イクメン・イクボスページ
丸成林建設株式会社
代表取締役
林茂樹さん(岐阜市)
男性が多い建設業において
現場にも女性が進出し
女性作業員も誕生
女性の活躍推進を通じて
建設業のイメージを変えたい
「確かな技術と真心で住み良い街づくり」という基本理念のもと、岐阜市を中心とした土木・舗装工事のほか、環境に優しい樹脂製敷板の販売を手掛ける丸成林建設株式会社。2017年度には岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業、翌年度にはぎふ建設人材育成リーディング企業ゴールドランク、さらに2019年度にはぎふし共育・女性活躍企業に認定され、同時に「岐阜市男女共同参画優良事業者」の表彰を受けています。評価を受けている働きやすい職場づくりは事故の防止にもつながり、厚生労働省第1種無災害記録証を取得しています。
若手の不足と高齢化が進行女性の職域拡大に活路を見出す
弊社では25年前に事務職として入社した女性が、現在では資材環境部長として活躍する一方、現場での実務経験を経て土木施工管理技士資格を取得。同じように事務職でありながら、現場も経験したいと希望する女性従業員が徐々に増えていくなかで、2019年には「現場で働きたい」という女性を、初めて土木部に採用しました。
従業員数19人のうち、10年以上勤務している人数が11人と、ベテラン陣に恵まれている一方、従業員の高齢化が進んでおり、今後の会社を担う人材を求めて新規高卒採用に取り組んでも、弊社のような小規模の会社には、なかなか応募が集まりません。現場で女性たちが生き生きと活躍する姿を見て、性別を問わずこの仕事をやってみたいと考えている人がいるのであれば、応援しようと考えるようになりました。
受験費用やテキスト代を含め、仕事に関する資格取得費用は会社が全額負担し、これまでに女性2人が建設業経理士検定の1級を、1人が2級を取得。土木施工管理技士も、1級と2級の取得者がそれぞれ1人ずつ誕生し、女性の活躍と職域の拡大が進んでいます。工事に関する書類作成など、現場での経験を通じて総務部と土木部の連携が深まり、よりスムーズな業務が可能になるといったメリットも生まれています。
女性の活躍プロジェクトで活躍推進の基盤づくりを
それぞれが自分の仕事を責任をもって管理しているため、総務部は毎日定時退社で、土日祝休みの週休2日制。土木部も現場監督を含めて、所定外労働時間は月平均4時間未満に収まっています。各現場に事務所を設けているので、空いた時間を使って書類作成をするなど、それぞれが効率的に業務を進めています。休日出勤をした際には代休の取得を促し、体調管理に配慮しています。
女性従業員が気軽に相談できる場として、女性の活躍プロジェクトを組織しました。女性が働く上で抱えている悩みは、男性からは聞きづらく、女性たちも言い出しにくいためプロジェクトの意見として吸い上げ、声を上げやすい環境を整えています。また、資格に関する情報を共有することで、「わたしも取得したい」と、モチベーションのアップにも役立っているようです。
ワーク・ライフ・バランスを率先して実践し、従業員に促す
小学6年生の娘がいて、これまで学校の行事には欠かさず参加してきました。平日にある授業参観で父親の姿は珍しいのですが、仕事を調整して夫婦で出席しています。
同様に、従業員から休みの申請があったときは快く受理し、子育ての応援をします。「休むから、明日はお願いします」と周囲に一言かけて連携をとれば済む話で、誰がフォローに入るのかは毎朝のミーティング時に話し合えばいい。仕事とプライベートの両立ができなければ、働き続けることはできないですからね。
男性従業員の妻の出産の際には、育休の取得を呼びかけ、これまでに6回の利用実績があります。介護を理由に退職を申し出た従業員には、本人希望の勤務体系に変更するなど、こうしたワーク・ライフ・バランス推進の取り組みが、長く働き続けられる職場づくりにつながっているのだと思います。
事故防止の意識の徹底で65万時間の無災害を記録
ワーク・ライフ・バランスの推進は、安全な施工の実現にも貢献しています。2000年に従業員が軽微なケガをして以降労働災害はなく、2016年7月には約65万時間の無災害を記録。厚生労働省では、一定の無災害記録を達成した事業所に対し、無災害記録証を授与していて、「第1種無災害記録証」を取得しました。
下請け業者も含め、一度でも事故を起こせばこれまで積み上げてきた時間がゼロになってしまうため、無災害の継続は大変です。事故の防止に関して、何か特別な取り組みをしているつもりはありませんが、「誰もケガをしない、させない」という意識を共有し、互いに注意を払いあっているからこそ続けられているのだと思います。第2種を取得するには97万5000時間が必要ですので、これを目標にしていきたいです。
10年後の会社の未来を考えると、「きつい」「きたない」「危険」という建設業のイメージを、女性が発信することで払拭していく必要があると考えています。建設業は地図に残るというやりがいがあり、「この道路、私が作ったんだぞ」と胸を張れる仕事。そんな仕事の魅力を、いいなと思ってくれる女性従業員を増やしていきたいですね。