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アース・クリエイト有限会社
吉原 留位(よしはら るい)さん(岐阜市)
自分の適性に悩みつつ
異なる経験を積み重ね
子育てにも活かしながら
お互いを思いやる日々を過ごす
車線を分ける区画線や直進・右左折の矢印などの路面塗装や、制限速度などの規制を表示する道路標識といった交通安全施設。その見積もりから設計・施工までを一貫して行っているアース・クリエイト有限会社では、育児休業の他にも独自の育児特別休暇や看護休暇・介護休暇を設けています。さらに社内行事などを通じて社員同士の理解と絆を深め、制度を利用しやすい風土の構築にも努めています。入社10年目の吉原留位さんは初めてのお子さんの出産に立ち会い、特別休暇も取得して積極的に育児に取り組んでいます。
気付かなかった足元
建築土木に興味があったので、工業高校の土木科に進学しました。高校生の頃は地面の上に立つ建物の方に関心があったので、いつの間にか綺麗な線が引いてあるなというくらいで道路のラインを気にした事はありませんでした。入社のきっかけは紹介だったのですが、いつも上ばかり見ていて足元を見たことが無かったので、建築土木の分野でもこういった仕事があるんだと、新鮮な驚きと興味がわいてきて入社を決めました。
最初の配属は営業部で、既存のお客様への対応と、新規開拓の飛び込み営業が主な仕事でした。私は人と話すのがあまり得意ではなく、職人のように黙ってモノ作りに打ち込むタイプだと自己分析していたので、営業は向いてないんじゃないかと思いながらも頑張って仕事を続けました。色々と悩みながら3年ほど経った頃に会社と相談した結果、しばらくグループ会社のアイ・カラーズに出向する事になりました。
子どもたちとの触れ合い
アイ・カラーズは障がいを持った子どもたちを預かる放課後等デイサービス事業を行っています。子どもは嫌いではなかったし良い経験になると思い、出向のお話を受ける事にしました。子どもたちを預かるのは15:00から17:00で、それまでに当日行う運動や工作などの活動の準備をします。さらに子どもたちのいる学校まで車で迎えに行き、帰りはそれぞれの自宅まで送り届けたり、その送迎コースを組んだりもします。
対象は小1から高3までで、障がいの程度も様々です。突然飛び出して行くなど予測できない行動をとる子や、体が大きくて力のある子もいるので気が抜けません。子どもとの触れ合いは楽しいのですが、責任重大な部分もある神経を使う仕事です。未経験で専門の教育も受けていないので、先輩に教えていただいたり、時には注意を受けたりして取り組んでいました。その日の子どもの行動や気付いた点などを報告して、子どもたち個々の情報を共有するミーティングで1日の業務が終わります。ここでの経験が自分の子どもを持った時に役立つとは、この時は思いもしませんでした。
軌道に乗り始める
アイ・カラーズでの仕事にもやりがいを感じていたのですが、アース・クリエイトが忙しくて手伝いに戻る事が時々あり、やはり土木業界の仕事を続けたいとの思いが強くなり、迷いもありましたが約1年半で戻らせて頂きました。私のことを覚えている子が会いたがっていると聞くと嬉しいのですが、今の仕事が忙しくてなかなか行けないので申し訳なく思っています。
工事部での仕事はライン引きの補助から始めて施工もやらせてもらうようになり、さらにスキルアップを目指して営業管理部で売り上げや工程の管理もやらせてもらっています。現場の仕事も続けながら並行して担当しているので、忙しい毎日ですが新鮮でやりがいを感じています。
想像力を働かせて
令和5年の春に第1子の出産に立ち会いました。新型コロナウイルス感染症の関係で病院の出入りに制限があったため一度入ると出る事が出来ず、予定日から遅れたので2日間カンヅメになりました。陣痛が強くなってくると妻は体に触れられる事も嫌がり、私はただそばにいるだけで何もできませんでした。妻の退院に合わせて2週間の育休を取り、妻の実家で初めての育児が始まりました。落としそうでビクビクしながら沐浴に入れたり、妻が少しでも眠れるよう夜泣きする赤ちゃんをあやしたり、あっという間の2週間でした。自分たちの住まいに戻ってからも、妻に負担が偏らないよう掃除や洗い物など自分のできることは何でもやるようにしています。
子どもが自分で動き回れるようになると、アイ・カラーズで障がい児の予測不能な行動に対処していたときを思い出して、危ない物を置かないとか緩衝材を貼るとか、子どもの目線で行動を想像して対策していました。ところがある日、妻が2階で洗濯物を干していて後ろを振り返ると、いるはずのない子どもがそこにいたと慌てた電話がかかってきて、大急ぎでゲートを取り付けた事があります。何事も無く済んで良かったですが、まだ階段なんて登れる訳がないという思い込みが失敗でした。皆さんには、とにかく念には念を入れて事故防止に努めてほしいと思います。
また、子育て中は疲れやストレスが溜まりがちだと思いますが、相手のことも想像して衝突しないよう言動に気を付けて、お互いを思いやるようにすると良いと思います。


