岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

自分は何がしたいのか、
自分には何ができるのか。
答えはきっと見つかるはず。
そこからチャレンジしていきましょう。
どんな経験も、無駄にはなりません。


NPO法人 神岡・町づくりネットワーク レールマウンテンバイク事務局
田口由加子(たぐち ゆかこ)さん(飛騨市)

【2015年2月 5日更新】

 2006年に廃線となった神岡鉄道の線路を走るレールマウンテンバイク。家族や友人と自転車をこぎながら、山あいや渓谷の絶景が楽しめる新感覚の乗り物として人気を集め、利用者は年々増加しています。その運営を担うNPO法人「神岡・町づくりネットワーク」で、一手に業務を管理するのが田口由加子さん。アクティビティのさらなる充実を目指し、忙しい中にも笑顔を絶やさない日々を送っています。

都会で音響効果の仕事に打ち込み、
多くのことを学んだ日々。

 生まれも育ちも神岡町ですが、音響や映像技術の仕事に就きたくて、高校卒業後、東京の専門学校に進学し、ポスト・プロダクションに就職しました。ポスト・プロダクションとは、映画や放送、CMの撮影中や撮影後に、映像や音響の編集作業を行う会社です。
 念願かなって映画の音響効果の仕事を任され、夢中で働きました。初めは女性だからと不安がられても、「田口に任せておけば安心だ」と言われるよう、丁寧な仕事を心掛けました。撮影現場での作業はとても緊張しますが、刺激を受けることも多く、やりがいがありましたね。そのころの経験や人との出会いが、今の私を形作ってくれたように思います。

帰郷後のくすんだ日々の中、
イベントを手伝って気付いたこと。

 でも、就職して4年後、実家で化粧品店を営んでいた母が、急に他界したのです。2人姉妹の妹も実家を離れていたので、いつかは戻らなければならないなと思っていたのですが、あまりにも突然でした。貯金を蓄えたくもあり、それから2年、東京で仕事を続けた後、帰郷しました。
 ひとまず、化粧品店の仕事を引き継ぎましたが、前向きに取り組む気になれず、日々うつうつと過ごしていました。そんなとき、ふとしたきっかけから、神岡鉱山の坑道やスーパーカミオカンデの研究施設などを活用して行う地底探検イベント、「ジオ・スペース・アドベンチャー」を手伝うことになったのです。すでに大人気のイベントで、そのとき、「ああ、私はやっぱり、こんなプロジェクトの企画や運営に関わりたいんだな」としみじみ感じました。そしてそれは、この町でも可能なのです。

廃線を逆手に取る大胆なプロジェクト、
試行錯誤の中でお客様も増えて。

 NPO法人「神岡・町づくりネットワーク」を知り、町の活性化に情熱を傾ける人たちに触発され、自分でも「神岡祭の歩き方」というリーフレットを作ったり、費用が足りなくてカンパを頼んだり(笑)。そして2007年の春、廃線を観光資源として活用しようというレールマウンテンバイクのオープニングスタッフに。「どうしたらもっと楽しく、安全な乗り物になるだろう」と試行錯誤しながら改良しているうちに、専属の事務局員になりました(笑)。
 テレビ番組で紹介されたこともあり、おかげさまで2014年のお客様は3万3001人。前年より約6000人増えました。外国からのお客様も600人近くあり、ありがたいことですが、お問い合わせでの対応に苦労しています(笑)。また、駐車場にさまざまな地域のナンバーの車が止まっているのを見て感動したり、町の人に自慢したくなったり(笑)。

コースの延長を目標に、
スタッフと共にチャレンジを続けて。

 春から秋のシーズン中は目の回るような忙しさですが、苦にはなりませんね。今後の運営を考えれば課題は山積みですが、線路の一部しか使用していないコースを延長したいという目標もあり、まだまだ発展途上です。
 私の職場は、シルバー世代の男性スタッフがほとんどですが、家族連れやカップルの多いお客様への対応や工夫には、やはり女性スタッフも必要です。仕事で、女性だからと不安がられることがあるかもしれませんが、逆に女性ならではのアイデアを出したり、感性を生かせるチャンスはいくらでもあるはず。要は、自分の持ち味を生かすことが大切なのでは。
 自分は何がしたいのか、何ができるのか。真摯(しんし)に模索してチャレンジしていけば、きっと道は開けると思います。