岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

やりたいと思った時が、
はじめ時。
挑戦する気持ちがあれば、
いくつになってもできるはず。
初心を忘れず、続けることが大事です。


土岐市立総合病院 看護師長
鈴木初美(すずき はつみ)さん(土岐市)

【2015年3月11日更新】

 看護師として、土岐市立総合病院に勤務。一つの病院で看護師の仕事を長年続けてきた鈴木初美さんは、現在、外来の看護師長として後輩たちを率いる立場です。忙しい仕事のかたわら、2013年からは地元の手話サークル「たけのこの会」に入会して手話の勉強を始め、昨年は初めて「青少年の主張」の手話通訳を担当。仕事でも趣味でも「人の役に立ちたい」と、日々笑顔で頑張っています。

看護実習での印象的な出会い。
それが、仕事の原点。

看護師の仕事を意識したのは高校時代。伯母が入院した際に看護師さんたちの仕事ぶりを間近に見て、将来の職業として考えるようになりました。女性でも資格を持って専門職としてやっていけることに魅力を感じたのです。そんな私が、看護の奥深さを実感し、本気でやる気になったのは、看護学校時代に実習で出会った患者様のお陰。その方は、いつも静かに問いを投げかけて、大切な事に気付かせてくださいました。
「扉を開ける音がうるさいのはどうしてだと思う?」
「それはね、開ける人が、中にいる人のことを考えてないからだよ」
「後って、いつ?」
「僕にとって、それがどれだけ大事なことか、わかる?」
といった具合。「なるほど」と思ったことが、後にナイチンゲールが唱えていたことと同じだと感じ、ハッとしました。その方は亡くなられましたが、その時の経験と学びは、ずっと胸に生き続けています。

わかってくれる人がいる。
その実感が力をくれた。

 看護学校卒業後、この病院に就職して現在に至っています。こんなに続けられるとは思っていませんでした。「辞めよう」と真剣に思ったこともあるんです。あるとき、人間関係に悩んで、退職金の計算までしたほど(笑)。家族に打ち明けたら、ちゃんと受け入れて、「辞めればいいんじゃないの」と言ってくれましたし、職場の友達も私の気持ちや状況を理解してくれていました。そうやって自分を分かってくれる人たちがいることが支えになったのか、少し気が楽になったら、ふと「何で私が辞めなきゃいけないんだ」「こんなことで辞めるのはばからしい」と冷静になれたんです。看護の仕事は好きでしたし、大切な患者様もいらっしゃるわけですから、あのとき辞めなくて本当に良かったと思います。時間が経てば、状況も立場も変わっていくんですね。

喜びも悲しみも、
人は日々支え合って生きている。

 仕事を続けてこられたのは、患者様や家族、友人など、周囲の支えがあったからですね。看護師は患者様の力になることが仕事ですが、私たちも、患者様から励まされ、元気をいただいています。全ての患者様が回復されるわけではなく、悲しみもあるのですが、人生のかけがえのない時間に関わらせていただき、人として感じること、学ぶことが多々あります。病棟勤務だった頃、「あんたは辞めたらいかん。もうちょっと頑張って、上に立ってやりなさい」と言ってくださった患者様もいらっしゃって、そういう言葉をいただいていたから、看護師長を命じられたときにも、しっかりと受け止められたのかもしれません。一番辛い思いをされている患者様の心に少しでも寄り添いたい、「一人じゃない」と伝えてさしあげたいと思いますし、そういう心を、若い世代の看護師にも伝えていきたいです。

新しい挑戦で広がる世界。
学ぶことは、楽しい。

外来勤務になったことをきっかけに、以前から興味があった手話を覚えようと地元の手話サークル「たけのこの会」に入会し、週1回参加しています。昨年初めて「青少年の主張」の手話通訳を担当したときは、仕事が終わってから連日猛特訓。大変でしたが充実していました。職場とは違い、年齢も職業も異なる人たちとの出会いは楽しく、新人の立場で教わることも新鮮で、リフレッシュする感じです。まだまだ初心者ですが、もっと学んで、手話を使われる患者様が外来にこられたときにも、普通に会話ができるようになりたいです。手話は一つの言語なので、マスターすると世界が広がります。仕事も手話も元気に続けていけるよう、これからも頑張りたいですね。