病院や高齢者福祉事業の運営の他、岐阜市内の保育園や児童館、児童発達支援事業所、病児・病後児保育園を運営する和光会。北方町から受託する子ども館や市内外の子育て支援事業の運営・サポートもしています。子育て事業のリーダーとして活躍する中野純子さんは自身の経験を活かして、地域で働く女性を支えます。
「自分らしくありたい」と
社会とのつながりを求めた
大学卒業後に幼稚園教諭になり、退職後は特技を活かして音楽講師に。その後結婚、出産を経験し専業主婦となりましたが「自分らしくありたい」と、社会とのつながりを常に求めていました。社会に復帰したいと仕事を探すも、子どもが小さいことを理由に断られました。銀行で商品プランの内容について尋ねようとした際も本題以前に「女性は年収が低いからご主人で」と言われ、「子育て中の女性は、こんなにも社会的な地位が低いのか」とショックを受けました。
やがて事務員のパート勤務を経て正規職員になりましたが保育所探しに難航。保育所が決ったものの、環境の変化から子どもが度々体調を崩し、ある時入院してしまいました。当時の上司から「仕事が滞る」と病院にまで叱りの電話が入り、看病しながら病室で仕事をしたこともあります。両立の苦労は想像以上で「育児中の女性が働くのは容易ではない」と実感しました。
育児を通して得られた
素晴らしい出会いもある
保育所卒園から小学校入学までの期間は預けられる施設がなく、「小1の壁」も経験しました。学童保育は通学1日目から利用。「学校なんて行きたくない」と泣きつかれたのが本当に辛かったです。それでも学童保育の先生に励まされ、仕事を続けることができました。保護者会やPTA、子ども会の役員も経験。「仕事をしているからできない」ではなく「・・・であればできる」と積極的に取り組みました。協力し合ったママ友とは今でもランチに出かける仲。成人式では子どもの成長を喜び合うなど、子育てを通した出会いは私の財産です。
地域で働く女性のために
理想の社会をつくる事業
育児と仕事の両立を模索しながら、ようやく巡り合えたのが現在の職場である和光会。私の担当業務は子育て支援事業で、保育園運営サポートのほか、病児・病後児保育園の運営、障がいがある子どものための発達支援や放課後児童デイサービス、児童館・子ども館事業などの子育てに関わる事業全般に携わっています。現在は「子ども・子育て支援新制度」の施行に合わせ、保育園から認定こども園へ移行する準備に取り組んでいます。
和光会は子育てしやすい仕組みが充実しているため、「岐阜県子育て支援エクセレント企業」(現:岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業)と県内初の「プラチナくるみん」の認定を受けています。事業所内保育園が2カ所あり、長期休暇中の学童保育も格安で利用可能です。時間単位で取得できる年休は、子どもの参観日など学校行事にも参加しやすい制度。男性の育児休暇の取得へも積極的です。
今春は事業所内保育園で育った子が、法人の保育士として私たちの仲間となります。きっと子育てしながら仕事に取り組む母親やスタッフたちの姿が輝いていたからでしょう。
社会の中で成長できたのは、
子どもたちの"親育て"のおかげ
私を大きく成長させてくれたのは子どもたち。大学生の長男と長女は、働く私を幼い頃から応援し続けてくれました。「お風呂用意してあるよ。リラックスしてね」「おいしいごはん、ありがとう」と書いてくれたメモ書きや手紙は大切な宝物です。
子育ての感動、悩み、喜び......。すべて彼らがいたからこそ経験できたことばかり。子育ての成果はすぐには現れず結果が見えにくいものですが、自分の経験を生かして、よりよいものを目指すことが大切なのではと考えています。
今後の目標は和光会の子育て事業が地域で一番信頼される存在となり、地域に根差すこと。子育てしやすい社会をつくり、未来につなげることが夢です。子どもが希望を持てるような社会をつくり、後世へ繋いでいくことが使命。「子育てをしながら働くことが楽しい!」と思える女性を増やしたいですね。