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中部事務機株式会社ちゅうぶじむきかぶしきがいしゃ
技術センター グループマネージャー
若月 孝行(わかつき たかゆき)さん(岐阜市)

【2024年8月27日時点】

男性管理職で初めて育児休暇を取得
管理職が不在でも機能する体制を構築し
社内に大きな影響を与えている


中部事務機株式会社は半世紀以上にわたり、古くはタイプライターの販売・保守、昨今ではIT、ネットワーク、セキュリティなど、働く環境に関わる様々なソリューションを提供し続けてきた。この会社でネットワーク・PC等の運用や保守サービスを管轄するエンジニアソリューション部に勤める若月さんは、管理職として30名近いメンバーをマネジメントしながら、高い技術力を生かした提案活動なども行っている。会社は社員の働く環境に関して多様な制度を用意しているが、長く持ち場を離れることが難しい業務もある。その最たる例と考えられるのが管理職ではないだろうか。若月さんとそのチームは、管理職が常勤でなくても業務が滞らない工夫で、1か月間の育児休暇を乗り切った。

専攻とは違う道へ

 大学では化学を専攻していましたが、当時使っていたOSに興味を持ち、エンジニアの道へ進みました。最初の会社には6年ほど勤めましたが、リーマンショックもあって転職を決意し、この会社でお世話になることになりました。始めの配属先は公共営業部テクニカルサポートチームいう部署で、小中学校などへシステムやそれを構築する機器の納入、その保守・管理などを行っていました。当時の営業部は民間担当と官公庁担当に分かれていて、それぞれが技術部門を持っていましたが、改組によって営業と切り離され技術センターという名称で統合されました。自分はその中で運用保守を担当する部署に異動となり、お客様に納めたシステムや周辺機器の修理、メンテナンス、運用に伴う設定の修正や変更などを担当しました。現在は同じ技術センター内のエンジニアソリューション部ITサービスマネジメントグループでグループマネージャーをしています。

マネジメントに取り組む

このグループには30人弱が所属していて、マネジメントは私とサブマネージャーの2人、他のメンバーは現場を担当するプレイヤーという構成です。私は管理職となってからも現場の業務を続けていますが、仕事の軸足をマネジメントに移していかなければと考えています。
 私たち技術の部門は統廃合が繰り返され、それに伴う異動でメンバーそれぞれの役割が重複しているケースが散見されました。それを洗い出して役割分担を見直すことで、効率のよい組織を目指しています。また、弊社は非常に多くの取引先を抱えており、納めている機器は膨大な数になります。そのため業務の内容によっては1回の訪問で終わらない場合もありますし、中には数か月を要する作業になるケースもあるので、各業務の進捗を把握して必要な人員を配置したり、メンバーのスキルアップで対応できる業務の幅を広げることも考えています。他には、今どこに誰がいるかという情報をコールセンターやヘルプデスクも含めて共有し、緊急の依頼に対して最適な人の手配ができるような仕組みも考えています。
このように新しい部署の管理職になったことで、早急に取り組まないといけない課題を次々に抱え込むことになりました。

育児休暇の準備と実施

子どもができたと知った時から、育児休暇は是非取りたいと思っていました。男性社員で育休を取った人が1人いるとは聞いていましたが、管理職では聞いたことが無かったので、会社が管理職の育休取得についてどう考えているのか気がかりでした。先ずは直属の上司である部長と、私の部下にあたるサブマネージャーに相談して、休暇中の仕事をどうするか具体策を検討し、それをもって部長から会社側に掛け合って頂きました。1日1回のメールチェックと週1回の半日出社で現状の把握とメンバーへの指示を行い、自分の担当すべき作業が入った場合は他のメンバーが代行することで、1か月の育児休暇取得が決まりました。
 妻は帝王切開だったことに加え産後鬱も患い、退院後もほぼ横になった生活が続きました。お互い実家から手伝いにきてもらうのが難しい状況だったこともあり、日中の家事・育児は全て私がやっていました。夜の授乳だけは妻に任せて私は休んでいましたが...。
会社の方は特に問題が起こることも無く、妻の体調も1か月の育児休暇が終わる頃には良くなっていて、安心して仕事に復帰することができました。

実体験に勝るものなし

私が育児休暇を取ったとき会社は体制を新しくしたばかりで、私は自分のグループの業務改革を進めなくてはいけない時期でした。仕事が大変な時期に育休が重なった形となった訳ですが、今の世の中どんな時でも育休が取れるようでないと、「今は忙しいからダメ」などということは許されないと思います。上長は育児休暇など無かった世代の方ですし、メンバーの半数も育休が必要な時期を終えた人たちですが、それでも協力的に動いてくれたことには感謝しかありません。組織の業務は皆で協力し合えば何とかなる、やればできると言うのが私の感想です。
 家事・育児は実際に体験してみないと、その大変さが分からないと感じました。もし育児休暇を取らないとしても、パートナーと一緒に家事・育児に取り組み、お互い理解しあうことはとても大事だと思います。男性もぜひ家事・育児をして下さい!