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日本イベント企画株式会社にほんペイントきかく
プロジェクトマネージャー
鳥居 将(とりい しょう)さん(大垣市)

【2024年8月27日時点】

分担するより一緒にやる
家族は支えあい関わりあう存在


岐阜県の地場産業や観光資源を活かした地域活性化イベントなどを手掛ける日本イベント企画株式会社で働く鳥居将さんは、元芸人という少々変わった経歴を持つ二児の父。学生の時から交際を始め、不安定な芸人時代、転職活動中もずっとそばに居てくれた妻と二人の男の子に恵まれた今、働くことと家族のことを振り返りながら語って頂いた。

キャリアスタートは芸人から

 関東の大学に進学して、専攻はスペイン語でした。4年生の時に単位不足で留年が決まってしまいましたが、2回目の4年生の前期に単位が取得できたため、一旦休学して大垣に帰ってきました。地元の友人たちの多くは既に就職していたため、私と同じく時間の余裕があった幼馴染と二人で、思い出作りの感覚で某芸能会社の名古屋支社で芸人見習いを始めました。そこでは所属芸人を目指すライブがあり、3か月ほど挑戦を続けたところ正式に採用となり、少しですが仕事も入ってくるようになりました。大学卒業後は芸人に専念して岐阜県を中心に東海三県で活動していましたが、6年ほど経ったころ相方から『辞める』と告げられました。芸人としてのギャラは安いのでバイトで生計を立てていましたが、仕事が増えてくるとその分バイトを減らさざるを得なくなり、芸人の仕事が忙しくなると収入が減るという悪循環に陥っていたのです。解散して一人で活動するのは厳しいと思い、このタイミングで私も一緒に辞める判断をしました。

転職の壁

 年齢は28歳で前職は芸人、という経歴で転職活動を始めました。地元で安定した企業に就職できればと考えて企業訪問を続けていた中、サンメッセ株式会社を訪問する機会を頂きました。そこで私の経歴を見てイベントが主業務のグループ会社「日本イベント企画株式会社」をご紹介頂き、尋ねてみると何と芸人時代にお仕事を頂いたことがある会社でした。先方も私のことを覚えていてくださり、どこかで芸人としての経歴も活かせるのではないかと、お世話になることになりました。

キャリアの再スタート

社会人経験がなく、パソコンスキルも皆無だったため、先輩社員に付いてゼロから仕事を覚える毎日でした。関ケ原の戦国歴史もののイベントや東京での展示会が印象に残っていますが、岐阜の地歌舞伎のプロモーション公演に同行してフランスとスペインへ行ったことは特に思い出に残っています。少しずつ先輩から小規模な仕事を引き継いで担当するようになり、今は一人で任せてもらえる立場になってきました。その仕事からの繋がりで別の事業の相談を頂いたりして少しずつ自分の担当が広がってきました。
自分が生まれ育った故郷の産業・文化・観光の魅力を、この会社に入ってから現地・現場で再発見しています。そんな岐阜の魅力を発信するイベントの運営者として、来場するお客様に満足して頂くことが仕事です。イベントの内容は毎回異なり、計画通りにいかないことも多々ありますが、お客様の顔を直接見ることができ、目の前で反応が返ってくるのでやりがいがあります。芸人時代のステージは見に来るお客様が毎回ほとんど初めての人ばかりなので、上手くいかないステージでその都度お客様の反応を見ながらやり方を探るなど、精神面も鍛えられました。そんな経験が今のイベント運営にも役立っているのかなと思います。

いつもそばに居てくれた
 
結婚したのは芸人を辞める前で、第1子が生まれたときは転職中で無職でした。妻は学生時代から交際していた女性で、芸人を「辞めてほしい」とも、辞めるとき「続けてほしい」とも言いませんでした。私がやりたいことをやっているということを大事にしてくれていたのだと思います。繁忙期は土日も関係無く忙しい今の仕事も、何も言わずに支えていてくれます。
 妻は平日が仕事なので、私が平日休みの時は微力ながら子どもの送迎や家事をやっています。家族とできるだけ関わりたいと思っていますが、イベント業のため週末が休みの妻と休日が合わないことも多く、そんな時は自分が担当しているイベントに来てもらうようにしました。家族でイベントを楽しめますし、働いているところを見てもらうこともできます。そのことを知った会社が今では家族の参加費を負担してくれるなどの制度を新設してくれました。子育て世代の事情や状況に合わせて柔軟に対応してくれる会社です。
 土日になかなか休めない仕事であり、他の男性と比べて家事・育児に使う時間が多いとは言えませんが、家のことを夫婦・家族で一緒にやること自体が家族との時間でもあると思います。忙しい男性も多いでしょうが、家事・育児を自分と家族とを繋げてくれる一つのツールととらえて、少しの時間でも良いので関わっていってほしいと思います。