇をちゃんと取るということで、その仕組みづくりに弾みがつき、みんなの意欲も高まったんです。また、休む人の仕事を代行することは、新たな仕事を覚えるチャンスになり、オールラウンドプレーヤーが育ちました。だから、子どもの病気などで急に休むことになってもカバーできるんですよ。休暇を取り、一人ひとりが仕事と家庭を両立させることで士気が上がって、仕事の効率が良くなりました。仕事に専念できる環境の決め手は家庭だと思います。仕事と家庭のバランスがとれ、社員が前向きな気持ちで仕事に取り組むことが、長期的には会社を良くすることになるのです。
男女共同参画社会について、どのようにお考えですか?
会社が家族参加のバーベキュー大会とか、家族が仕事の内容を見たり体験したりする「子ども参観日」をするようになって、私がどんな会社で、どんなふうに働いているかがわかったら、妻がちょっと変わったんです。休日でも「今日は寝てたら」なんて、いたわってくれようになって、より優しくなった感じ(笑)。私も、妻が出産のために福井の実家に帰っているとき、岐阜で長女の送り迎えや家事を一人でやって、妻の日頃の大変さがわかり、「サポートしなきゃ」と思いました。男女共同参画って、家庭であっても社会であっても、要は相手を理解し、思いやることが大事なんじゃないでしょうか。それは異性でも同性でも同じ。会社でも、その人の状況や仕事の大変さがわかると接し方が変わって、良い関係ができてくることを実感しています。
子育て世代の男性や、社会に向けてメッセージをお願いします。
当社の変革の原点は、社長の「社員を大事にする」という強い信念です。目先のことにとらわれず、人の気持ちを尊重し、その人がより良くなるように考えていくという揺るがぬ姿勢が今につながっています。私も社長のもとで部下たちと接してきたからわかるのですが、長い目でものを見、忍耐をもって臨まなければ、人を育てることはできまません。私には3人の子どもがいますが、最近、会社でよく感じるのは、「これは子育てと一緒だ」ということ。子どもを見守り育てていくことと、職場の人材育成には共通する点が多いと思います。人は、心に余裕がないと、他者を理解することも思いやることもできません。一家庭人として子育てをし、人として親としての心を養うことは、社会のいろいろな場で役立つと思います。部下を持つ人には、子育てに取り組むことをおすすめしたいです。