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早川工業株式会社はやかわこうぎょう かぶしきがいしゃ
プレス課 マネージャー
川村 昌孝さん(関市)

【2023年6月28日時点】

育休後に働き方を見直しました
繁忙期は早めに出勤し
定時になったら退社
平日も家族との時間を満喫


プレス加工、金型の設計・製作を中心に、板金・溶接・切削といった各種加工などにも対応する関市の早川工業。ダイバーシティ経営やグローバル事業をPRする攻めの採用、技術を生かした真鍮雑貨や焚き火台の販売など、多様な取り組みにもチャレンジしています。そんなアクティブな町工場で働く川村昌孝さんは、第一子が生まれるタイミングで育児休暇を取得しました。

2021年第一子誕生
 実家は射出成形の工場を営んでいて、私は20代の頃からずっとそこで働いてきました。今から6年ほど前のこと、父親から「工場の規模を縮小しようと思っている」と打ち明けられたので、私はほかの会社で働くことを決意。すぐに転職活動を始めました。
 私が仕事を探していると、早川工業の社長が「うちで働かない?」と声をかけてくれました。実は早川工業の社長は、中学時代の同級生。「さて、どうしたものか」と悩んでいた矢先、気心知れた地元の仲間からの誘いは正直うれしかったです。ちなみに、友人と仕事をすることについて抵抗は感じませんでした。
 プレスによる加工品製造を得意とする早川工業。入社当時、私はプレス機のオペレーターとして働いていました。そこから2・3年が経ってオペレーターのマネジメントを任される立場になり、早川工業で働くことにもすっかり慣れたタイミングで結婚しました。そして、2021年9月に第一子が生まれました。

12日間の育児休暇
 早川工業は、時代に合わせて様々な取り組みや制度を企画・導入しているので、とにかく柔軟性に長けた会社だと言えます。
 近年では、働き方改革を推進する企業がかなり増えました。そういった制度の導入については、一般的に大企業が積極的な姿勢を見せるイメージですが、中小企業でありながら早川工業もスピーディに対応。男性の育児休暇についても早期のうちに制度化がなされ、会社が取得を推奨してきました。
 私は12日間の育児休暇を取得したのですが、社内ではすでに男性が取得した前例があり、「川村君も育休を取るんだよね?」と周囲から言われていましたので、「取得しづらいな」という感覚はなかったです。ちなみに、妻に育児休暇のことを話したら「男性も取れるんだ?それは助かる」と喜んでもらえました。
 育児休暇を取得するにあたっては、現場の業務が円滑に回るよう、調整を入念に行っておきました。具体的には、生産スケジュールに合わせて現場の生産能力を確保し、私が不在でも滞りなくプレス製品がつくられるような状況を整えておいたというわけです。一応何かあった時のために、自分の代わりを主任にお願いしておきました。主任は私よりも経験の長い方。だから、安心して任せることができました。

料理に奮闘
 私たち夫婦にとって初めての子どもであり、出産前に必要なものは準備していたため、子ども用品の買い出しで頻繁に動くことはなかったです。
 育児休暇中の私の主な役割は食事の準備でした。自分ひとりだと、「メニューはなんでもいいや」と手を抜きがちですが、産後で特に栄養が必要な妻にも食べてもらうとなるとそうはいきません。とはいえ、長年実家暮らしを続けてきたので、お恥ずかしい話ですが、あまりキッチンに立ったことがなくて、最初はやや手探りでした。
 料理をするにも、まずは献立を決めないといけませんから、買い物に行く前に冷蔵庫の中身をチェック。それをもとに買い足すものを考えて、アプリでレシピを調べます。つくった料理は手の込んだものではなかったのですが、それでもおいしそうに食べてくれる妻を見てうれしい気持ちになりました。
 食事の準備以外には掃除などもしていました。洗濯もするつもりだったのですが、こだわりが妻にあったので、そこは彼女が担当し、その間私が子どもの相手をしました。
 育児休暇を取ってみて、「自分に何ができるか」「何をしたら妻が楽になるか」「妻自身がしたいことはなんだろうか」などについて事前に深く考えたり、夫婦でもっと相談しておけばよかったと思いました。そういったことが明確になっていれば、より妻の力になってあげられたような気がしています。この教訓はもしも第二子にご縁があるならしっかり生かしたいと思いますし、これから育児休暇を取ろうと思っている新米パパにも覚えておいてもらいたいです。

ママにも休息を
 子どもが生まれる前、繁忙期の残業は通常業務が終わってから取り掛かっていました。ところが、このスタイルを継続すると、家族との晩御飯の時間や入浴時間がどんどん後ろにずれていくので、子どもの生活リズムに影響を与えてしまう懸念がありました。そこで復帰後は、会社の早出制度を利用することに。つまり、終業後に残業をするのではなく、始業時間の前に出勤して残業分の仕事を早めに処理することにしたのです。こうすることで、定時になったらスムーズに退社でき、17時半くらいには家に到着。私が子どもの相手をしているうちに妻が晩御飯の仕上げをし、家族で食卓を囲んで、その後子どもとのんびり入浴することだってできます。子どもの風呂がおわれば、あとは寝かしつけまで妻も自分の時間を持ちやすくなります。ママにも休憩やひとりになる時間は必要ですから、そういった機会を設けるためにもパパの協力が不可欠だと思うのです。
 今は子どもも1歳になり、妻も子育てのペースをつかんでいます。だからと言って、任せっきりにはせず、二人三脚で子育てを楽しんでいきたいです。