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中部事務機株式会社
サブリーダー
後藤 佑樹(ごとう ゆうき)さん(岐阜市)
社内初の男性育児休業取得者として4か月の育児休業を取得。
「育児を任せっきりにすることなく、育児に向き合えて良かった。」という声を社内に広めることで、次の育児休業取得につなげた。
現在も、1児の父として夫として、家庭を大切に働いている。
半世紀以上にわたり岐阜の地で事務機器からネットワークまで幅広いオフィス環境を提供している中部事務機株式会社では、お客様に提供するサービスだけでなく社員の働く環境も常にアップデートを続けている。お話を伺った後藤さんは5年間の不妊治療の末やっと授かった命にしっかり向き合いたいと、社内の男性で初めて育児休業を取得。会社も同僚も手探りながら彼を支え、良き前例を作り上げました。
希望通り地元で就職
大学を卒業後、新卒でこの会社に就職しました。地元で働きたかったため、岐阜でエンジニアを募集している企業に絞って就職活動をした結果、採用を頂くことができました。システムエンジニアとして、サーバーやパソコンの保守、ネットワーク構築を行っています。仕事は基本的に外回りで岐阜・中濃エリアを中心に尾張方面まで出かけることもあります。お客様のオフィスに伺い、導入して頂いたシステムの保守や、時には機械的な故障の修理を行います。また、営業の同行あるいは自分たちだけでお客様を訪問して、システム等の提案をすることもあります。
全てが初めて
2022年の4月に子どもが生まれ、5月から8月まで4か月間の育児休業を取得しました。社内の男性では私が初めての育休取得者でしたが、それを知ったのは申請の相談に行ったときでした。不妊治療の末にやっと授かった大切な命でしたし、逆子だったことや妻の体調など全てが初めてで心配なことだらけでした。私も妻も実家を頼ることが難しい状況だったこともあり、出産から最初の3か月検診までは妻と赤ちゃんのそばに居てあげたいという気持ちが強くありました。育児休業制度の存在は知っていましたが、当社にも制度があるのか、取得に条件はあるのか等は知りませんでした。男性初ということで参考にする前例も無く、私も会社側も手探りで仕事の調整や手続きの確認に取り掛かりました。
育休に入るまでに終わらせられる仕事は片付けて、育休明けからスタートあるいは育休中は休止できる仕事はその手配を済ませ、誰かに継続してもらわないといけない仕事は引継ぎ資料を作成しました。上司や同僚も私が育休を"取る"という方向で色々と動いてくれましたが、出産には間に合いませんでした。しかし会社は柔軟に対応して下さり、出産から育休開始までの間は有給休暇やリモートワークで乗り切ることができました。
3人での生活が始まる
出産は帝王切開だったため、退院後も妻に負担がかからないよう家事も育児も頑張りました。育休が始まるまでの1カ月は在宅で仕事もやっていましたが、会社は以前からリモートワークの環境整備を進めていたので、仕事と家事・育児の両立も上手くできたと思います。家事は以前からやっていたので特に問題ありませんでしたが、育児は当然ながら妻も私も初めてです。それでもミルクをあげたり、オムツを替えたり、お風呂に入れたりと何でもやりました。育児休業に入ると電話もメールも来なくなり仕事は完全にオフ、家事と育児に専念することができました。3か月検診も無事に終え、予定通り仕事に復帰しました。妻はまだ育児休業中ですが、私も引き続き帰宅後や休日に家事・育児を続けています。
先駆者としての責任
復帰後は社内報で取り上げて頂いたり、テーマ別座談会のような社内企画で家事・育児を担当したりしました。今までプライベートな話をあまりしなかった同僚から、今度子どもが生まれるからと色々質問されたこともあります。男性で家事・育児に向き合う機会が無い人はまだ多いと思いますが、育児休業を取れば必然的に家事・育児に専念する状況に身を置くことになります。それはとても良い経験になると思うので、男性も取りやすい環境を整えていきたいし、どんどん取って欲しいと思います。
その反面、育休で人が抜けるのはマンパワー的に痛いと、上司は頭を悩ますそうです。大企業なら人材も豊富ですが、中小企業では厳しいのは明らかです。これから育児休業を取りたいという人が出てきたら、先に取らせてもらった立場として率先して協力したいと思いますが、制度を支える側の負担軽減についても考えていきたいと思います。